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第九話 花綻ぶ夏の夜
第九話 一四
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子ども達の門限に合わせて、職員も帰ることにしているとは予め聞いていた。行きはともかく、帰りはひと通りもまばらな暗い小丘を子ども達だけで歩かせるのは心配だからだ。街の出入り口付近で全員集合し、帰りは一緒に学び 家に戻る手筈になっている。
慈乃とウタセが集合場所に到着するが、あたりにはまだ誰もいなかった。
ふたりで他愛ない話をして皆が戻るのを待っていたら、まもなくミトドリとニアがやって来た。小さな子ども達も一緒だ。
「さっすが、ウタとシノ! しっかり者のふたりのことだから絶対最初に来ると思ってた」
「ふたりも花祭は楽しめたかい?」
ミトドリが微笑みながら尋ねる。慈乃もウタセも肯定した。
ウタセが積極的に花祭中の出来事を話し、慈乃がそれに頷いたり相槌を打ったりする。ミトドリもそれを楽しそうに聞いた。ニアも子ども達の相手をしながら話だけは聞いているようで、ときどき笑っていた。
「お待たせしました」
「ただいま」
「……ただいま」
ニア達に連れられた子ども達以外は、皆自由行動をしていた。最初に現れたのはテオとウルフィニと両手をつないだスイセンだった。
その後にカルリアとメリル、クルルとホノと続々と集合場所に子ども達が集まってくる。
最後は疲れた顔をするソラルを慰めるトゥナといまだ元気の有り余るガザ、アヅ、レヤ、フィオで、彼らを追い立てるようにツクシとスギナが最後尾を歩いていた。
「多分こいつらが最後だろ」
「来てくれて助かりました……」
学び家の皆は基本的に仲が良い。クルルとソラルも言い合いこそするが、心底から嫌っているというよりもけんかするほど仲が良いといった感じに近い。本人達は否定するが、既にそれが息ぴったりで説得力には欠けた。
そのようにまんべんなく仲良くやっているが、特に気の合う付き合いやすいひとというのは当然存在する。サーヤとシキブとヒイラギの三人組だったり、タムとヨルメイとアスキとライモの四人組だったりがそうだ。ふんわりとした組み分けのなかで、現在の学び舎一やんちゃなグループといったらガザ達の六人組だった。
子どもらしく勝手気ままなレヤとフィオ、それに便乗するアヅとさらに焚きつけるガザが主な原因だった。ソラルはとりあえず諫めるが四人が言うことを聞き入れた例はない。そのせいでひとり疲労したソラルを、目指すチャラさからは程遠く真面目に律儀にフォローするのがトゥナだ。
今日の花祭も例にもれなかった。ツクシを引きずったスギナがガザ達を回収し、ソラルが救われたというのも妙にしっくりくる構図である。
ミトドリは全員そろったことを確認して、先導するように学び家への帰り道を歩き始めた。皆もぞろぞろとそのあとに続く。
「あ、シノ姉も飴作ってもらったんだ! 私もだよ」
カルリアが右手に持ったカルセオラリアの飴細工を軽く振った。月明かりに照らされて、飴の赤色と黄色が鈍くつやめく。
「あの職人さんすごいよね。作れない花なんてないみたい」
聞くところによると、三番地の花祭で飴細工を扱う屋台はその一軒だけとのこと。そこの職人には知らない花も作れない花もないと噂されており、実際どんな花も注文どおりにすぐに仕上げるのだとか。ただ、知る人ぞ知る屋台のため、大繁盛といったふうではないらしい。
「メリルもまえにおまつりきたけど、はじめてみたよ。カルリアお姉ちゃんにかってもらったんだ」
メリルが高く掲げた飴はヒマワリの花。花にも劣らない満開の笑みを見せるメリルは、今日の花祭にご満悦のようだった。
カルリアもそれを見て嬉しそうに微笑んだが、振り返って慈乃の隣を歩くウタセを見遣る。
「っていうか、ウタ兄はなんで大量のガラス玉を持ってるの?」
「キラキラいっぱいだね」
テオが手を伸ばして、ウタセの持つガラス玉の入った巾着袋をつついた。
「スギナとツクシからもらったんだよ」
慈乃とウタセが集合場所に到着するが、あたりにはまだ誰もいなかった。
ふたりで他愛ない話をして皆が戻るのを待っていたら、まもなくミトドリとニアがやって来た。小さな子ども達も一緒だ。
「さっすが、ウタとシノ! しっかり者のふたりのことだから絶対最初に来ると思ってた」
「ふたりも花祭は楽しめたかい?」
ミトドリが微笑みながら尋ねる。慈乃もウタセも肯定した。
ウタセが積極的に花祭中の出来事を話し、慈乃がそれに頷いたり相槌を打ったりする。ミトドリもそれを楽しそうに聞いた。ニアも子ども達の相手をしながら話だけは聞いているようで、ときどき笑っていた。
「お待たせしました」
「ただいま」
「……ただいま」
ニア達に連れられた子ども達以外は、皆自由行動をしていた。最初に現れたのはテオとウルフィニと両手をつないだスイセンだった。
その後にカルリアとメリル、クルルとホノと続々と集合場所に子ども達が集まってくる。
最後は疲れた顔をするソラルを慰めるトゥナといまだ元気の有り余るガザ、アヅ、レヤ、フィオで、彼らを追い立てるようにツクシとスギナが最後尾を歩いていた。
「多分こいつらが最後だろ」
「来てくれて助かりました……」
学び家の皆は基本的に仲が良い。クルルとソラルも言い合いこそするが、心底から嫌っているというよりもけんかするほど仲が良いといった感じに近い。本人達は否定するが、既にそれが息ぴったりで説得力には欠けた。
そのようにまんべんなく仲良くやっているが、特に気の合う付き合いやすいひとというのは当然存在する。サーヤとシキブとヒイラギの三人組だったり、タムとヨルメイとアスキとライモの四人組だったりがそうだ。ふんわりとした組み分けのなかで、現在の学び舎一やんちゃなグループといったらガザ達の六人組だった。
子どもらしく勝手気ままなレヤとフィオ、それに便乗するアヅとさらに焚きつけるガザが主な原因だった。ソラルはとりあえず諫めるが四人が言うことを聞き入れた例はない。そのせいでひとり疲労したソラルを、目指すチャラさからは程遠く真面目に律儀にフォローするのがトゥナだ。
今日の花祭も例にもれなかった。ツクシを引きずったスギナがガザ達を回収し、ソラルが救われたというのも妙にしっくりくる構図である。
ミトドリは全員そろったことを確認して、先導するように学び家への帰り道を歩き始めた。皆もぞろぞろとそのあとに続く。
「あ、シノ姉も飴作ってもらったんだ! 私もだよ」
カルリアが右手に持ったカルセオラリアの飴細工を軽く振った。月明かりに照らされて、飴の赤色と黄色が鈍くつやめく。
「あの職人さんすごいよね。作れない花なんてないみたい」
聞くところによると、三番地の花祭で飴細工を扱う屋台はその一軒だけとのこと。そこの職人には知らない花も作れない花もないと噂されており、実際どんな花も注文どおりにすぐに仕上げるのだとか。ただ、知る人ぞ知る屋台のため、大繁盛といったふうではないらしい。
「メリルもまえにおまつりきたけど、はじめてみたよ。カルリアお姉ちゃんにかってもらったんだ」
メリルが高く掲げた飴はヒマワリの花。花にも劣らない満開の笑みを見せるメリルは、今日の花祭にご満悦のようだった。
カルリアもそれを見て嬉しそうに微笑んだが、振り返って慈乃の隣を歩くウタセを見遣る。
「っていうか、ウタ兄はなんで大量のガラス玉を持ってるの?」
「キラキラいっぱいだね」
テオが手を伸ばして、ウタセの持つガラス玉の入った巾着袋をつついた。
「スギナとツクシからもらったんだよ」
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