転校生とフラグ察知鈍感男

加藤やま

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学年末テスト

第44話 女の子が高いところのものを取ろうとすると…

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「…そういえば、めっちゃ英語の本読んでるんだな。」
 目の前の本棚を見ながら、部屋を見回した時に気になったことを口に出す。
「それは向こうで読んだのを持ってきたのがほとんどよ。」
「こうして見ると中学までアメリカにいたんだなって感じるなぁ。」
「ちゃんと向こうで生活してた証拠だってあるんだから。卒業の時にもらった写真集があったはず…あったあった。」
 本棚に駆け寄ったアリスは背伸びして最上段にある写真集を取ろうとしている。
――ギリギリ手に届くかどうかの高さにある本。背伸びして無理して取ろうとする姿勢……これは、本を取ったらバランスを崩して、本が降ってくるやつだ。これなら本を取ってあげたら回避できるな。
「危ないから代わるよ。」
「大丈夫大丈夫…もうちょっと…よっと。」
 フラグを回避するために代わろうと声を掛けるが、アリスは強情にも離れなかった。そのまま、アリスの背後から写真集に手を伸ばすと同時に、アリスが少しジャンプして写真集に手をかける。タイミングが噛み合い一緒に写真集を引き出したが、その拍子に手が当たってしまう。
「きゃっ!…」
 驚いたアリスが急いで手を引いた勢いで本棚にぶつかってしまい、上段の本が今にも降ってこようとする。その瞬間、アリスの腕を引いて直撃を避ける。すると、逆に今度はこっちに体重をかけ過ぎて2人でバランスを崩してしまう。何とか本の直撃は避けられたが、本は散らばり2人で転んでしまった。結局、予想よりも大事になってしまった。
「いたた…突然後ろから手を伸ばさないでよ。びっくりしちゃった。」
「…親切が裏目に出てしまった、こめん。」
「別に…親切でやってくれたことだから良いんだけどね…まぁ、その…ありがと…」
「いえいえ、それよりも…その…」
「何よ?」
「そこをどいていただけるとありがたいんですが…」
 それを聞いてやっと馬乗り状態になっていることに気が付いたようで、急いで飛び退いて本を片付けに行った。もう少しあの体勢でも良かったような…ううん、気を取り直して本の片付けを手伝おう。
 最上段の本は届かないだろうから代わりに収めるために横に立って手を差し出す。
「…何この手?」
「いや、1番上は届きにくいだろうから代わりにやろうかと…」
「手伝ってくれるんだ…ふーん、当然ね。」
「やめよっかなー。」
「うそうそ!じゃあ、それと…これを、まずよろしく。」
 ギリギリ背伸びしないでも届く高さで良かった。少しは男らしさみたいなものを見せられるか。
 本を収めてアリスの方を振り向くとまじまじとこちらを眺めていた。
「…何見てんの?」
「いや…只男も男の子だなぁって。こうして見ると、背も高いし、意外と体もがっしりしてるよね。」
「まぁ、17年間男の子してきてるからね。」
「ふふっ、男の子してるってどういうことよ…あっ、あとこれもよろしく。」
 渡された本を収め終えて再びアリスの方を見てみると、少し屈んで中段の本を片付けている最中だった。言われてみると、小柄で華奢な体に長いまつ毛、小さな手…同じヒト科の生物とは思えないくらい全く違う。天使の輪ができている髪の毛なんかはこっちのぱさぱさな剛毛とは似ても似つかないほど細くて手触りも良さそうだ。などと考えていると、無意識に、いつの間にか、思いもよらず、手が勝手に…アリスの頭を撫でていた…
「…えっ、なになに?」
 驚きながらこちらに振り向いたアリスの顔をまともに直視できない。
「…あっ、と…いや…本を収め…終わった的な…合図?って感じ…」
 いまだにアリスの頭から離せないでいた手を慌てて引き離して、自分でも何言ってるか分からないくらい詰まりながら無様過ぎる言い訳をする。
「…あぁ、入れ終わったのね。ありがと…あー…写真集!見ようよ!」
 意外にも?無様な言い訳が通用したのか、アリスが流してくれて何事もなかったように本棚から目的の本を抜き出していた。自分でも思いがけない行動に焦ったが、アリスが普通にしてくれたおかげで変の空気にもならずに助かった。
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