異世界に転生した守銭奴は騎士道を歩まない?

ただのき

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6・何だか懐かしい?

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「迅速な助力、感謝します」

 周囲に目ぼしい魔物は居なくなったとはいえ、まだ警戒を解いていない様で、未だ抜刀したままこちらにやって来る。
 まあ、普通はそれが正解だからね。
 同じ国に仕える者とはいっても、全く面識が無い相手の事を心から信頼するのは出来ないっしょ。
 それに、一応まだ戦場だからね。不測の事態ってのは“予測出来なかった”から起きるんだし、備えるのは間違ってない。

「いえいえ。こちらこそ、商隊を護衛して下さって有難うございます」
「弱き者を見捨てるなど、騎士道に反しますから。当然の事をしたまでです」

 既に納刀してしまっている私を見ながら、不思議そうな顔はしても、不快そうにはしていなかった事に少し好感を持った。
 更に、制服を見ても顔色を全く変えなかった事に、もっと好感を持った。
 これは、同じ騎士ではなくとも何とも思わない珍しい人かな?それとも、顔に出さないだけだろうか?
 後者だとしても、それなら公私はきちんと分けていそうだから、仕事がやり易そうで助かるわ。まあ、一番なのは前者だけどね。
 それにしても、と改めて彼の事を見やった。
 少し癖のある金髪は、まるで黄金をそのまま溶かし込んだかの様に太陽の光を反射してキラキラと眩いし、瞳は深い青色なのにひどく澄んでいて、まるで高級なサファイアの様だ。
 そして何より、それらのパーツに引けを取らない高い鼻梁に、薄く形の良い唇が、日焼け知らずの陶器の様に真っ白な肌にバランス良く配置されている顔が、全てを相乗的に見せていた。
 あまりそういう事には興味のない私でも、「端正な甘いマスクとはこういう顔の事を言うんだろうな」と頷きたくなる程だ。
 けれど、気になったのはそこではない。
 彼の顔を一目見てから、何だか懐かしい気持ちを抱いたのだ。
 けど、私の知り合いにこんな金髪の騎士はいない筈なんだよね。
 懐かしく思う位だから、小さい頃なんだろうけれど、はて?
 内心で首を傾げながら、視線は残りのグリーンウルフを片付けている部下達へと向ける。

「……既に納刀されていますが、余程部下の方を信頼されているのですね」
「そうですね。信頼というか信用というか。こと戦闘に関しては、背中を任せられるのは彼奴しかいませんね」

 納刀してる事、聞いてくるんだ。とは思ったものの、顔には一切出さず答えた。
 うんうん。戦闘・・に関しては、だよ?他はあんまり信用できないんだよね。
 裏切るとかじゃなくて、出来の問題かな。こっちが望んでいるモノとの差が激しいんだよね。
やり過ぎたり足りなかったりと。まあ、最近は少し改善されては来たけど、まだまだだよね。
 うっかり遠い目になりそうになりながら、苦笑気味に笑う事で誤魔化した。

「確かに、あれ程までの腕を持っているのなら、安心して背中を任せられるのも頷けます」

 三人が各々、次々にグリーンウルフを撃破していく様を見て、金髪の騎士サマは感嘆を零す。
 連携もクソも無い、個人の力量でごり押ししているのを見てもなおそう言える事の方が凄いと思う。
 まあ、数を競うようにと示唆しさしたのは私だから、連携については何も言えないけれど。

 型も何もありはしない、ただ目の前の敵を倒す為だけにある剣捌きは、強いけれど粗野だ。
 グラヴィに至っては弓ばかりで、一度も使っていない剣は腰の鞘に納められたままだ。
こういう私達の戦い方を見て「流石は野犬よ」と揶揄する連中もいる事を知っている。

「我が隊も戦闘訓練は積んで来ましたが、実戦となるとこうも勝手が違うのかと驚くばかりで、お恥ずかしい限りです」
「いえ、きちんと訓練されてきたのだとは見て分かりました。どの方も、剣捌きは悪くありません。ただ、厳しい事を言うのでしたら、確かに実践慣れしていなさ過ぎですね。型通りの動きばかりなのでグリーンウルフに対応出来ていないんですよ。まあ、その実戦の訓練を積みに来られたのですから、これから改善していけば良いのではないですか?」

 というか、基礎が出来てるだけ遥かにマシなんだよね。
 来る騎士連中の一部に、不出来な奴は毎回と言って良いほど居るもので、そいつらのフォローとか色々大変だったとあちこちで愚痴が聞こえてたからさ。
 ウチは少数精鋭という名の誰も来てくれない悲しい部隊だから、そんな事になったら人員が足りなくて死人を出してしまったらどうしようかと思ってたんだけど、その心配はあんまりしないでも良さそうだから安心したわ。

「そう言って頂けると有り難いです」
「いえ、事実を言ったまでの事ですから」

 今回はやけに腰が低くて丁寧な人が来たものだ。
 まあ、それが素なのか猫を被っているのか、その内直ぐに分かるだろう。
 最後の一匹を倒し終わったらしいカニスが、飛び跳ねながらこちらに駆けて来るのを見て、内心は溜息の嵐だった。




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