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第二四話 失われたもの
第二四話 一〇
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招魂祭と泰山府君祭の後、秋之介と結月は力を使い果たして気を失った。昴はそうなることも織り込み済みであかりに力を送っていたので、ひとり倒れることはなかった。しかし、時人が呼んでくれたらしい救護班が到着すると、緊張の糸が切れたようにしてやはり気絶したのだった。
それからひと月後に昴は目を覚ました。
戦いにより霊力が尽きたところを、自身の命を代償に霊力を生み出してあかりに送っていたので身体への負担は相当なものだった。結果として昴は膨大だった霊力の半分以上を失った。運が良ければいずれ霊力は元の量に戻るかもしれないし、一生このままかもしれない。いずれにせよ、今の昴には以前のような強力な術は使えなくなっていた。
次に目を覚ましたのは秋之介で、昴が目覚めてから七日後のことだった。
秋之介は人間姿に変化するほどの霊力がなく、日常においても白虎姿でいることを余儀なくされていた。彼もまた昴同様に持っていた霊力を超えてまで力を使ったため、身体に無理が来て、以前ほどの霊力が生み出せなくなっていた。日常にまで支障を来しているので、当然以前のように降霊術が行えるはずもなかった。
それからさらに一〇日以上が経過して、ようやく結月が目覚めた。季節は盛夏から秋へと移ろっていた。
結月は残る霊力をすべて使って泰山府君祭を行い、そのうえで自身の寿命を捧げた。少しでも無理をしようとするとずっしりと胸が苦しくなり、激しい痛みが頭を襲う。今までのように自由に霊符を作製・使役することは困難となった。
そうして最後の戦いから二月経った今も、あかりはこんこんと眠り続けたままだった。招魂祭も泰山府君祭も成功しているはずで、確かにあかりの魂は身体から離れていないようだったし、脈も呼吸もあるから生命活動は維持できている。
あかりが生きていることに安堵する一方で、未だ意識を取り戻さないことに不安がつきまとう。世は各地の復興という課題こそあれど、今までの戦いが嘘だったかのように平和になった。それにもかかわらず、結月たちの心中は平穏とは言い難かった。
それからひと月後に昴は目を覚ました。
戦いにより霊力が尽きたところを、自身の命を代償に霊力を生み出してあかりに送っていたので身体への負担は相当なものだった。結果として昴は膨大だった霊力の半分以上を失った。運が良ければいずれ霊力は元の量に戻るかもしれないし、一生このままかもしれない。いずれにせよ、今の昴には以前のような強力な術は使えなくなっていた。
次に目を覚ましたのは秋之介で、昴が目覚めてから七日後のことだった。
秋之介は人間姿に変化するほどの霊力がなく、日常においても白虎姿でいることを余儀なくされていた。彼もまた昴同様に持っていた霊力を超えてまで力を使ったため、身体に無理が来て、以前ほどの霊力が生み出せなくなっていた。日常にまで支障を来しているので、当然以前のように降霊術が行えるはずもなかった。
それからさらに一〇日以上が経過して、ようやく結月が目覚めた。季節は盛夏から秋へと移ろっていた。
結月は残る霊力をすべて使って泰山府君祭を行い、そのうえで自身の寿命を捧げた。少しでも無理をしようとするとずっしりと胸が苦しくなり、激しい痛みが頭を襲う。今までのように自由に霊符を作製・使役することは困難となった。
そうして最後の戦いから二月経った今も、あかりはこんこんと眠り続けたままだった。招魂祭も泰山府君祭も成功しているはずで、確かにあかりの魂は身体から離れていないようだったし、脈も呼吸もあるから生命活動は維持できている。
あかりが生きていることに安堵する一方で、未だ意識を取り戻さないことに不安がつきまとう。世は各地の復興という課題こそあれど、今までの戦いが嘘だったかのように平和になった。それにもかかわらず、結月たちの心中は平穏とは言い難かった。
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