四銃士

黄坂美々

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9 休息

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 それからしばらく森を歩き続けた4人は、川辺に来ていた。夕暮れになり、辺りが薄暗くなってくる。4人は馬を近くの木に繋ぎ、夕食の準備を始める。焚火を囲むように座り雑談をしている。

「ケイさん、きれいな人だったね」

 ティムが言った。クレイグがすかさず口をはさむ。

「あのでっかい猪担いだ姿見たら興ざめするぞ」
「そう? かっこいいじゃん」
「どこがだ。あの女には近づかねえ方がいい。おまえなんかヒョイと担いで、大蛇の口の中へまっしぐらだぞ」
「えー⁉ エサにされるの? それは嫌だな」
「そんな人じゃないと思う」

 二人の会話を聞いていたアレンが言った。それに続くようにブラッドが話しだす。

「ドゥーベでは大蛇の話なんか聞かなかったよな。ヌシとして大切にされてるならもっと話に出てきてもよさそうなものだけどな……」
「ケイさんはドゥーベの人じゃないんだ」

 ティムが言った。ブラッドは話を続ける。

「だろうな。あいつの口ぶりからして近くの村だろうから……フェクターかもな」
「こんなことならフェクターに寄ってから来ればよかったな。大蛇対策できたかもしんねえし、なんか情報あったかも」

 クレイグが言った。それを聞いたティムが言う。

「ケイさんに聞けばよかったんじゃない?」
「あいつ感じ悪かったぞ。俺らと話す気はねえって感じだったじゃねえか」

 クレイグがそう言うと、アレンが思い出しながら話しだす。

「怒ってたのかもね。勝手にズカズカ入ってきて大切なヌシを傷つけたって……」

 ティムも同意する。

「そうだね。気をつけないとね。ここにはここのルールがあるんだし」
「あんなバケモンみたいな蛇が何してくれるってんだ。大事にする意味がわからんな」

 ブラッドは冷たく言った。

「神とか宗教ってそういうものだよ。他の人から見たらわかんなくても信じることが大事って言うか……」

 ティムがそう言うと、アレンが続けて話す。

「宗教や神ってことよりも、本当は動物を殺すことがだめだよね。生態系を崩しかねないし」
「そうだね。気をつけないと」

 ティムが同意する。アレンは夕食を皿に盛りつけ、皆に手渡す。4人は雑談しながらゆっくり食べるのだった。


 辺りは真っ暗になり、焚火の灯りだけが周囲を照らしている。4人はそれぞれ寝袋に入っている。クレイグは腕を出し、空の酒瓶を持ったまま寝ている。ブラッドは焚火に背を向け寝ている。アレンとティムは座って、コーヒーを飲みながら小声で話をしている。ティムがアレンに聞く。

「この旅が無事終わって、アイリスが目覚めたら告白するの?」

 その声でブラッドが目を覚ますが、黙って眠ったふりをして話に耳を傾ける。アレンは少しの沈黙の後、話しだす。

「どうかな……。ブラッドに近づくなって怒られたし」
「え? そうなの? ブラッドなんか無視すればいいじゃん。親でもないんだから」
「そりゃそうだけど。今回こんなことになったのも俺がバカだったからだし」
「アレンのせいじゃないよ。アレンがバカなら、アイリスもバカだよ? アレンがアイリスを守らないといけないなんて変だよ」

 アレンはコーヒーを飲みながら黙って聞いている。ティムは話を続ける。

「アイリスも悲しむんじゃないかな。アレンに距離置かれたら」
「ありがとう、ティム。少し気持ちが軽くなったよ」
「ブラッドの言うことなんか気にしちゃだめだよ。ブラッドなんかただ偉そうなだけなんだから」

 二人は微笑み合い、静かに眠りにつく。ブラッドもまた何も言わず目を閉じてそのまま眠りについた。


 翌朝、まだ皆が眠っている中、アレンが目を覚ます。川で顔を洗い、川辺を散歩する。アレンが周囲を見渡しながら歩いていると滝が見えてきた。滝の近くまで行くと滝の裏に洞窟があるのが見える。アレンはその中をそっと覗いてみる。中は暗くてよく見えなかったが、奥まで道が続いているように見えた。アレンは慌てて来た道を戻り、寝ているティムを起こす。

「ティム! 起きて! みんなも早く!」

 ティムは眠そうに目を開ける。

「ん? どうしたの?」

 クレイグも目を覚ましアレンを見る。

「何だよ……うっせえな」

 ブラッドも目覚めて、アレンを見る。アレンは興奮気味に話しだした。

「洞窟! この先に滝に隠れた洞窟があったんだよ!」

 ティムが飛び起きる。

「洞窟⁉ なんかありそう!」

 そう言って、飛び起き、急いで寝袋を片付け始める。

「山なんだから洞窟くらいあるだろ。そんなテンション上げることかよ」

 そう言ってクレイグはまた寝ようとする。しかし、ティムがクレイグを無理やり寝袋から引っ張り出す。

「早く起きないと置いてくよ!」
「何すんだよ。強引だな……」

 寝袋から転がり出されたクレイグが文句を言いながら立ち上がる。それを見たブラッドもゆっくりと起きて支度を始めるのだった。
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