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夏休み
第24話 花火大会+女の子といえば…
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8月も半ばを過ぎ、夕方にはひぐらしの合唱が始まるようになった。その鳴き声に誘い出されるようにして、近所の神社まで足を進める。
神社に連なる商店街は色とりどりの人々で埋め尽くされていた。今日は海水浴の帰りの電車で約束させられた花火大会の日だ。
例のごとく集合場所を確認するため、集合時間よりも早く着きすぎてしまった。周囲を見渡すと、同じように手持ち無沙汰な面々が連なり、皆一様に一心不乱に画面に見入っている。現代の恐ろしい風景百選だな。
前回とは違い、今日はアリスもなかなか到着しない。
――これは、アリスは長名と一緒に来るやつだ。祭りで女性陣が固まってやって来る……ということは、浴衣でやって来るやつだ!
画面に目を落としながら退屈な時間を潰していると、華やかな2人組が近付いてくるのを視界の端に捉えた。
「やっほー。さぁさ、どうかな?祭りといえばやっぱりこれでしょ?」
「アリスちゃんが、せっかくなら一緒にっていうから…」
アリスと長名はそれぞれ赤と青をベースとした浴衣を着付けてきていた。アリスは赤、長名は青の浴衣で、それぞれの性格によく似合っている。それぞれの持つ活発さとお淑やかさを強調するように互いの良さを引き立てており、互いの魅力を存分に引き出し合っている。さらに、髪も結い上げていて、いつもと違う姿に目を離せる男子なんているのだろうか、いや、いるはずがない。などと、口にしなければいくらでも饒舌になるのだが、いざ口を開くとなると上手い褒め言葉が浮かんでこない。
「ほら、只男。何か言うことがあるんじゃないの?」
「あ…あぁ、2人ともよく似合ってる。」
「ふふっ、やっぱりいつも通りの反応だった。」
アリスと長名が一緒に笑っている。これは合流前に2人で何か話していたに違いない。
少し遅れて栄一が合流し、花火大会の会場に向かいがてら出店を回ることになった。
「アリスちゃんは何か楽しみにしてきたものある?」
「そうねー、たこ焼きにフライドポテトに綿あめに、あとは…チョコバナナも食べたい!」
「食べ物ばっかりだな。やっぱり。」
「何がやっぱりよ!」
「食べ物ばっかりと言うか目に付いた出店の商品言ってるんでしょ。」
「流石、栄一君。よく分かったね。」
「そうか。何でもいいからとりあえず腹に入ればいいということか。」
「只男は黙ってて!」
「まぁまぁ、空いてるところで何か買って食べようよ。」
長名の言葉を聞いて出店に飛び出していったアリスと栄一に買い出しを任せて、長名と適当な飲食スペースを見つけて場所取りをしておいた。何も食べないのに場所取りをしていることでいくらか白い目で見られたが、気付かないふりをして長名と二人で雑談をし続けていたが、なかなかアリス達が帰って来ない。
――わんぱくな二人が買い出し。なかなか帰って来ない二人……これは、食べきれないんじゃないかって程山盛りに買い込んでくるやつだ。人選失敗だったか。
やっと帰ってきた二人は、両手に抱えきれないほどの食べ物を買ってきていた。
「日本のお祭りは魅力的な食べ物がいっぱいで困っちゃうね!」
「困った結果、目についたものを全部買ってきたってことか…」
「イエース!栄一君が一緒で助かったよ。」
「助かったよ、じゃなくて。もっと考えて買ってこいよ…」
「4人もいるんだから大丈夫大丈夫!」
「モグモグ…二人ともけんかしないの。やっぱり祭りの焼きそばだよなー!このソースの粗っぽい味付けと肉も野菜もほとんど入っていないのがいい!」
「もう食べてる!ていうか、モグモグって音させながら食べる人初めて見た!」
栄一がフライング気味に焼きそばをすすりながら嬉しそうに語っている。
「そういえば、皆にとっての祭りの味といえば?俺はもちろん焼きそばだけど。」
「リンゴ飴。」
「きゅうりの一本漬け!」
「ファンネルケーキ!」
「「ファンネルケーキ!?」」
「あれ?ないの?そういえば出店見てないけど…甘くってサクサクしてて美味しいんだよ。」
「うーん…日本では見たことはないよね?」
「残念ながら。」
「えぇー!めっちゃ楽しみにしてたのに…」
アリスは大袈裟にがっかりして見せたが、長名が渡した綿あめに飛びつくとすぐに機嫌が良くなる。切り替えが早いのはアリスの良いところだ。
神社に連なる商店街は色とりどりの人々で埋め尽くされていた。今日は海水浴の帰りの電車で約束させられた花火大会の日だ。
例のごとく集合場所を確認するため、集合時間よりも早く着きすぎてしまった。周囲を見渡すと、同じように手持ち無沙汰な面々が連なり、皆一様に一心不乱に画面に見入っている。現代の恐ろしい風景百選だな。
前回とは違い、今日はアリスもなかなか到着しない。
――これは、アリスは長名と一緒に来るやつだ。祭りで女性陣が固まってやって来る……ということは、浴衣でやって来るやつだ!
画面に目を落としながら退屈な時間を潰していると、華やかな2人組が近付いてくるのを視界の端に捉えた。
「やっほー。さぁさ、どうかな?祭りといえばやっぱりこれでしょ?」
「アリスちゃんが、せっかくなら一緒にっていうから…」
アリスと長名はそれぞれ赤と青をベースとした浴衣を着付けてきていた。アリスは赤、長名は青の浴衣で、それぞれの性格によく似合っている。それぞれの持つ活発さとお淑やかさを強調するように互いの良さを引き立てており、互いの魅力を存分に引き出し合っている。さらに、髪も結い上げていて、いつもと違う姿に目を離せる男子なんているのだろうか、いや、いるはずがない。などと、口にしなければいくらでも饒舌になるのだが、いざ口を開くとなると上手い褒め言葉が浮かんでこない。
「ほら、只男。何か言うことがあるんじゃないの?」
「あ…あぁ、2人ともよく似合ってる。」
「ふふっ、やっぱりいつも通りの反応だった。」
アリスと長名が一緒に笑っている。これは合流前に2人で何か話していたに違いない。
少し遅れて栄一が合流し、花火大会の会場に向かいがてら出店を回ることになった。
「アリスちゃんは何か楽しみにしてきたものある?」
「そうねー、たこ焼きにフライドポテトに綿あめに、あとは…チョコバナナも食べたい!」
「食べ物ばっかりだな。やっぱり。」
「何がやっぱりよ!」
「食べ物ばっかりと言うか目に付いた出店の商品言ってるんでしょ。」
「流石、栄一君。よく分かったね。」
「そうか。何でもいいからとりあえず腹に入ればいいということか。」
「只男は黙ってて!」
「まぁまぁ、空いてるところで何か買って食べようよ。」
長名の言葉を聞いて出店に飛び出していったアリスと栄一に買い出しを任せて、長名と適当な飲食スペースを見つけて場所取りをしておいた。何も食べないのに場所取りをしていることでいくらか白い目で見られたが、気付かないふりをして長名と二人で雑談をし続けていたが、なかなかアリス達が帰って来ない。
――わんぱくな二人が買い出し。なかなか帰って来ない二人……これは、食べきれないんじゃないかって程山盛りに買い込んでくるやつだ。人選失敗だったか。
やっと帰ってきた二人は、両手に抱えきれないほどの食べ物を買ってきていた。
「日本のお祭りは魅力的な食べ物がいっぱいで困っちゃうね!」
「困った結果、目についたものを全部買ってきたってことか…」
「イエース!栄一君が一緒で助かったよ。」
「助かったよ、じゃなくて。もっと考えて買ってこいよ…」
「4人もいるんだから大丈夫大丈夫!」
「モグモグ…二人ともけんかしないの。やっぱり祭りの焼きそばだよなー!このソースの粗っぽい味付けと肉も野菜もほとんど入っていないのがいい!」
「もう食べてる!ていうか、モグモグって音させながら食べる人初めて見た!」
栄一がフライング気味に焼きそばをすすりながら嬉しそうに語っている。
「そういえば、皆にとっての祭りの味といえば?俺はもちろん焼きそばだけど。」
「リンゴ飴。」
「きゅうりの一本漬け!」
「ファンネルケーキ!」
「「ファンネルケーキ!?」」
「あれ?ないの?そういえば出店見てないけど…甘くってサクサクしてて美味しいんだよ。」
「うーん…日本では見たことはないよね?」
「残念ながら。」
「えぇー!めっちゃ楽しみにしてたのに…」
アリスは大袈裟にがっかりして見せたが、長名が渡した綿あめに飛びつくとすぐに機嫌が良くなる。切り替えが早いのはアリスの良いところだ。
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