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47.あらあらうふふ
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「旦那さまは魔法の才能がおありで、才能だけじゃなくきちんと努力もされていて」
「ちょっと、アイシャ」
「作ってくれるお料理もおいしいですし、髪を乾かすのも丁寧ですし、あと、あと」
「アイシャ」
「目はピラカンサみたいできれいだし、髪はケルピーくらいさらさらだし、」
「それ褒めてる?」
お嬢さん方にノアの良いところをアピールしてみるものの、あまり成果は芳しくなかった。
何だか小さい子が一生懸命話してるなぁという感じで流されている気がする。やっぱりノアが1人で話す方が効率的なのでは。
ノアに目を向けてほしいのに、何故か皆私ばかりに注目してあらあらうふふと笑っている。
こんなとき大人だったら、ちゃんと聞いてもらえたのだろうか。早く大きくなりたい、と思う。お酒も飲めるし。
いや、大人になっていたら髪を乾かしてもらっていてはダメな感じがするけれども。
「ノア」
ノアを呼ぶ声に、そちらに視線を向ける。
背筋がピンと伸びた、背の高い女性が立っていた。
名前を呼ぶということは、ノアの知り合いだろうか。――少し、ノアに雰囲気が似ている、ような。
「……母さん」
ノアが何やら気まずそうに視線を逸らしながらそう呼んだ。
少し似ていると思ったけれど、そういうことなら似ていて当然だ。
招待してくれたお嬢さんが、ノアの家族も参加すると言っていたのを思い出した。
確か、家族同伴を条件にノアの参加が認められた――とか、そんな話だった気がする。
ノアは家族に迷惑をかけたと言っていた。家族が来ると言われたときのノアの表情も鑑みると――ノアは家族に、会いたくなさそうにしていた、と思う。
向こうから声を掛けてくるくらいだから、無視されているわけではなさそうだけれど……禁術のこと、よっぽど怒られてしまったのだろうか。
ノアのお母さん。ノアの家に出入りしていた頃には、姿を見たことがなかった。
ノアの母親ということはそれなりの年齢のはずだけれど、かなり若々しい印象だ。目鼻立ちはノアと似てくっきりしていて、綺麗な人だ、と思う。
髪の色はノアと同じで、少しだけ毛先に癖があるところも似ている。
瞳の色はノアとは違って、空のような青色だった。
その青色の瞳が、私に向けられる。アイシャの実家で何度も練習したお辞儀をしながら、挨拶をした。
「アイシャです! 好きな食べ物はりんごのパイとえんどう豆のスープです!」
元気にそう答えると、ノアのお母さんはきょとんとした顔で私を見つめていた。
少しの間面食らったように沈黙した彼女は、ふっと口元を緩めて、しゃがみこむ。
ほんの少し口角が上がっただけなのに、ずいぶん雰囲気が優しくなった気がして驚いた。
「ノアの母です。結婚式ではきちんと挨拶が出来なくて、ごめんなさい」
その言葉に、ただ首を横に振る。
おそらく結婚式では私の両親が断ったのだろう、と思っている。
神託だから従ったけれど、両親は結婚には前向きではなさそうだった。
お母様はずっと泣いていたし、お父様もお葬式みたいな顔だった。相手のご両親にご挨拶、なんて気持ちにはなれなかっただろう。
「神の決めたこととは言え――息子のために、あなたをご両親から引き離してしまったこと。ずっと、謝りたかった」
ノアのお母さんが、本当に痛ましそうに目を伏せる。
「ちょっと、アイシャ」
「作ってくれるお料理もおいしいですし、髪を乾かすのも丁寧ですし、あと、あと」
「アイシャ」
「目はピラカンサみたいできれいだし、髪はケルピーくらいさらさらだし、」
「それ褒めてる?」
お嬢さん方にノアの良いところをアピールしてみるものの、あまり成果は芳しくなかった。
何だか小さい子が一生懸命話してるなぁという感じで流されている気がする。やっぱりノアが1人で話す方が効率的なのでは。
ノアに目を向けてほしいのに、何故か皆私ばかりに注目してあらあらうふふと笑っている。
こんなとき大人だったら、ちゃんと聞いてもらえたのだろうか。早く大きくなりたい、と思う。お酒も飲めるし。
いや、大人になっていたら髪を乾かしてもらっていてはダメな感じがするけれども。
「ノア」
ノアを呼ぶ声に、そちらに視線を向ける。
背筋がピンと伸びた、背の高い女性が立っていた。
名前を呼ぶということは、ノアの知り合いだろうか。――少し、ノアに雰囲気が似ている、ような。
「……母さん」
ノアが何やら気まずそうに視線を逸らしながらそう呼んだ。
少し似ていると思ったけれど、そういうことなら似ていて当然だ。
招待してくれたお嬢さんが、ノアの家族も参加すると言っていたのを思い出した。
確か、家族同伴を条件にノアの参加が認められた――とか、そんな話だった気がする。
ノアは家族に迷惑をかけたと言っていた。家族が来ると言われたときのノアの表情も鑑みると――ノアは家族に、会いたくなさそうにしていた、と思う。
向こうから声を掛けてくるくらいだから、無視されているわけではなさそうだけれど……禁術のこと、よっぽど怒られてしまったのだろうか。
ノアのお母さん。ノアの家に出入りしていた頃には、姿を見たことがなかった。
ノアの母親ということはそれなりの年齢のはずだけれど、かなり若々しい印象だ。目鼻立ちはノアと似てくっきりしていて、綺麗な人だ、と思う。
髪の色はノアと同じで、少しだけ毛先に癖があるところも似ている。
瞳の色はノアとは違って、空のような青色だった。
その青色の瞳が、私に向けられる。アイシャの実家で何度も練習したお辞儀をしながら、挨拶をした。
「アイシャです! 好きな食べ物はりんごのパイとえんどう豆のスープです!」
元気にそう答えると、ノアのお母さんはきょとんとした顔で私を見つめていた。
少しの間面食らったように沈黙した彼女は、ふっと口元を緩めて、しゃがみこむ。
ほんの少し口角が上がっただけなのに、ずいぶん雰囲気が優しくなった気がして驚いた。
「ノアの母です。結婚式ではきちんと挨拶が出来なくて、ごめんなさい」
その言葉に、ただ首を横に振る。
おそらく結婚式では私の両親が断ったのだろう、と思っている。
神託だから従ったけれど、両親は結婚には前向きではなさそうだった。
お母様はずっと泣いていたし、お父様もお葬式みたいな顔だった。相手のご両親にご挨拶、なんて気持ちにはなれなかっただろう。
「神の決めたこととは言え――息子のために、あなたをご両親から引き離してしまったこと。ずっと、謝りたかった」
ノアのお母さんが、本当に痛ましそうに目を伏せる。
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