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12 非情な掟
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アレンはそっとケイに近づき声をかける。
「あの、ありがとう」
「いいよ、礼なんて。あいつらがやり過ぎなんだから。こっちこそごめん」
互いに軽く微笑み合った。そこへ解放されたティムたちが駆け寄ってくる。
「アレーン! 大丈夫だった?」
ティムがそう言ってアレンの身体をチェックする。アレンが心配するティムを見て微笑みながら言う。
「ありがとう。大丈夫だよ。ケイさんのおかげで」
クレイグが驚いてケイを見る。
「えっ、こいつのせいじゃねえのか?」
「違うよ。ケイさんが村のみんなを説得してくれたんだよ。みんなが無事に出れたのもケイさんのおかげなんだよ」
アレンがみんなに説明した。クレイグがケイを見て言う。
「そうか……ありがとう」
「もう、礼はいいから」
ケイが言う。
「若いくせに力持ってんだな」
ブラッドがケイに言った。
「まあね。今だけね……」
「今だけ――」
ブラッドが聞こうとしたのをケイが遮り話しだす。
「そんなこといいから、さっさと行きなよ。急いで馬で駆けたら隣街まで今日中に着くかもよ」
そう言ってケイは4人に手を振り、家に帰っていった。4人は馬に荷物をのせ、出発の準備をする。荷物を積みながらティムがつぶやく。
「いい人だったね。美人でいい人って最強だね」
「そうだな」
クレイグがぼそっとつぶやいた。ティムがクレイグを指さして言う。
「あ! 認めた!」
「あっ、ちがっ……釣られただけだ!」
クレイグがティムの指を払いのけながら言う。ティムとアレンが慌てるクレイグを見て笑っているとき、クレイグの近くを二人の村人が話しながら通り過ぎていく。
「ケイの奴、あんな偉そうに村長に言うのは問題だよな」
「もうすぐ死ぬから大目に見てんだろうな。最後のわがままってやつだな」
話が聞こえたクレイグは手を止めてティムに言う。
「悪い、俺のも頼む! すぐ戻るから!」
クレイグはティムの返事も聞かずに走りだした。
「えっ⁉ ちょっ、ちょっとどこ行くのー⁉」
ティムが呼び止めようとするが、振り返ることなく行ってしまった。アレンとブラッドは不思議そうに顔を見合わせる。
ケイの家の前で息を整えるクレイグ。そしてドアを叩き、中に入る。ケイは食事をしている。
「何? まだ何か用?」
「おまえ病気なのか?」
「はあ?」
「この村、小せえけど医者はいんのか? ああ見えてもアレンは医者の卵だ。どっか悪いなら診てもらえよ」
ケイは黙って食事をしながら壁にかけてある白装束に目をやる。
「おい! 聞いてんのかよ! こっちは真面目に話してんだよ。このまま死なれたら後味悪いんだよ」
ケイは食事を終え、食器を片付けながら言う。
「病気じゃないから安心しな。何を聞いたか知んないけど、あんたたちには関係ないから」
「病気じゃねえなら何で死ぬんだよ」
ケイは大きなため息をつく。
「しつこい奴だな。首突っ込むなって言ってんだよ」
「二度も助けてくれた奴が死にそうなときにほっとけるわけねえだろ! 理由くらい教えてくれたっていいだろ」
ケイはクレイグに背を向けたまま食器を洗っている。そしてぼそっとつぶやく。
「あの大蛇に喰われんの」
「はあ? 何でだよ」
「私、生け贄だから」
「はあ⁉ 何だよそれ。意味わかんねえ!」
ケイが振り返ってクレイグを見る。
「だから、あの大蛇のエサになるってこと」
「そこじゃねえよ。何で黙って喰われようとしてんだよ!」
「それが掟だから。そうしないとこの村が滅んじゃうからさ」
「滅べよ、そんな村!」
「ええ⁉」
「おまえが犠牲にならなきゃ繫栄できねえような村は滅ぶ運命なんだよ」
「そんな勝手な……。私が生け贄にならなかったら、あの蛇が村に何するかわかんないし」
「そんな危ねえとこ住まなきゃいいだろ! 他にも住めるとこあんだろ」
ケイが黙り込む。
「考えるのは後にしろ。とにかく俺らと一緒に来い!」
クレイグがケイの腕をつかみ、家を出る。クレイグはケイの腕を引き、走りだす。ケイはクレイグの横顔を見つめていた。
「あの、ありがとう」
「いいよ、礼なんて。あいつらがやり過ぎなんだから。こっちこそごめん」
互いに軽く微笑み合った。そこへ解放されたティムたちが駆け寄ってくる。
「アレーン! 大丈夫だった?」
ティムがそう言ってアレンの身体をチェックする。アレンが心配するティムを見て微笑みながら言う。
「ありがとう。大丈夫だよ。ケイさんのおかげで」
クレイグが驚いてケイを見る。
「えっ、こいつのせいじゃねえのか?」
「違うよ。ケイさんが村のみんなを説得してくれたんだよ。みんなが無事に出れたのもケイさんのおかげなんだよ」
アレンがみんなに説明した。クレイグがケイを見て言う。
「そうか……ありがとう」
「もう、礼はいいから」
ケイが言う。
「若いくせに力持ってんだな」
ブラッドがケイに言った。
「まあね。今だけね……」
「今だけ――」
ブラッドが聞こうとしたのをケイが遮り話しだす。
「そんなこといいから、さっさと行きなよ。急いで馬で駆けたら隣街まで今日中に着くかもよ」
そう言ってケイは4人に手を振り、家に帰っていった。4人は馬に荷物をのせ、出発の準備をする。荷物を積みながらティムがつぶやく。
「いい人だったね。美人でいい人って最強だね」
「そうだな」
クレイグがぼそっとつぶやいた。ティムがクレイグを指さして言う。
「あ! 認めた!」
「あっ、ちがっ……釣られただけだ!」
クレイグがティムの指を払いのけながら言う。ティムとアレンが慌てるクレイグを見て笑っているとき、クレイグの近くを二人の村人が話しながら通り過ぎていく。
「ケイの奴、あんな偉そうに村長に言うのは問題だよな」
「もうすぐ死ぬから大目に見てんだろうな。最後のわがままってやつだな」
話が聞こえたクレイグは手を止めてティムに言う。
「悪い、俺のも頼む! すぐ戻るから!」
クレイグはティムの返事も聞かずに走りだした。
「えっ⁉ ちょっ、ちょっとどこ行くのー⁉」
ティムが呼び止めようとするが、振り返ることなく行ってしまった。アレンとブラッドは不思議そうに顔を見合わせる。
ケイの家の前で息を整えるクレイグ。そしてドアを叩き、中に入る。ケイは食事をしている。
「何? まだ何か用?」
「おまえ病気なのか?」
「はあ?」
「この村、小せえけど医者はいんのか? ああ見えてもアレンは医者の卵だ。どっか悪いなら診てもらえよ」
ケイは黙って食事をしながら壁にかけてある白装束に目をやる。
「おい! 聞いてんのかよ! こっちは真面目に話してんだよ。このまま死なれたら後味悪いんだよ」
ケイは食事を終え、食器を片付けながら言う。
「病気じゃないから安心しな。何を聞いたか知んないけど、あんたたちには関係ないから」
「病気じゃねえなら何で死ぬんだよ」
ケイは大きなため息をつく。
「しつこい奴だな。首突っ込むなって言ってんだよ」
「二度も助けてくれた奴が死にそうなときにほっとけるわけねえだろ! 理由くらい教えてくれたっていいだろ」
ケイはクレイグに背を向けたまま食器を洗っている。そしてぼそっとつぶやく。
「あの大蛇に喰われんの」
「はあ? 何でだよ」
「私、生け贄だから」
「はあ⁉ 何だよそれ。意味わかんねえ!」
ケイが振り返ってクレイグを見る。
「だから、あの大蛇のエサになるってこと」
「そこじゃねえよ。何で黙って喰われようとしてんだよ!」
「それが掟だから。そうしないとこの村が滅んじゃうからさ」
「滅べよ、そんな村!」
「ええ⁉」
「おまえが犠牲にならなきゃ繫栄できねえような村は滅ぶ運命なんだよ」
「そんな勝手な……。私が生け贄にならなかったら、あの蛇が村に何するかわかんないし」
「そんな危ねえとこ住まなきゃいいだろ! 他にも住めるとこあんだろ」
ケイが黙り込む。
「考えるのは後にしろ。とにかく俺らと一緒に来い!」
クレイグがケイの腕をつかみ、家を出る。クレイグはケイの腕を引き、走りだす。ケイはクレイグの横顔を見つめていた。
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