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第2話 クラスメイトはヤンキー君
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「おはよー、ゆっこ。」
「おはよっ、つばめ。今日は遅刻しなかったんだね。えらいえらい。」
「人がいっつも遅刻してるみたいにいうのやめてよ。中学の時も、ちょっと寝坊しすぎて貰った遅刻切符の数が歴代最高になっただけじゃん。そんなことより!今朝本物のヤンキー見ちゃった!っていうか睨まれて威嚇までされちゃったんだよ!高校生活始まる前に人生終わったと思ったね。あれは多分中学の時に何人か殺って……」
同じ中学の裕子と玄関でばったり会ったからそのまま話しながら教室に入ると、見覚えのある綺麗な頭をした男子が窓際に座っているのが目に入った。太陽の反射の関係で見間違えたのかと願って、一旦ゆっくりとまぶたを閉じてそっと目を開けてみる……間違いなく、いる。まさかまさか、同じクラスだったなんて……うーん、きっと窓際から出席番号順なんだな。だから、私とは教室の真反対の席なんだろうな、きっとね。
……出席番号は廊下側から若い順だった。窓際は出席番号の遅い人たちが座る席だったらしく、見事にヤンキー君の前の席を引き当てる……お母さん、今日だけは森野に産んだことを恨みます……
なるべく関わり合いにならないように静かに座って前だけを見つめる。黒板に貼られた校訓の「凡事徹底」の底の字の払いがややかすれて二股に割れてしまっているのに気づいているのは新入生多しといえども私くらいだろう。かれこれ10分近く眺めているだろうか。その間、後ろから睨まれているような視線を感じるのは気のせい!周りの子達が睨まれてるってヒソヒソ話しているように聞こえるのは気のせい!なぜか親友の裕子が近づいて来ないのも気のせい!……先生、早く来て…!
「それでは、このメンバーで1年間一緒に過ごすことになるので、自己紹介をしてお互いを知りましょう。」
願いが届いたのかチャイムが鳴る前にやってきてくれた担任が指名して出席番号順にどんどん自己紹介していく。
「…次は、森野さん。」
「はい!森野つばめです!趣味は動物と遊ぶことで、特技はピ…人の世話を焼くことです!よろしくお願いします!」
「はい。じゃあその後ろ、山石君。」
「……っす。山石陣っす……しくっす。」
ヤンキー君は自己紹介も口数が少なく無愛想でやっぱりヤンキーだった。です。がちゃんと言えなくて、っす。ってするあたりがヤンキーだ。でも、なんだか焦ってるような気もしたけど、気のせいかな。ヤンキーはいつも堂々としてるものだもんね。
その後、高校についての説明や案内など一通りの行事をこなして1日が終わった。結局、ヤンキー君は自己紹介以降誰とも話すことなく孤高な1日を過ごしていた。あれに話しかけようとする猛者はなかなかいないだろうね。
「ゆっこー、一緒に帰ろ。」
「ごめーん。私今日からもう部活に行かなきゃなんだ。」
裕子は中学の先輩がいるらしく春休みからバレー部の練習に参加しており、部活動見学期間を待つことなく部活の練習に参加するそうだ。それだけ先輩に期待されてるってことだろう。きっと未来のバレー部のエースになるはずの親友を快く送り出してあげなくては。
「そっか、ヤンキーを前にして親友を見捨てたゆっこさんは放課後も親友を見捨ててボッチ下校させるだね……部活動はさぞ楽しいんでしょうね……」
「めちゃくちゃ行きにくいんだけど。」
「うそうそ。未来のバレー部のエースだもんね!頑張ってらっしゃい!」
激励の言葉を背に体育館に向かう裕子の横顔は、好きなものに打ち込んでいる人特有のキラキラが飛んでいてとても輝いて見えた。何かに一生懸命に打ち込んでいる人ってどうしてあんなにキラキラしているんだろう。私も昔はあんなにキラキラしていたんだろうか……
「おはよっ、つばめ。今日は遅刻しなかったんだね。えらいえらい。」
「人がいっつも遅刻してるみたいにいうのやめてよ。中学の時も、ちょっと寝坊しすぎて貰った遅刻切符の数が歴代最高になっただけじゃん。そんなことより!今朝本物のヤンキー見ちゃった!っていうか睨まれて威嚇までされちゃったんだよ!高校生活始まる前に人生終わったと思ったね。あれは多分中学の時に何人か殺って……」
同じ中学の裕子と玄関でばったり会ったからそのまま話しながら教室に入ると、見覚えのある綺麗な頭をした男子が窓際に座っているのが目に入った。太陽の反射の関係で見間違えたのかと願って、一旦ゆっくりとまぶたを閉じてそっと目を開けてみる……間違いなく、いる。まさかまさか、同じクラスだったなんて……うーん、きっと窓際から出席番号順なんだな。だから、私とは教室の真反対の席なんだろうな、きっとね。
……出席番号は廊下側から若い順だった。窓際は出席番号の遅い人たちが座る席だったらしく、見事にヤンキー君の前の席を引き当てる……お母さん、今日だけは森野に産んだことを恨みます……
なるべく関わり合いにならないように静かに座って前だけを見つめる。黒板に貼られた校訓の「凡事徹底」の底の字の払いがややかすれて二股に割れてしまっているのに気づいているのは新入生多しといえども私くらいだろう。かれこれ10分近く眺めているだろうか。その間、後ろから睨まれているような視線を感じるのは気のせい!周りの子達が睨まれてるってヒソヒソ話しているように聞こえるのは気のせい!なぜか親友の裕子が近づいて来ないのも気のせい!……先生、早く来て…!
「それでは、このメンバーで1年間一緒に過ごすことになるので、自己紹介をしてお互いを知りましょう。」
願いが届いたのかチャイムが鳴る前にやってきてくれた担任が指名して出席番号順にどんどん自己紹介していく。
「…次は、森野さん。」
「はい!森野つばめです!趣味は動物と遊ぶことで、特技はピ…人の世話を焼くことです!よろしくお願いします!」
「はい。じゃあその後ろ、山石君。」
「……っす。山石陣っす……しくっす。」
ヤンキー君は自己紹介も口数が少なく無愛想でやっぱりヤンキーだった。です。がちゃんと言えなくて、っす。ってするあたりがヤンキーだ。でも、なんだか焦ってるような気もしたけど、気のせいかな。ヤンキーはいつも堂々としてるものだもんね。
その後、高校についての説明や案内など一通りの行事をこなして1日が終わった。結局、ヤンキー君は自己紹介以降誰とも話すことなく孤高な1日を過ごしていた。あれに話しかけようとする猛者はなかなかいないだろうね。
「ゆっこー、一緒に帰ろ。」
「ごめーん。私今日からもう部活に行かなきゃなんだ。」
裕子は中学の先輩がいるらしく春休みからバレー部の練習に参加しており、部活動見学期間を待つことなく部活の練習に参加するそうだ。それだけ先輩に期待されてるってことだろう。きっと未来のバレー部のエースになるはずの親友を快く送り出してあげなくては。
「そっか、ヤンキーを前にして親友を見捨てたゆっこさんは放課後も親友を見捨ててボッチ下校させるだね……部活動はさぞ楽しいんでしょうね……」
「めちゃくちゃ行きにくいんだけど。」
「うそうそ。未来のバレー部のエースだもんね!頑張ってらっしゃい!」
激励の言葉を背に体育館に向かう裕子の横顔は、好きなものに打ち込んでいる人特有のキラキラが飛んでいてとても輝いて見えた。何かに一生懸命に打ち込んでいる人ってどうしてあんなにキラキラしているんだろう。私も昔はあんなにキラキラしていたんだろうか……
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