24 / 36
☆第二十三話 小さくて超重要な手がかり☆
しおりを挟む
「本っ当ぅにっ、申し訳ありませんでしたっ!」
別宅の居間で、椅子へ腰掛ける金髪の美少女と傍らに控える黒髪メイド長を前に、仮面にマントのヒーローは、深く深く土下座をしていた。
感知した小さな怒りの感覚に、シーデリアお嬢様とメイド長アリスの危機を想像した正人は、考えるよりも先に怒りの意志で突撃。
その結果が、金髪少女と黒髪女性の入浴場面だったのである。
正人の生前世界の謝罪の常識、日本の土下座を初めて見た二人は、湯上がりから簡単な身支度をしたラフな服装で、見知らぬ謝罪を戸惑いながら受け入れていた。
「あ、あの…マサト様、どうかお顔をお上げ下さい…っ!」
「お嬢様も、このように申しておりますです。それに、マサト殿がお嬢様や私の身を案じて下さっていた事は、お嬢様も理解をしておいです」
シーデリアはまだ恥ずかしそうだけど、主より二つ年上のメイド長は、恥ずかしながらも落ち着いている。
「はぃ…もう二度と、このような失態は…」
座したままシュンと頭を垂れる青年を、可愛いと感じている様子のシーデリア。
サラサラ金髪の主に代わって、纏め黒髪のメイド長が問う。
「それで、マサト殿。飛び込んで来た理由を、お聞かせ願えますですか?」
「あ…は、はい。実は…」
マサトは正座のまま少し考え「シーデリアとアリスになら話しても大丈夫だろう」と判断をして、羊皮紙の件と、マサト自身の悪意探知訓練の件を伝えた。
「…というワケでして。僕も、普段の犯罪行為の悪意と同時に、魔方陣の羊皮紙を持ち込むテロリストたちの悪意を察知しようと、訓練中でして…」
「それで、マサト様は、私たちの浴し――こ、こちらの別宅へ?」
問いながら、メイド長に背後から頭髪を洗って貰っていた自分たちを思い出し、想わず言葉が詰まる。
シーデリアは年上のアリスを姉のごとく信頼していて、お風呂も一緒に入るので、マサトが飛び込んで来た時も二人は当然、裸であった。
そんなシーデリアたちの羞恥に気づく事なく、正人は浴室乱入の事情について答える。
「は、はい…。その、こちらの一室から、なにやら 小さく強い怒りの気配を、感じましたもので…」
「ま、まぁ…」
「なるほど…」
正人の説明に、シーデリアは驚いて頬を染め、アリスは納得が出来たように微笑んで頷く。
「それで僕はその…お二人が何か、危険な目に遭っているのでは。と、考えまして…」
「それで、お嬢様を護る為にマサト殿が飛び込んで来た。という事情でしたのですか♪」
「はぃ…ほんとうに、申し訳ありませんでした…」
失態の理由を聞いたアリスは温かい笑みを浮かべ、シーデリアは嬉しそうに恥ずかしそうに俯いて、伏せた笑顔は喜びで艶々していたり。
「お嬢様」
「え、ええ。マサト様、どうか、もうお気になさらず♪」
「お、お許し頂けますのでしょうか…?」
「はい♪ むしろ私とても…コホん」
とても嬉しそうに何かを言いかけたシーデリアは、ハっと気付いて誤魔化す。
「お嬢様、それ以上は、はしたなく御座います」
「わ、解ってますわ…ぇへ…♪」
メイド長に注意をされながらも、シーデリアは喜びを抑えられない感じだった。
「それで、マサト殿。火炎の災害をもたらす羊皮紙とは…」
「あ、はい! 実は、このような物でして」
あらためて犯罪事案の件で問われた正人は、シュンと身を縮込ませた謝罪モードから、人々の平和を護るヒーローぜんと、シャキっと背筋の伸びた正座姿勢で、シームの描いた魔力の無い魔方陣を見せた。
「失礼いたしますです」
青年から紙を預かったメイド長が、主へと見せる。
紙を受け取ったシーデリアは、描かれている魔方陣をジっと見て、何かを想いだした様子だ。
「………あら、この模様――ハっ!」
「…お嬢様、お心当たりが?」
「え、えぇとぉ…」
気付いたお嬢様の、なんともバツの悪そうな驚きと、それを察したメイド長の、やや責めるような物言い。
そして咎めるような黒髪メイドの視線に焦る、金髪のお嬢様である。
「シーデリアさん、なんでも良いので、気付いた事をお話し下さいっ!」
「あ、は、はい…ア、アリス、先日の、お守りを」
「…承知致しました」
観念したようなお嬢様の命令に、もう色々と解った感じなメイド長が、やや呆れながら退室をして、とある小物を手に乗せて戻ってきた。
シーデリアがアリスから受け取ったのは、掌サイズのお目出度そうな小袋である。
立ち上がって、椅子に腰掛けているシーデリアの目の前へ寄った仮面のヒーローが、開かれた両掌の小袋を、ジっと見つめた。
「それは…?」
「はい。先日、商店エリアから少し外れた住宅エリア近くでお店を開いた、とある小物商店…たしか『マイマイ商店』…で、配られていた、オープニング・プレゼントです」
赤い生地で作れた小袋は、金色の縁取りでキラキラとしていて、口は白色の紐で綺麗に綴じられている。
「この小袋は『開店祝いのお守り』であると マイマイ商店の前で配られておりまして…時間帯もあり、多くの方たちが 受け取っておられました」
見た目的には、たしかに普通のお守り。
「お嬢様も、商店の視察という意味で店舗へと立ち寄られ、この小袋を頂いて参りましたので御座いますです」
「そ、それで…」
アリスから向けられる咎める視線を、気まずそうに意識をしながら、シーデリアは正直に話した。
「この小袋の中に…その…」
言いながら、シーデリアが小袋の紐を解いて、その中身を取り出すと、それは厚紙のような羊皮紙を無理矢理小さく折り畳んだ、まるでブロックみたいな塊が現れる。
「これは…?」
「マサト様、開いて見て下さいな」
手渡された羊皮紙のブロックを、ヒーローが丁寧に拡げたら、それは件の魔方陣が描かれた羊皮紙だった。
「っ! な、なんと…っ! シーデリアさんは、この羊皮紙…お守りをっ、小物しょっ――マイマイ商店で手に入れたっ。という事ですかっ?」
「はい」
シーデリアのハッキリとした返答で、正人の中で、恐ろしい仮説が広がって行く。
「…つまり、テロリストたちは…商店に偽装した拠点をこのオドサンの街に構えていて、お守りという形で人々へ密かに手渡し、広く配布をしている…っ!」
やはり、テロ組織と見て良いだろう。
いつから街での配布が始まったのか。
そして、拠点は一つだけなのだろうか?
現在、どれ程の人々に羊皮紙が行き渡っているのか。
そう考えると、事態は想っていた以上に、深刻な進行具合な気がする。
(と、とにかくっ、この情報をいち早くっ、ドングリウルさんたちへ…っ!)
そう焦る正人を余所に、黒髪のメイド長は、金髪のお嬢様へ、ズイと詰め寄っていた。
「お嬢様、お守りの類は みだりに開封してはなりませんと、何度も申し上げた筈です」
「そ、そぅなんですけれどぉ…だってぇ、私、どうしても気になってしまって~…」
主従の関係なく、姉に咎められるイタズラな妹のように見える二人だ。
別に喧嘩でもなんでもない、女子二人の戯れだけど、女性に縁の無い正人は焦る。
「ま、まぁ、ですが…シーデリアさんの好奇心が、街の災いを阻止できる可能性が極めて高い、大変な発見をされたのですし…」
「そ、そうですわ♪ ね、アリス。マサト様の仰る通りなのですわ♪」
「結果論でございます」
「うぅ…」
年上メイド長のビシっとした正論に、金髪のお嬢様は、シュンと反省モードだ。
「…とはいえ、マサト殿の言葉にも一理ありに御座いますです。今回は、姉上様への報告は、いたしませんです」
「まあ、有難うアリス♪ マサト様♡」
「? は、はぃ…」
パァっと明るく輝いたシーデリアの笑顔に、正人は「姉上殿の躾けは相当にキビしいらしい」とだけ感じてから、ハっと想う。
「っ――そ、それではっ、僕はシーデリアさんから頂いた情報を、この羊皮紙と一緒に自警団の方たちへと伝えますっ! それでは失礼しますっ!」
「はい、マサト様」
「マサト殿、よしなに…」
二人に見送られながら、正人は窓から夜空へと飛び立った。
月明かりに照らされるオドサンの上空から街を見下ろしつつ、正人は考える。
「この街の、きっと多くの家に、既にこの羊皮紙が配られてしまっている…っ! もしこれが…いま魔法が発動されてしまったら…っ!」
眼下の街が、魔法の火災に包まれる地獄の光景が、思い浮かぶ。
街で知り合った人々だけでなく、知らない人たちの平穏な家庭だって、沢山ある。
「火炎テロ…そんな事、させてたまるかっ!」
とにかく今は、首謀者の悪意を探すよりも、この事実をいち早く、ドングリウルたちへ伝えなければ。
正人は無意識に飛行速度が上がり、先ほど話していた、団長たちの集合場所へと向かった。
商店地区の上空から、大通りの片隅にある中央広場で、自警団たちが集合している様子が見えた。
隊長である女性剣士のドングリウルが、数十名の自警団たちへ、現状報告をしている。
「…という訳で、羊皮紙を持ち込む犯罪者たちによる地下水路からの侵入も、今夜 あらためて確認がされた。街の正面入り口等は警戒が固くなっているし、衛士隊が入出者の徹底管理をしているので、我々は引き続き 街の中で不審者を中心に――」
「ドングリウルさんっ!」
「! アイアン――っマサトさんっ!」
上空から凄い速さで着地をした仮面のヒーローの猥名を呼びそうになって、女性団長はまた慌てて訂正。
「いまっ、シーデリアさんから、大変な情報を預かってきましたっ!」
「シーデリア嬢から?」
自警団団長のドングリウルと、副団長の女性で小柄な魔法使いのシームが、仮面ヒーローと距離を詰める。
「この羊皮紙の出所ですが…」
ヒーローのもたらした情報に、自警団の二人の美顔が、青ざめる。
~第二十三話 終わり~
別宅の居間で、椅子へ腰掛ける金髪の美少女と傍らに控える黒髪メイド長を前に、仮面にマントのヒーローは、深く深く土下座をしていた。
感知した小さな怒りの感覚に、シーデリアお嬢様とメイド長アリスの危機を想像した正人は、考えるよりも先に怒りの意志で突撃。
その結果が、金髪少女と黒髪女性の入浴場面だったのである。
正人の生前世界の謝罪の常識、日本の土下座を初めて見た二人は、湯上がりから簡単な身支度をしたラフな服装で、見知らぬ謝罪を戸惑いながら受け入れていた。
「あ、あの…マサト様、どうかお顔をお上げ下さい…っ!」
「お嬢様も、このように申しておりますです。それに、マサト殿がお嬢様や私の身を案じて下さっていた事は、お嬢様も理解をしておいです」
シーデリアはまだ恥ずかしそうだけど、主より二つ年上のメイド長は、恥ずかしながらも落ち着いている。
「はぃ…もう二度と、このような失態は…」
座したままシュンと頭を垂れる青年を、可愛いと感じている様子のシーデリア。
サラサラ金髪の主に代わって、纏め黒髪のメイド長が問う。
「それで、マサト殿。飛び込んで来た理由を、お聞かせ願えますですか?」
「あ…は、はい。実は…」
マサトは正座のまま少し考え「シーデリアとアリスになら話しても大丈夫だろう」と判断をして、羊皮紙の件と、マサト自身の悪意探知訓練の件を伝えた。
「…というワケでして。僕も、普段の犯罪行為の悪意と同時に、魔方陣の羊皮紙を持ち込むテロリストたちの悪意を察知しようと、訓練中でして…」
「それで、マサト様は、私たちの浴し――こ、こちらの別宅へ?」
問いながら、メイド長に背後から頭髪を洗って貰っていた自分たちを思い出し、想わず言葉が詰まる。
シーデリアは年上のアリスを姉のごとく信頼していて、お風呂も一緒に入るので、マサトが飛び込んで来た時も二人は当然、裸であった。
そんなシーデリアたちの羞恥に気づく事なく、正人は浴室乱入の事情について答える。
「は、はい…。その、こちらの一室から、なにやら 小さく強い怒りの気配を、感じましたもので…」
「ま、まぁ…」
「なるほど…」
正人の説明に、シーデリアは驚いて頬を染め、アリスは納得が出来たように微笑んで頷く。
「それで僕はその…お二人が何か、危険な目に遭っているのでは。と、考えまして…」
「それで、お嬢様を護る為にマサト殿が飛び込んで来た。という事情でしたのですか♪」
「はぃ…ほんとうに、申し訳ありませんでした…」
失態の理由を聞いたアリスは温かい笑みを浮かべ、シーデリアは嬉しそうに恥ずかしそうに俯いて、伏せた笑顔は喜びで艶々していたり。
「お嬢様」
「え、ええ。マサト様、どうか、もうお気になさらず♪」
「お、お許し頂けますのでしょうか…?」
「はい♪ むしろ私とても…コホん」
とても嬉しそうに何かを言いかけたシーデリアは、ハっと気付いて誤魔化す。
「お嬢様、それ以上は、はしたなく御座います」
「わ、解ってますわ…ぇへ…♪」
メイド長に注意をされながらも、シーデリアは喜びを抑えられない感じだった。
「それで、マサト殿。火炎の災害をもたらす羊皮紙とは…」
「あ、はい! 実は、このような物でして」
あらためて犯罪事案の件で問われた正人は、シュンと身を縮込ませた謝罪モードから、人々の平和を護るヒーローぜんと、シャキっと背筋の伸びた正座姿勢で、シームの描いた魔力の無い魔方陣を見せた。
「失礼いたしますです」
青年から紙を預かったメイド長が、主へと見せる。
紙を受け取ったシーデリアは、描かれている魔方陣をジっと見て、何かを想いだした様子だ。
「………あら、この模様――ハっ!」
「…お嬢様、お心当たりが?」
「え、えぇとぉ…」
気付いたお嬢様の、なんともバツの悪そうな驚きと、それを察したメイド長の、やや責めるような物言い。
そして咎めるような黒髪メイドの視線に焦る、金髪のお嬢様である。
「シーデリアさん、なんでも良いので、気付いた事をお話し下さいっ!」
「あ、は、はい…ア、アリス、先日の、お守りを」
「…承知致しました」
観念したようなお嬢様の命令に、もう色々と解った感じなメイド長が、やや呆れながら退室をして、とある小物を手に乗せて戻ってきた。
シーデリアがアリスから受け取ったのは、掌サイズのお目出度そうな小袋である。
立ち上がって、椅子に腰掛けているシーデリアの目の前へ寄った仮面のヒーローが、開かれた両掌の小袋を、ジっと見つめた。
「それは…?」
「はい。先日、商店エリアから少し外れた住宅エリア近くでお店を開いた、とある小物商店…たしか『マイマイ商店』…で、配られていた、オープニング・プレゼントです」
赤い生地で作れた小袋は、金色の縁取りでキラキラとしていて、口は白色の紐で綺麗に綴じられている。
「この小袋は『開店祝いのお守り』であると マイマイ商店の前で配られておりまして…時間帯もあり、多くの方たちが 受け取っておられました」
見た目的には、たしかに普通のお守り。
「お嬢様も、商店の視察という意味で店舗へと立ち寄られ、この小袋を頂いて参りましたので御座いますです」
「そ、それで…」
アリスから向けられる咎める視線を、気まずそうに意識をしながら、シーデリアは正直に話した。
「この小袋の中に…その…」
言いながら、シーデリアが小袋の紐を解いて、その中身を取り出すと、それは厚紙のような羊皮紙を無理矢理小さく折り畳んだ、まるでブロックみたいな塊が現れる。
「これは…?」
「マサト様、開いて見て下さいな」
手渡された羊皮紙のブロックを、ヒーローが丁寧に拡げたら、それは件の魔方陣が描かれた羊皮紙だった。
「っ! な、なんと…っ! シーデリアさんは、この羊皮紙…お守りをっ、小物しょっ――マイマイ商店で手に入れたっ。という事ですかっ?」
「はい」
シーデリアのハッキリとした返答で、正人の中で、恐ろしい仮説が広がって行く。
「…つまり、テロリストたちは…商店に偽装した拠点をこのオドサンの街に構えていて、お守りという形で人々へ密かに手渡し、広く配布をしている…っ!」
やはり、テロ組織と見て良いだろう。
いつから街での配布が始まったのか。
そして、拠点は一つだけなのだろうか?
現在、どれ程の人々に羊皮紙が行き渡っているのか。
そう考えると、事態は想っていた以上に、深刻な進行具合な気がする。
(と、とにかくっ、この情報をいち早くっ、ドングリウルさんたちへ…っ!)
そう焦る正人を余所に、黒髪のメイド長は、金髪のお嬢様へ、ズイと詰め寄っていた。
「お嬢様、お守りの類は みだりに開封してはなりませんと、何度も申し上げた筈です」
「そ、そぅなんですけれどぉ…だってぇ、私、どうしても気になってしまって~…」
主従の関係なく、姉に咎められるイタズラな妹のように見える二人だ。
別に喧嘩でもなんでもない、女子二人の戯れだけど、女性に縁の無い正人は焦る。
「ま、まぁ、ですが…シーデリアさんの好奇心が、街の災いを阻止できる可能性が極めて高い、大変な発見をされたのですし…」
「そ、そうですわ♪ ね、アリス。マサト様の仰る通りなのですわ♪」
「結果論でございます」
「うぅ…」
年上メイド長のビシっとした正論に、金髪のお嬢様は、シュンと反省モードだ。
「…とはいえ、マサト殿の言葉にも一理ありに御座いますです。今回は、姉上様への報告は、いたしませんです」
「まあ、有難うアリス♪ マサト様♡」
「? は、はぃ…」
パァっと明るく輝いたシーデリアの笑顔に、正人は「姉上殿の躾けは相当にキビしいらしい」とだけ感じてから、ハっと想う。
「っ――そ、それではっ、僕はシーデリアさんから頂いた情報を、この羊皮紙と一緒に自警団の方たちへと伝えますっ! それでは失礼しますっ!」
「はい、マサト様」
「マサト殿、よしなに…」
二人に見送られながら、正人は窓から夜空へと飛び立った。
月明かりに照らされるオドサンの上空から街を見下ろしつつ、正人は考える。
「この街の、きっと多くの家に、既にこの羊皮紙が配られてしまっている…っ! もしこれが…いま魔法が発動されてしまったら…っ!」
眼下の街が、魔法の火災に包まれる地獄の光景が、思い浮かぶ。
街で知り合った人々だけでなく、知らない人たちの平穏な家庭だって、沢山ある。
「火炎テロ…そんな事、させてたまるかっ!」
とにかく今は、首謀者の悪意を探すよりも、この事実をいち早く、ドングリウルたちへ伝えなければ。
正人は無意識に飛行速度が上がり、先ほど話していた、団長たちの集合場所へと向かった。
商店地区の上空から、大通りの片隅にある中央広場で、自警団たちが集合している様子が見えた。
隊長である女性剣士のドングリウルが、数十名の自警団たちへ、現状報告をしている。
「…という訳で、羊皮紙を持ち込む犯罪者たちによる地下水路からの侵入も、今夜 あらためて確認がされた。街の正面入り口等は警戒が固くなっているし、衛士隊が入出者の徹底管理をしているので、我々は引き続き 街の中で不審者を中心に――」
「ドングリウルさんっ!」
「! アイアン――っマサトさんっ!」
上空から凄い速さで着地をした仮面のヒーローの猥名を呼びそうになって、女性団長はまた慌てて訂正。
「いまっ、シーデリアさんから、大変な情報を預かってきましたっ!」
「シーデリア嬢から?」
自警団団長のドングリウルと、副団長の女性で小柄な魔法使いのシームが、仮面ヒーローと距離を詰める。
「この羊皮紙の出所ですが…」
ヒーローのもたらした情報に、自警団の二人の美顔が、青ざめる。
~第二十三話 終わり~
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない
宍戸亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。
不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。
そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。
帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。
そして邂逅する謎の組織。
萌の物語が始まる。
【マグナギア無双】チー牛の俺、牛丼食ってボドゲしてただけで、国王と女神に崇拝される~神速の指先で戦場を支配し、気づけば英雄でした~
月神世一
ファンタジー
「え、これ戦争? 新作VRゲーじゃなくて?」神速の指先で無自覚に英雄化!
【あらすじ紹介文】
「三色チーズ牛丼、温玉乗せで」
それが、最強の英雄のエネルギー源だった――。
日本での辛い過去(ヤンキー客への恐怖)から逃げ出し、異世界「タロウ国」へ転移した元理髪師の千津牛太(22)。
コミュ障で陰キャな彼が、唯一輝ける場所……それは、大流行中の戦術ボードゲーム『マグナギア』の世界だった!
元世界ランク1位のFPS技術(動体視力)× 天才理髪師の指先(精密操作)。
この二つが融合した時、ただの量産型人形は「神速の殺戮兵器」へと変貌する!
「動きが単調ですね。Botですか?」
路地裏でヤンキーをボコボコにしていたら、その実力を国王に見初められ、軍事用巨大兵器『メガ・ギア』のテストパイロットに!?
本人は「ただのリアルな新作ゲーム」だと思い込んでいるが、彼がコントローラーを握るたび、敵国の騎士団は壊滅し、魔王軍は震え上がり、貧乏アイドルは救われる!
見た目はチー牛、中身は魔王級。
勘違いから始まる、痛快ロボット無双ファンタジー、開幕!
高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません
下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。
横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。
偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。
すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。
兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。
この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。
しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
最遅で最強のレベルアップ~経験値1000分の1の大器晩成型探索者は勤続10年目10度目のレベルアップで覚醒しました!~
ある中管理職
ファンタジー
勤続10年目10度目のレベルアップ。
人よりも貰える経験値が極端に少なく、年に1回程度しかレベルアップしない32歳の主人公宮下要は10年掛かりようやくレベル10に到達した。
すると、ハズレスキル【大器晩成】が覚醒。
なんと1回のレベルアップのステータス上昇が通常の1000倍に。
チートスキル【ステータス上昇1000】を得た宮下はこれをきっかけに、今まで出会う事すら想像してこなかったモンスターを討伐。
探索者としての知名度や地位を一気に上げ、勤めていた店は討伐したレアモンスターの肉と素材の販売で大繁盛。
万年Fランクの【永遠の新米おじさん】と言われた宮下の成り上がり劇が今幕を開ける。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる