四銃士

黄坂美々

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11 フェクター村

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 馬車が止まり、男が荷台の幌が開けられる。

「降りろ」

 男に促され、4人は周囲を見渡しながらゆっくりと馬車から降りる。フェクター村と書かれた標識があり、木造の家が立ち並んでいる。それぞれの家の窓には灯りが点いているが、外には村人の姿はない。男たちは4人を手荒く連行し、牢屋に入れる。

「おい! どういうことだよ! 説明しろよ!」

 クレイグが詰め寄るように言うが、男たちは何も答えず行ってしまう。4人は手首を縛られたまま床に座り込む。

「最悪だな」

 ブラッドがつぶやいた。ティムも続けてつぶやく。

「何でこんなことになったんだろ……」
「着いたら説明すんじゃねえのかよ!」

 クレイグが不満そうに言った。

「みんな、ごめん。俺のせいかも」

 アレンがそう言ってうつむく。クレイグがアレンを軽く蹴って言う。

「はあ⁉ 何でも問題抱え込もうとすんじゃねえよ! あいつらが頭おかしいんだよ!」
「いや、原因はたぶんアレンだ」

 ブラッドが言う。ティムが不満そうにブラッドを見て言う。

「ブラッドはすぐアレンを責める! 悪いとこだよ!」
「考えてみろ。ここはどこだ?」

 ブラッドがティムに聞く。

「フェクター」
「フェクターの文化は?」
「森を大切にしてヌシである……」

 ティムは答えながらはっと何かに気づいて途中で口ごもる。

「そんなこと知るか! 殺されそうだったらやり返すのは当たり前だろ!」

 クレイグが言った。

「それが通用すればいいがな」

 ブラッドが険しい表情で言った。

「人間より大事な蛇なんかいるか!」

 クレイグが吐き捨てるように言ったそのとき、牢屋の外で男の声がする。

「いる」

 4人が声のした方を見ると、一人の男が牢屋に近づいてきた。そして4人を見下ろして言う。

「あの大蛇はこの村の繁栄のためには絶対だ。殺すなんてありえない。おまえたちは罪を犯した」
「知らなかったんです!」

 ティムが慌てて言う。

「知らなかったでは済まされない。事情を聴くつもりだったが主犯が誰なのかわかった以上、その必要もないな」

 男はアレンを見て言った。クレイグが小声でつぶやく。

「あの女、チクリやがって」
「出ろ」

 男がアレンに向かって言い、牢屋のドアを開ける。アレンが立ち上がろうとしたとき、クレイグが足で止める。

「バカ、行くんじゃねえ。行ったらどうなるかわかんねえのか」
「でも――」

 アレンがクレイグと話そうとしたとき、男がクレイグの腹を強く蹴りつけた。クレイグはうずくまって咳き込む。それを見ていたブラッドが立ち上がろうと片膝をついた瞬間、男がブラッドの頭に銃口を突きつける。ブラッドは男をにらみつけながら静かに座る。

「クレイグ大丈夫?」

 うずくまるクレイグにティムが声をかける。

「みんな、ありがとう」

 そう言って、アレンは静かに立ち上がり男とともに牢から出ていく。クレイグは怒りをぶつけるように壁を強く蹴りつけるのだった。


 村の中心に広場があり、たくさんの村人が集まっている。広場の中心には罪人を縛り付けるための木造の柱が立ててある。その柱の前にアレンが座り、村人たちは険しい表情でアレンを見ている。アレンの正面には村長が椅子に腰かけ、その隣に鞭を持った男が立っている。鞭を持った男が村長に話しかける。

「彼が傷を負わせた男です」

 村長はアレンを険しい顔で見つめて言う。

「そうか。とんでもないことをしてくれたな。罰はしっかり受けてもらうぞ」

 アレンは小さく震える手を押さえながら、恐る恐る口を開いた。

「あ、あの、罰は受けます。でもあとの3人は何もしてないので許してあげてください……」
「考えておく」

 村長が冷たく言い、隣の男に合図を出す。鞭を持った男と近くにいた男がアレンに近づいてくる。そのとき人混みの中から声がする。

「待ちな!」

 人混みをかき分けて姿を現したのは森で会ったケイだった。ケイが村長の前まで近づくと、険しかった村長の顔がほころんだ。

「おお! ケイ。どうしたんだ?」

 アレンはケイを見上げる。ケイは村長に言う。

「そいつはもうやんないよ。放してやんな」
「そんなことなぜ言い切れる。罰を与えなければ反省しないだろ」
「言葉だけでわかる奴もいる。そうだろ?」

 ケイはそう言ってアレンを見る。アレンは慌てて答える。

「は、はい、もうしません。知らなかったとはいえ、大切なヌシを傷つけてしまって本当にすみませんでした」

 アレンは村長に頭を下げる。

「ほら、だから許してやりな」

 ケイが言った。周りの村人がソワソワしながら見守っている。村長は納得いかない様子で歯切れ悪く話しだす。

「んー……そうは言ってもな……」
「さっさと放せって言ってんだよ! 私の言うことが聞けないってのか!」

 ケイが怒鳴り、村長をにらみつける。

「わ、わ、わかった! 放してやれ」

 村長は男に慌てて指示を出し、男が慌ててアレンの縄を解く。

「牢の中の奴らも全員だよ」

 ケイが言う。男は村長の顔を見る。

「さっさとしろ!」

 ケイがまた怒鳴る。村長は急いで指示を出し、男は牢の方へ走っていく。アレンは静かに様子を伺っている。ケイは集まっている村人たちに声をかける。

「あんたらも散った散った! もう何の見世物もないよ!」

 村人たちはゾロゾロと家路へ帰っていった。
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