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8 森のヌシ
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アレンの馬たちもその場から逃げていく。クレイグは大蛇に向けて数発撃ちこみ、ブラッドは剣で大蛇を斬りつける。しかし、硬い皮で覆われた大蛇の体にはまったく効果がないようだ。大蛇は大きな口を開けて威嚇する。
「こんな大きな蛇、初めて見たよ……」
アレンは大蛇を見ながらそう言って後ずさりする。
「でか過ぎんだろ。致命傷くらわす前に俺らがやられちまうぞ」
クレイグも銃口を向けたまま後ずさりする。ブラッドも後ずさりしながらつぶやく。
「逃げた方がよさそうだが……逃がしてくれなさそうだな」
大蛇はアレンにゆっくりと近づいていく。それに気づいたアレンは大蛇を見つめたまま小声で言う。
「俺がひきつけるから、今のうちに二人は逃げて」
「おまえはどうすんだよ」
クレイグが小声ですかさず聞く。
「それは考え中……」
「クレイグ行くぞ。遅れるなよ」
ブラッドが言う。クレイグは渋々従う。
「死ぬんじゃねえぞ!」
クレイグがそう言ったと同時に二人は走りだし、アレンは銃と剣を抜き大蛇に発砲する。弾は大蛇の頭部をかするが命中せず、大蛇は大きな口を開けてアレンに襲いかかる。アレンは剣を盾のように使い大蛇の攻撃をいなし、その隙にクレイグたちは何とかその場から逃げだした。
ティムは馬を追いかけて川辺に来ていた。ティムが馬を優しく撫でて落ち着かせている。
「ごめんね。クレイグ強引だから……。後で十分怒っとくからね」
落ち着きを取り戻しつつあった馬がまたソワソワし始める。
「どうしたの? 大丈夫だよ」
そう言ってティムが馬の頭を撫でたとき、どこかから獣のうめき声が聞こえてくる。ティムは草陰をじっと見つめ、耳を澄ませる。すると数匹の狼がゆっくりと姿を現した。ティムは腰の剣を抜き、狼に向けて構える。狼は馬に襲いかかろうとするが、ティムが剣で素早く斬りつけ防ぐ。しかし狼は次々と襲いかかってくる。それをかわしながら斬りつけ、馬も後ろ足で狼を蹴りつける。ティムは威嚇のため空に向けて銃を撃つ。森に銃声が鳴り響く。狼は後ずさりして逃げていった。ティムは馬の頭を撫でながら話しかける。
「ありがとう。助かったよ」
そのとき3頭の馬が草陰から出てくる。アレンたちの馬だ。
「あれ? おまえたち、どうしてここに?」
そう言って馬の頭を撫でていたが、ふと思い立ったように4頭を引き連れて急ぎ足で歩きだした。
やっとの思いで大蛇から逃げ切ったクレイグとブラッドは大きな岩陰に隠れて乱れた息を整えていた。クレイグが口を開く。
「で、どうする。このままってわけにはいかねえだろ」
ブラッドは黙ったまま一点を見つめている。クレイグはブラッドの胸ぐらをつかむ。
「おい! まさか見捨てる気じゃねえだろうな!」
ブラッドは手を払いクレイグをにらみつけて言う。
「今考えてんだよ。おまえも少しは考えたらどうだ」
「そ、そっか、悪い。だったらいいんだよ」
クレイグは腕を組み岩にもたれる。そして思いついたように突然話しだした。
「そうだ! あいつの皮は固いけど中はいけんだろ。あいつがでっかい口開けたときに弾ぶち込んでやりゃいいんだよ!」
「なるほどな。それがどれだけのダメージになるかわかんないが、やってみる価値はありそうだな」
二人は立ち上がり、アレンの元へと急いで駆けだすのだった。
その頃、アレンは額に汗をかきながら必死に大蛇と戦っていた。大蛇の首元には薄っすらと一筋の切り傷がある。アレンが同じところを何度も斬りつけることでやっとつけた傷である。襲いかかる大蛇をギリギリでかわし、一瞬の隙をつき少しずつ傷を深くしていた。そこにブラッドとクレイグが到着する。少し離れた草の陰から様子をうかがっている。二人は大蛇に向かって銃を構える。クレイグは引き金に指をかける。
「くたばれバケモノ」
そう言って、撃とうとしたとき目の前に若い女が現れる。
「待ちな」
女は二人の前に仁王立ちする。クレイグは慌てて銃を下し女に言う。
「あっぶねえな! 何考えてんだよ! 死にてえのか!」
「どけ、邪魔だ」
ブラッドは銃を構えたまま女に言うが、女は動こうとしない。
「あの大蛇を殺すことは許さない。あの男を助けたいんだろ? 私に任せな」
そう言って女はその場から少し離れた草陰に向かい、大きな猪の死体を担いでくる。
「でっけえ猪だな。あれ一人で担ぐってやべえ女だな……」
クレイグがつぶやく。二人は銃を下し、女の行動を静かに見守っていた。女は大蛇の近くに猪を放り投げる。大蛇はアレンへの攻撃をやめ、猪をじっと見つめる。アレンは突然のことに驚き、猪と大蛇を交互に見ている。大蛇が猪を丸呑みにするのを見て、草の陰から女がアレンに声をかける。
「こっちに来な」
その声に気づいたアレンはそっと動き、女の元へと小走りで向かう。アレンは草陰に身を隠し、女に小声で聞く。
「君は? あの猪って――」
「そう」
女は目も合わさず、大蛇を見ながら答えた。
「すごい、ありがとう」
大蛇は重たい腹を引きずりながら森の奥へと帰っていった。女はそれを見届け、草陰から出てアレンに言う。
「別にあんたがどうなろうがどうでもいいけど、放っておいたらあの蛇が殺されそうだったからだよ」
そう言って女はクレイグたちを指さす。クレイグが軽く手を上げ、駆け寄ってくる。その後をブラッドが歩いている。そこへティムが手を振りながら戻ってきた。
「アレーン! みんなー! 無事ー?」
「ティム! 馬は?」
アレンが手を振りながら聞いた。
「大丈夫。向こうで繋いでるよ。その人は?」
ティムは女を見ながら言った。
「私はケイ。この森にときどき来るの」
「さっき大蛇に襲われて、助けてもらったんだ」
アレンがティムに説明する。
「やっぱり! ここであの子たちが動かなくなったのはその危険を感じ取ったからだと思うんだ。さっきも同じようなことがあったんだ。こっちは狼だったけど」
ティムがさきほどのことを話すと、クレイグが驚いたようすでティムを見ながら言う。
「おまえ、よく無事だったな」
ティムが腰の剣に触れながら笑顔で言う。
「クレイグのおかげ」
クレイグはフッと微笑んだ。ケイが険しい表情でアレンたちを見て言う。
「あんたたちに警告する。あの大蛇は殺すな。あの大蛇はこの森のヌシだ。ほんとは傷つけることもタブーだよ」
ケイはアレンを押し退け去っていった。
「こんな大きな蛇、初めて見たよ……」
アレンは大蛇を見ながらそう言って後ずさりする。
「でか過ぎんだろ。致命傷くらわす前に俺らがやられちまうぞ」
クレイグも銃口を向けたまま後ずさりする。ブラッドも後ずさりしながらつぶやく。
「逃げた方がよさそうだが……逃がしてくれなさそうだな」
大蛇はアレンにゆっくりと近づいていく。それに気づいたアレンは大蛇を見つめたまま小声で言う。
「俺がひきつけるから、今のうちに二人は逃げて」
「おまえはどうすんだよ」
クレイグが小声ですかさず聞く。
「それは考え中……」
「クレイグ行くぞ。遅れるなよ」
ブラッドが言う。クレイグは渋々従う。
「死ぬんじゃねえぞ!」
クレイグがそう言ったと同時に二人は走りだし、アレンは銃と剣を抜き大蛇に発砲する。弾は大蛇の頭部をかするが命中せず、大蛇は大きな口を開けてアレンに襲いかかる。アレンは剣を盾のように使い大蛇の攻撃をいなし、その隙にクレイグたちは何とかその場から逃げだした。
ティムは馬を追いかけて川辺に来ていた。ティムが馬を優しく撫でて落ち着かせている。
「ごめんね。クレイグ強引だから……。後で十分怒っとくからね」
落ち着きを取り戻しつつあった馬がまたソワソワし始める。
「どうしたの? 大丈夫だよ」
そう言ってティムが馬の頭を撫でたとき、どこかから獣のうめき声が聞こえてくる。ティムは草陰をじっと見つめ、耳を澄ませる。すると数匹の狼がゆっくりと姿を現した。ティムは腰の剣を抜き、狼に向けて構える。狼は馬に襲いかかろうとするが、ティムが剣で素早く斬りつけ防ぐ。しかし狼は次々と襲いかかってくる。それをかわしながら斬りつけ、馬も後ろ足で狼を蹴りつける。ティムは威嚇のため空に向けて銃を撃つ。森に銃声が鳴り響く。狼は後ずさりして逃げていった。ティムは馬の頭を撫でながら話しかける。
「ありがとう。助かったよ」
そのとき3頭の馬が草陰から出てくる。アレンたちの馬だ。
「あれ? おまえたち、どうしてここに?」
そう言って馬の頭を撫でていたが、ふと思い立ったように4頭を引き連れて急ぎ足で歩きだした。
やっとの思いで大蛇から逃げ切ったクレイグとブラッドは大きな岩陰に隠れて乱れた息を整えていた。クレイグが口を開く。
「で、どうする。このままってわけにはいかねえだろ」
ブラッドは黙ったまま一点を見つめている。クレイグはブラッドの胸ぐらをつかむ。
「おい! まさか見捨てる気じゃねえだろうな!」
ブラッドは手を払いクレイグをにらみつけて言う。
「今考えてんだよ。おまえも少しは考えたらどうだ」
「そ、そっか、悪い。だったらいいんだよ」
クレイグは腕を組み岩にもたれる。そして思いついたように突然話しだした。
「そうだ! あいつの皮は固いけど中はいけんだろ。あいつがでっかい口開けたときに弾ぶち込んでやりゃいいんだよ!」
「なるほどな。それがどれだけのダメージになるかわかんないが、やってみる価値はありそうだな」
二人は立ち上がり、アレンの元へと急いで駆けだすのだった。
その頃、アレンは額に汗をかきながら必死に大蛇と戦っていた。大蛇の首元には薄っすらと一筋の切り傷がある。アレンが同じところを何度も斬りつけることでやっとつけた傷である。襲いかかる大蛇をギリギリでかわし、一瞬の隙をつき少しずつ傷を深くしていた。そこにブラッドとクレイグが到着する。少し離れた草の陰から様子をうかがっている。二人は大蛇に向かって銃を構える。クレイグは引き金に指をかける。
「くたばれバケモノ」
そう言って、撃とうとしたとき目の前に若い女が現れる。
「待ちな」
女は二人の前に仁王立ちする。クレイグは慌てて銃を下し女に言う。
「あっぶねえな! 何考えてんだよ! 死にてえのか!」
「どけ、邪魔だ」
ブラッドは銃を構えたまま女に言うが、女は動こうとしない。
「あの大蛇を殺すことは許さない。あの男を助けたいんだろ? 私に任せな」
そう言って女はその場から少し離れた草陰に向かい、大きな猪の死体を担いでくる。
「でっけえ猪だな。あれ一人で担ぐってやべえ女だな……」
クレイグがつぶやく。二人は銃を下し、女の行動を静かに見守っていた。女は大蛇の近くに猪を放り投げる。大蛇はアレンへの攻撃をやめ、猪をじっと見つめる。アレンは突然のことに驚き、猪と大蛇を交互に見ている。大蛇が猪を丸呑みにするのを見て、草の陰から女がアレンに声をかける。
「こっちに来な」
その声に気づいたアレンはそっと動き、女の元へと小走りで向かう。アレンは草陰に身を隠し、女に小声で聞く。
「君は? あの猪って――」
「そう」
女は目も合わさず、大蛇を見ながら答えた。
「すごい、ありがとう」
大蛇は重たい腹を引きずりながら森の奥へと帰っていった。女はそれを見届け、草陰から出てアレンに言う。
「別にあんたがどうなろうがどうでもいいけど、放っておいたらあの蛇が殺されそうだったからだよ」
そう言って女はクレイグたちを指さす。クレイグが軽く手を上げ、駆け寄ってくる。その後をブラッドが歩いている。そこへティムが手を振りながら戻ってきた。
「アレーン! みんなー! 無事ー?」
「ティム! 馬は?」
アレンが手を振りながら聞いた。
「大丈夫。向こうで繋いでるよ。その人は?」
ティムは女を見ながら言った。
「私はケイ。この森にときどき来るの」
「さっき大蛇に襲われて、助けてもらったんだ」
アレンがティムに説明する。
「やっぱり! ここであの子たちが動かなくなったのはその危険を感じ取ったからだと思うんだ。さっきも同じようなことがあったんだ。こっちは狼だったけど」
ティムがさきほどのことを話すと、クレイグが驚いたようすでティムを見ながら言う。
「おまえ、よく無事だったな」
ティムが腰の剣に触れながら笑顔で言う。
「クレイグのおかげ」
クレイグはフッと微笑んだ。ケイが険しい表情でアレンたちを見て言う。
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