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文化祭
第4話 買い出し中公園からボールが飛んでくると…
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予想通りじゃんけんで負けて買い出しに向かうことになった道中、予想外にもアリスが隣に並んで歩いていた。
「まさか一回で決まっちゃうとはねぇ。私達運が無さすぎだよね。」
どうせまた一人負けだろうと思っていたじゃんけんでアリスまで負けてしまったのだ。
「それにしても、みんな用事があるとか言って帰っちゃうなんて薄情だよね。もしもじゃんけんで負けたらどうするつもりだったんだか…」
話しかけているのか、独り言なのか分からないことをつぶやきながら歩くアリスと並んで歩いていると、目的のスーパーが見えてきた。その手前には公園がある。
――中ではボール遊びをしている子どもがいる。道路にはカーナビか何かを操作しながら運転している自動車がある……これは、ボールを追いかけて子どもが飛び出して轢かれそうになるやつだ。警戒しておこう。
公園の方を注視しながら歩いていると、今日も子ども達がサッカーをしている。やんちゃそうな少年がボールを蹴ると、当たり所が悪かったようでボールは明後日の方向に飛んでゆき、公園の入り口から転がって出て行く。完全にフラグをしっかり回収する展開だ。
ボールを追いかける少年が道路に飛び出そうとする。そこにちょうど自動車が通りかかる。運転手はよそ見をしていて気づいていない。このままだとぶつかってしまう。
「危ない!」
通りがかりの男性が声を張り上げる。
その少し前に動き始め、声が聞こえた時にはもう両手で少年を抱えていた。運よくボールも自動車と接触することなく転々と転がっていった。
「ありがとう!お兄ちゃん。」
「ボール遊びの時には気を付けるんだよ。」
ボールを拾って公園に戻っていく少年に声を掛けると、後ろでアリスが溜息のような声を出した。
「ほぉう、私全然気付かなかったや。よく気が付いたね。」
「まぁ、そういう体質だからね。こういうことには慣れてるって前に言ったでしょ。」
「そういう体質?」
いまいち要領を得ていないアリスにフラグ回収体質について説明する。ベタな展開が予測できること、大体それが的中してしまうこと、そのため対応ができること。説明が進むにつれてアリスの表情が怒ったようなものに変化していく。
「じゃあ校内案内の時の、俺がお前を守ってやるって言ったのもそういう体質だからって意味で言ってたってこと?」
「そんなこと言ったっけ?」
「なにそれ!私が勝手に勘違いしたみたいじゃん!」
アリスが言っている意味がよく分からなかったが、ひどく怒らせてしまった。その後も、スーパーに着き目的の品を買って帰路につくまで、むくれたアリスは一言も口を開かなかった。
学校までの帰り道、さすがに一言も話さないのは気まずいし、なぜか分からないが怒っているようだったのでご機嫌取りをしてみることにした。
「荷物重いからアリスの分も持つよ。」
「いい!そうやって紳士ぶって勘違いさせようとしなくてもいいから!」
――小競り合いをして荷物を振り回すアリス……これは、通行人の邪魔になってトラブルになるやつだ。何とか早くなだめないと。
半ば強引に荷物を持とうと差し出した手を、アリスは振り払おうとしてバランスを崩してふらついてしまう。そこにちょうど自転車が通りかかる。このままではぶつかってしまう。すぐにアリスを引き寄せ、自転車を何とか回避することができた。
「あっ…ありがと。これも体質ってやつのおかげなの?」
「まぁ…そうかな。」
引き寄せた拍子にアリスと目が合っていた。出会った時から思っていたが、目鼻立ちが整っており誰が見ても認める美少女に違いない。そんなことを考えていると、突然アリスが弾けるように離れた。
「いつまで見てんのよ!…荷物、持ってくれるんでしょ!」
乱暴に荷物を渡してきたアリスは、そのまま2、3歩分前を歩いてそっぽを向いている。相変わらず怒っているようだったが、荷物も渡してくれたし、声色もそこまで不機嫌な感じもしなかった。表情までは見えないが、夕日に照らされて赤くなっているアリスの横顔は、いつまでも見ていられるくらい綺麗だと思った。
「まさか一回で決まっちゃうとはねぇ。私達運が無さすぎだよね。」
どうせまた一人負けだろうと思っていたじゃんけんでアリスまで負けてしまったのだ。
「それにしても、みんな用事があるとか言って帰っちゃうなんて薄情だよね。もしもじゃんけんで負けたらどうするつもりだったんだか…」
話しかけているのか、独り言なのか分からないことをつぶやきながら歩くアリスと並んで歩いていると、目的のスーパーが見えてきた。その手前には公園がある。
――中ではボール遊びをしている子どもがいる。道路にはカーナビか何かを操作しながら運転している自動車がある……これは、ボールを追いかけて子どもが飛び出して轢かれそうになるやつだ。警戒しておこう。
公園の方を注視しながら歩いていると、今日も子ども達がサッカーをしている。やんちゃそうな少年がボールを蹴ると、当たり所が悪かったようでボールは明後日の方向に飛んでゆき、公園の入り口から転がって出て行く。完全にフラグをしっかり回収する展開だ。
ボールを追いかける少年が道路に飛び出そうとする。そこにちょうど自動車が通りかかる。運転手はよそ見をしていて気づいていない。このままだとぶつかってしまう。
「危ない!」
通りがかりの男性が声を張り上げる。
その少し前に動き始め、声が聞こえた時にはもう両手で少年を抱えていた。運よくボールも自動車と接触することなく転々と転がっていった。
「ありがとう!お兄ちゃん。」
「ボール遊びの時には気を付けるんだよ。」
ボールを拾って公園に戻っていく少年に声を掛けると、後ろでアリスが溜息のような声を出した。
「ほぉう、私全然気付かなかったや。よく気が付いたね。」
「まぁ、そういう体質だからね。こういうことには慣れてるって前に言ったでしょ。」
「そういう体質?」
いまいち要領を得ていないアリスにフラグ回収体質について説明する。ベタな展開が予測できること、大体それが的中してしまうこと、そのため対応ができること。説明が進むにつれてアリスの表情が怒ったようなものに変化していく。
「じゃあ校内案内の時の、俺がお前を守ってやるって言ったのもそういう体質だからって意味で言ってたってこと?」
「そんなこと言ったっけ?」
「なにそれ!私が勝手に勘違いしたみたいじゃん!」
アリスが言っている意味がよく分からなかったが、ひどく怒らせてしまった。その後も、スーパーに着き目的の品を買って帰路につくまで、むくれたアリスは一言も口を開かなかった。
学校までの帰り道、さすがに一言も話さないのは気まずいし、なぜか分からないが怒っているようだったのでご機嫌取りをしてみることにした。
「荷物重いからアリスの分も持つよ。」
「いい!そうやって紳士ぶって勘違いさせようとしなくてもいいから!」
――小競り合いをして荷物を振り回すアリス……これは、通行人の邪魔になってトラブルになるやつだ。何とか早くなだめないと。
半ば強引に荷物を持とうと差し出した手を、アリスは振り払おうとしてバランスを崩してふらついてしまう。そこにちょうど自転車が通りかかる。このままではぶつかってしまう。すぐにアリスを引き寄せ、自転車を何とか回避することができた。
「あっ…ありがと。これも体質ってやつのおかげなの?」
「まぁ…そうかな。」
引き寄せた拍子にアリスと目が合っていた。出会った時から思っていたが、目鼻立ちが整っており誰が見ても認める美少女に違いない。そんなことを考えていると、突然アリスが弾けるように離れた。
「いつまで見てんのよ!…荷物、持ってくれるんでしょ!」
乱暴に荷物を渡してきたアリスは、そのまま2、3歩分前を歩いてそっぽを向いている。相変わらず怒っているようだったが、荷物も渡してくれたし、声色もそこまで不機嫌な感じもしなかった。表情までは見えないが、夕日に照らされて赤くなっているアリスの横顔は、いつまでも見ていられるくらい綺麗だと思った。
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