カモミールの福音 ~花と〈家族〉に癒される優しい世界の物語~

南 鈴紀

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小話

和やかな休日

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 頭上に広がる空は青く澄み渡り、太陽は柔らかな光を地上に落とす。今朝手伝って干した洗濯物がよく乾きそうな良い天気である。
 「いいお天気ねぇ」とシキブが話すその右隣で、サーヤは腕を上げて伸びをしていた。ヒイラギもシキブの左隣で相槌を打った。すると、ヒイラギの花の精も会話に加わってくる。
『お出かけ、楽しめそうだね』
「うん」
『良かったね』
「うん、良かった」
 ヒイラギは人目を憚らずに花の精にも返事をした。ヒイラギ以外には聞こえない声なので、一見独り言を呟いているように思われるが、サーヤとシキブは慣れたもので特に言及はしてこなかった。
「今日はどこに行きましょうかぁ」
「前に話したお菓子屋さんと期間限定の屋台、それからお昼ご飯はウタ兄さんおすすめのカフェなんてどう?」
 サーヤがすかさず提案すると、異論もなくシキブとヒイラギは頷いた。
 話しながらの街への道中は楽しくてあっという間だった。早くも街の喧騒と水の匂いが届く。
「まずはお菓子屋さんかな」
「どの辺りにあったかしらぁ」
『お菓子屋さんはこっちだよ。ついておいで』
「こっち」
 ヒイラギの花の精の案内のもと、三人は目的の店へ向かった。
 食料や衣類、雑貨など様々な商品が通りに並ぶ。あちこちに飾られた花とひとの活気も相まって、本当に賑やかだ。
 三人は休日の街中ではぐれないように気をつけながら、ひとごみを縫って進んだ。
 途中でシキブが小さく声をあげた。
「あ、ここ気になるわぁ。ちょっとだけ寄り道してもいいかしらぁ?」
「もちろんだよ」
「ああ、行こう」
 サーヤとヒイラギが迷いなく賛成すると、シキブは嬉しそうに「ありがとうございますぅ」と微笑んだ。そして気になったという雑貨屋に三人揃って入っていく。
 シキブは可愛らしい鉛筆を二本手に取って、二人に見せた。
「こっちとこっち、どちらがいいかしらぁ」
  シキブの左手にはピンク色を基調とした花柄の鉛筆、右手には水色の地に白のドットが散りばめられた鉛筆がある。問われた二人は同時にシキブの左手を指差した。
「こっちだな」
「そうだね。柔らかい感じがシキブによく似合うよ」
「ふふっ、サーさんったらお上手だわぁ。ヒーさんもありがとうございますぅ。こっちの鉛筆にするわぁ」
  貯めていたお小遣いで鉛筆を購入したシキブはほくほくと満足げな表情をしていた。
  雑貨屋を後にし、菓子屋を目指す。
  毎日ほぼ一緒に行動する彼らだが、話題が尽きたことはない。この日のぼった話題は、数日前に学び家にやって来た新しい女性職員についてだった。
「シノ姉さんって不思議な方よねぇ」
「不思議ってどういう不思議さ?」
  いまいちぴんときていない顔でサーヤがシキブを振り返る。シキブは少し考えてた言葉をまとめてから話し出した。
「きれいな女性なのに、まるで子どものように見えるときがあるっていうのぉ?」
  首を傾げた拍子にシキブの紫式部色の髪が僅かに肩に流れた。そして黄浅緑色の瞳をぱちぱちとしばたたかせる。
「……なんで疑問形なんだ?」
  ヒイラギもつられて首を傾げた。こちらは長めの常盤色の前髪が揺れ、隠れがちな白色の瞳が覗いた。
  一方でサーヤにはシキブの言わんとしていることがわかったらしく、納得顔をしていた。
「シノ姉さんはあんまりしゃべる方じゃないし表情も硬いけど優しいひとなのはわかるな。大人っぽい雰囲気なのに実際は子どもみたいだよね」
『純真無垢?』
  花の精の呟きにヒイラギは律儀に答える。
「どうだろうな」
『違うの?』
「素直で感受性が強いんじゃないかと自分は思うけど」
『ふーん』
 花の精には違いがよくわからなかったらしい。ヒイラギは苦笑すると、シキブとサーヤとの会話に戻った。
「そういえば絵がお上手だとかぁ。私はまだ見たことないけれどぉ」
「あ、自分は見た。メリルに見せてもらったけど、なんかよくわからないモノが描いてあった」
「よくわからないモノってぇ?」
「『動物』っていうらしい」
「へー、ボクも見てみたいな」
 話しながら歩いていたら、すぐに目的の菓子屋に到着した。適度な賑わいを見せる店内に、ヒイラギ達も足を踏み入れる。
 店内の中央に置かれたテーブル台や壁に設えられた棚、レジ横のショーケースにはクッキーやメレンゲ、ケーキなどが見映えよく配置されている。眺めているだけでも幸せな気分に浸れそうな雰囲気である。
 ヒイラギは籠を手にすると、いくつかの菓子を選んでいった。
 その半歩後ろでシキブとサーヤが小さく笑う。
「食べることが大好きよねぇ、ヒーさんったらぁ」
「だね。ボク達も何か買っていこう」
 花型のココアクッキーを取ってサーヤが言った。

 店を出て、次に向かうのは期間限定の屋台である。
『まだ先にあるみたい』
「わかった」
 花の精の案内に従って、ヒイラギ達は歩を進める。
 今度の話題は、先ほどの店で何を買ったのかについてだった。
「すごい買いこんでたよね、ラギ」
「そうか? これでも絞ったけど……」
「紙袋がパンパンだわぁ」
 シキブが指摘した通り、ヒイラギの持つ紙袋には菓子がぎっしりと詰まっている。指折り数えながら、ヒイラギは中身を教えてくれた。
「アイシングクッキーとエディブルフラワー入り琥珀糖、ショコラオランジェ、マカロンに季節のパウンドケーキ、あとは……」
「まだあるの⁉」
「成長期だものねぇ。甘いものが食べたくなるのよねぇ」 
「ああ、そうだな」
「そんな理屈ある?」
 喧騒に掻き消されないで、三人の会話は続く。
「シキブとサーヤは何買った?」
 ヒイラギの問いにはサーヤから答えた。
「ボクは花型のクッキー。バニラとココア」
「美味しそうだったけど、今回は我慢したやつ……」
「あはは。あとで感想を伝えるよ」
  サーヤは爽やかに笑った。ヒイラギはひとつ頷くと、次いでシキブを見た。
「シキブは?」
「私? 私はエディブルフラワーのカップケーキとドライストロベリーのチョコがけにしたのぉ」
「ドライストロベリーのチョコがけは自分も買った。楽しみ」
「あらあらぁ。おそろいですねぇ」
  三人で笑いあいながら道を進むと、ようやく目当ての屋台が視界に映った。
  レモン色で塗られた木材でできた動く大きな箱は、一見するだけでおしゃれだと思った。壁にフラワーリースやドライフラワーが飾られ、屋台の周囲には色とりどりのプランターが並んでいる。
「すみません。メニュー表をください」
  サーヤは店員に声をかけてメニュー表を受け取ると、シキブとヒイラギに見せるようにして持ち直した。
「わあ、どれもすてきぃ!」
「迷う……」
  メニュー表には数種類のパフェゼリーのイラストと簡単な説明書きが載っていた。
  考えあぐねた末、シキブはブドウ、サーヤはイチゴ、ヒイラギはレモンのパフェゼリーにした。
  決して高額ではないお小遣いしか収入がない彼らにとってこのパフェゼリーは贅沢品だったが、それすら惜しくないと思わせるほど美味しかった。
  ヒイラギは上にのったレモンのはちみつ漬けをぱくりと頬張ると、目元を和らげた。
「美味しい……!」
 以後は無言でもくもくと食べ続けていた。
  一方のシキブとサーヤは、お互いのパフェゼリーをつつきあって美味しさを共有している。
「ブドウゼリーの上に生のブドウなんて豪華だよね」
「サーさんのイチゴに杏仁豆腐も美味しいわぁ」
  味わって食べた後、食器を屋台に返して三人はお昼ご飯を食べるためにウタセおすすめのカフェに向かった。
『今日はグルメツアーだね』
「食べることは幸せなこと」
『そうだねぇ』
  今度は花の精に頼らず、ウタセに描いてもらった地図を片手に来た道を戻っていく。左右から二つの頭がひょっこりと出てきて、地図を覗き込んだ。
「今がこの辺かな」
「だとしたらそろそろ見つかりそうねぇ」
  それから十分ほど歩くと、件のカフェが見えてきた。白の漆喰でできた二階建て、その一階の一部がカフェになっているようだ。
 三人は揃って店内に入った。
 内装も壁の白を基調としていて飾られた花が非常に映える。 
 ここではウタセのおすすめを注文することにしていたので時間はかからずメニューは決まった。
「おすすめのカレーってどんなものなんだろうね」
「ウタ兄さんは食べてからのお楽しみとしか言わなかったけど」
「あ、来ましたよぉ」
 運ばれてきたプレートにはデンファレの食用花が一輪飾られ、華やかさを添えていた。見た目の珍しさでいったらそれくらいのもので、見ただけではどこが『ウタセのおすすめ』なのかはわからなかった。
「それではぁ、おててをあわせてぇ……」
「いただきます!」
 三人で声を合わせて合掌した。
 食べて初めて、ウタセがおすすめだと言った理由がわかった。
 カレーの具には野菜や茸、レーズンがごろごろと入っていた。隠し味にリンゴとマンゴーの風味が感じられる。
 ニアが作るカレーにはジャガイモ、ニンジン、タマネギとソイミートボールが入っていることが多いので、ウタセが珍しがっておすすめした気持ちがわかる気がした。
「ウルも好きそう。いつか連れて行きたい」
 ヒイラギが呟くと、シキブとサーヤもうんうんと頷いた。
「アスキやライモ達にも教えてあげたいね」
「ですねぇ。きっと喜んでくれるでしょうねぇ」
 あたたかな空気に包まれて、ヒイラギ達は食事の時間を楽しんだ。

 日暮れが迫る帰り道の丘で仲良く手をつなぐ三人組の後ろ姿をとらえた。
「あら、あれって……」
「スイセン兄さんとテオと……シノ姉さんか?」
 シキブとヒイラギの疑問の声を背にして、サーヤは三人組に歩み寄り、声をかけた。
「仲良く手をつないで並んでると思ったら、スイ兄さん達だったか」
 振り返ったシノにサーヤは笑顔で手を振った。その隣には、サーヤに追い付いたヒイラギとシキブの姿もある。
「あらあら、お花屋さんに行ってきたんですかぁ」
 シキブがテオの右手に握られた花束を目に留めて、手をあわせた。
「いいですねぇ、春らしい組み合わせだわぁ」
「……スイセンもある。選んだのはテオかシノ姉さん?」
 ヒイラギはスイセンの性格を知っているので、彼が自らスイセンを選ぶことはないだろうとある程度予想しているようだった。
 テオは嬉しそうに、ぱっと顔を輝かせる。
「うん、ぼくがきめたんだよ」
「そうか……。テオらしくて、いいと思う」
 ヒイラギは淡く微笑むと、優しい手つきでテオの頭を撫でた。テオがくすぐったそうに笑う。
 サーヤはその様子を目の端に映しながらも、シノを見上げた。
「でも、シノ姉さんまで一緒とはね。今朝は外出するなんて言ってなかったのに」
「今日のお昼に、急遽、決まったので……」
 シノがかいつまんで経緯を説明すると、「ニア姉さんらしいというかなんというか」とサーヤはため息まじりに呟いた。
 そうこうしているうちに、夕陽の色はますます濃くなり、反対の空の端も群青色に染まり始めていた。
「あんまり遅くなると怒られちゃうし、まっすぐ帰ろうか」
 スイセンの言うことに素直に従ったテオは、今度は花に気を取られて足を止めることなく、学び家への道を歩いていった。
 そのあとにヒイラギ達もついていく。
 和やかな休日の思い出を胸に、大好きな帰るべき家を目指し、彼らは家路を辿るのだった。
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