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1章
霧の中の触手の妖(*次からR18です)
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※※
目を覚ますとすっかり日が昇って
扉の隙間から朝日が差し込んでいた。
すでに中尉が起きていているようで
その姿はなく、代わりに体が綺麗にされていた。
俺は慌てて起き上がると、
中尉を探しに行こうと立ち上がろうとした。
瞬間、腰に鈍痛が走り、そのままへたり込む。
「起きましたか?ああ、まだ寝てた方がいいですよ。
体、本調子じゃないでしょう」
ちょうどお堂の扉を開けて中尉が中に入ってきた。
「申しわけありませんでした
昨夜はあんな醜態をさらしてしまい、
本当に、申しわけありませんでした!」
「大丈夫です。昨日はいい思いをさせてもらいました
私はすっかり元気になったようです」
さわやかに笑う中尉を見て、
俺は昨夜のことを思い出し、恥ずかしさに顔を真っ赤にして
床に自分の頭をぶつけ、突っ伏した。
土蜘蛛の毒に犯されたとはいえ、上官の前であんなことや
こんなことをやってしまった。
「う゛う゛、後生ですから忘れてください。
それで土蜘蛛はどうなりました?」
「あれは昨日倒しましたよ。君が寝ているときに」
「申しわけありませんでした!」
俺は思わずその場に土下座し、顔を地面に擦り付けて謝った。
「それよりも今日はくれぐれもよろしくお願いします。
いよいよ東の村に足を踏み入れるのですから」
「・・・・」
「何ですか、その顔は」
「・・・・・懲罰はないのですか」
俺は中尉と視線を合わせるのができず、下を向いた。
瞬間、中尉は俺にすすっと近寄ると、耳元で囁いた。
「では、今夜、また」
※※※※
東の村は山の奥の旧道のトンネルの向こう側にある。
暗いトンネルを抜けた先に俺たちは重々しく霧で包まれた場所に出た。
「昼間なのに、寒いですね。
この辺りは子どもの頃とは
だいぶ様相が様変わりしているようです」
「そうですね。はぐれないように気を付けてください」
はぐれないように、と言われ、
俺は中尉の傍にぴったりとくっつき歩く。
「手でもつなぎましょうか?」
俺の様子に面白がってか中尉が話しかけてくる。
「い、いえ、大丈夫であります。申し訳ありません」
俺は恥ずかしくなって中尉から少し離れた。
しかしその瞬間、霧が深くなり、
突然中尉の姿が霧の向こうに隠れてしまった。
「あ、あれ?中尉?どこにいるんですか?中尉!」
急にいなくなってしまった中尉を探して、闇雲に歩き回る。
やばい、中尉を見失ってしまった。
中尉どころか霧が深くて道まであやふやだ。
俺はその場に座り込む。
「中尉・・・・」
ヨシちゃん・・・・
ふいに名前を呼ばれて振り返る。
「誰かいるのか!」
呼びかけるも誰もいない。深い霧で視界は真っ白だ。
ふとそこで気づいた。
俺をこの名前で呼ぶのは一人しかいない。
ヨシちゃん、
「母さま・・・?」
ヨシちゃん、おいで、ヨシちゃん
「どこだ?母さま、どこに・・・」
俺は懐かしい声に振り返り、辺りを見回し、
ただ闇雲に出所を探す。
呼ばれた方向に向かって霧の中をかき分ける。
ヨシちゃん、ヨシちゃん
「母さま、」
ふいに、柔らかい、温かいものが俺の頬に触れた。
それは頬を撫でると、頭をそっと抱き寄せてくる。
「母さま」
もう覚えていないくらい前、母さまに柔い手で頭を撫でられて、
心地よかった感覚を思い出した。
ああ、気持ちい、幸せだ
意識がふわふわと水面を揺蕩うように、
ぼんやりとしてくる。
暖かいそれは、無数のの”手”によって俺の体を包み込んでいく。
ゆっくりとそれに取り込まれ、一つになっていく。
様々な感覚がガラス越しに見るように、遠くなり
何もかもが些細なこととして、脳から零れ落ちていく。
どうでもいい。
このまま気持ちよさに沈んでしまえば。
「佐倉軍曹!」
意識を切り裂くような鋭い声で現実に戻された。
中尉の声だ。
そこでようやく俺は目を開き、自分の置かれている状況を
把握することができた。
俺は人の臓器のような毒々しい色をした
無数の触手に捕らわれていた。
「わっ、うわっ、」
慌てて触手から逃れようとするも、体を覆うように拘束され、
全くびくともしない。
「中尉、すいませんっ!あっ、ひぃっ」
いきなり触手が動き出し、体を這いまわり、
服の内側に入り込んでいく。
「なっ、なんだっ、うっ、気持ち悪いっ」
「大丈夫ですか!佐倉軍曹!」
中尉は日本刀を抜き、俺の方に駆け寄ってくる。
しかし、その行く手は伸びてきた触手によって塞がれた。
「くそっ、何とかわたしが行くまで耐えてください!」
「はいぃっ、っ、くっ」
中尉は触手と応戦し、切り裂いていくが、無数の触手は
切っても切っても無限に湧いて出てくる。
「中尉ぃっ!」
俺が何とかしないとこのままでは中尉も体力が尽きて
触手の餌食になってしまう。
目を覚ますとすっかり日が昇って
扉の隙間から朝日が差し込んでいた。
すでに中尉が起きていているようで
その姿はなく、代わりに体が綺麗にされていた。
俺は慌てて起き上がると、
中尉を探しに行こうと立ち上がろうとした。
瞬間、腰に鈍痛が走り、そのままへたり込む。
「起きましたか?ああ、まだ寝てた方がいいですよ。
体、本調子じゃないでしょう」
ちょうどお堂の扉を開けて中尉が中に入ってきた。
「申しわけありませんでした
昨夜はあんな醜態をさらしてしまい、
本当に、申しわけありませんでした!」
「大丈夫です。昨日はいい思いをさせてもらいました
私はすっかり元気になったようです」
さわやかに笑う中尉を見て、
俺は昨夜のことを思い出し、恥ずかしさに顔を真っ赤にして
床に自分の頭をぶつけ、突っ伏した。
土蜘蛛の毒に犯されたとはいえ、上官の前であんなことや
こんなことをやってしまった。
「う゛う゛、後生ですから忘れてください。
それで土蜘蛛はどうなりました?」
「あれは昨日倒しましたよ。君が寝ているときに」
「申しわけありませんでした!」
俺は思わずその場に土下座し、顔を地面に擦り付けて謝った。
「それよりも今日はくれぐれもよろしくお願いします。
いよいよ東の村に足を踏み入れるのですから」
「・・・・」
「何ですか、その顔は」
「・・・・・懲罰はないのですか」
俺は中尉と視線を合わせるのができず、下を向いた。
瞬間、中尉は俺にすすっと近寄ると、耳元で囁いた。
「では、今夜、また」
※※※※
東の村は山の奥の旧道のトンネルの向こう側にある。
暗いトンネルを抜けた先に俺たちは重々しく霧で包まれた場所に出た。
「昼間なのに、寒いですね。
この辺りは子どもの頃とは
だいぶ様相が様変わりしているようです」
「そうですね。はぐれないように気を付けてください」
はぐれないように、と言われ、
俺は中尉の傍にぴったりとくっつき歩く。
「手でもつなぎましょうか?」
俺の様子に面白がってか中尉が話しかけてくる。
「い、いえ、大丈夫であります。申し訳ありません」
俺は恥ずかしくなって中尉から少し離れた。
しかしその瞬間、霧が深くなり、
突然中尉の姿が霧の向こうに隠れてしまった。
「あ、あれ?中尉?どこにいるんですか?中尉!」
急にいなくなってしまった中尉を探して、闇雲に歩き回る。
やばい、中尉を見失ってしまった。
中尉どころか霧が深くて道まであやふやだ。
俺はその場に座り込む。
「中尉・・・・」
ヨシちゃん・・・・
ふいに名前を呼ばれて振り返る。
「誰かいるのか!」
呼びかけるも誰もいない。深い霧で視界は真っ白だ。
ふとそこで気づいた。
俺をこの名前で呼ぶのは一人しかいない。
ヨシちゃん、
「母さま・・・?」
ヨシちゃん、おいで、ヨシちゃん
「どこだ?母さま、どこに・・・」
俺は懐かしい声に振り返り、辺りを見回し、
ただ闇雲に出所を探す。
呼ばれた方向に向かって霧の中をかき分ける。
ヨシちゃん、ヨシちゃん
「母さま、」
ふいに、柔らかい、温かいものが俺の頬に触れた。
それは頬を撫でると、頭をそっと抱き寄せてくる。
「母さま」
もう覚えていないくらい前、母さまに柔い手で頭を撫でられて、
心地よかった感覚を思い出した。
ああ、気持ちい、幸せだ
意識がふわふわと水面を揺蕩うように、
ぼんやりとしてくる。
暖かいそれは、無数のの”手”によって俺の体を包み込んでいく。
ゆっくりとそれに取り込まれ、一つになっていく。
様々な感覚がガラス越しに見るように、遠くなり
何もかもが些細なこととして、脳から零れ落ちていく。
どうでもいい。
このまま気持ちよさに沈んでしまえば。
「佐倉軍曹!」
意識を切り裂くような鋭い声で現実に戻された。
中尉の声だ。
そこでようやく俺は目を開き、自分の置かれている状況を
把握することができた。
俺は人の臓器のような毒々しい色をした
無数の触手に捕らわれていた。
「わっ、うわっ、」
慌てて触手から逃れようとするも、体を覆うように拘束され、
全くびくともしない。
「中尉、すいませんっ!あっ、ひぃっ」
いきなり触手が動き出し、体を這いまわり、
服の内側に入り込んでいく。
「なっ、なんだっ、うっ、気持ち悪いっ」
「大丈夫ですか!佐倉軍曹!」
中尉は日本刀を抜き、俺の方に駆け寄ってくる。
しかし、その行く手は伸びてきた触手によって塞がれた。
「くそっ、何とかわたしが行くまで耐えてください!」
「はいぃっ、っ、くっ」
中尉は触手と応戦し、切り裂いていくが、無数の触手は
切っても切っても無限に湧いて出てくる。
「中尉ぃっ!」
俺が何とかしないとこのままでは中尉も体力が尽きて
触手の餌食になってしまう。
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