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15 メグレスの街
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草の上にひいた大きめのシートの上にアレンたちは腰を下ろした。そこへお茶を持った女たちが一人ずつの隣りに座り、お茶を手渡す。アレンはお茶を受け取り、礼を言う。クレイグはお茶を飲み、隣りに座る女に話しかける。
「美人に淹れてもらったお茶は別格だな。名前は?」
「レナよ。あなたは口が上手いのね。それにたくましい」
レナはクレイグの腕にそっと触れる。
「まあ、この中では一番だな」
「顔もでしょ?」
「まあな」
二人は見つめ合い微笑む。
「ねえ、お礼に私たちの踊りを観ていって」
「お、いいな」
女たちは着ていたガウンを脱ぎ捨てる。艶やかな衣装が風になびく。女たちはクレイグたちを囲むように美しく踊り始めた。皆、その踊りを見ながら静かにお茶を飲んでいる。レナはクレイグを見つめて踊り、クレイグもまたレナを見つめていた。
美しい踊りとお茶をご馳走になり5人は大満足だった。馬にまたがる5人のそばに、男と女たちが集まっている。
「本当にありがとうございました。助かりました」
男が笑顔で言い、アレンが答える。
「こちらこそ、おいしいお茶と踊りをありがとうございました」
続けてティムも言う。
「皆さんも道中気をつけてくださいね」
「はい。もし、メグレスで会うことがあれば声かけてください」
男が言い、クレイグが答える。
「ああ。じゃあな、レナ」
「ええ、また」
レナとクレイグは目で合図するように微笑み合った。そして踊り子たちと別れ、メグレスに向けてまた駆け出すのだった。
それからまた数日が経ち、5人はようやくメグレスにたどり着いた。街を隠すかのように石造りの高い壁がそびえ立っている。皆は壁を見上げて、街の中へと入っていく。石造りの民家が立ち並んでいる。しかし街には人気がなくとても静かだ。皆は馬から降り、周囲を見渡してケイがつぶやく。
「静かな街だね」
ブラッドが険しい顔で言う。
「静かすぎるな」
ティムも街を見ながら言う。
「まるで誰も住んでないみたいだね」
「とりあえず行こう」
アレンはそう言って街の奥へと歩きだした。クレイグが忠告する。
「気抜くんじゃねえぞ」
皆が警戒しながら歩いていると、宿屋と書かれた看板を見つける。二階建ての馬小屋が隣接している宿屋だ。4人は馬を小屋に入れ、その間にケイが宿屋のドアを開けようとするが鍵がかかっている。ケイはドアを叩きながら言う。
「ねえ! 鍵かかってんだけど! いないの?」
ティムがケイに近づく。
「閉まってるの?」
「他に宿屋あるかな」
アレンが周囲を見渡しながら言った。クレイグがドアに近づいたとき、ドアの上部にある小窓が開き、宿屋の女将が目だけを覗かせて小声で言う。
「大きな音を立てないでおくれ!」
「おっと、びっくりした! いんのかよ」
クレイグが言った。女将が続けて話す。
「あんたたち旅人かい?」
アレンがドアに近づき答える。
「はい。今、この街に着いたばかりで、この街は閉店が早いんですか? どこか開いてる宿知りませんか?」
「この街で宿屋はうちだけだよ」
ケイがアレンに後ろから声をかける。
「アレン、私は野宿でいいよ。寝れる場所探そうよ」
「そうだね。ありが――」
アレンが女将にお礼を言おうとしたとき、女将がドアを開けて出てくる。
「ちょっと待ちな。あんたたち女の子を連れてるのかい?」
女将はアレンとクレイグを押し退け、ケイに近づき顔から足先までをじっと見る。ケイは不機嫌そうに言う。
「何だよ。キモいんだけど」
「こりゃまずいね。あんたたち中へお入り。部屋は二つでいいかい?」
女将はそう言って宿の中へ入っていく。
「え? 泊めてもらえるんですか?」
アレンが聞くと、女将が5人を急かすように手招きする。
「ああ、いいから早く入りなさい」
5人が言われるままに中へ入ると、女将は急いでドアの鍵を閉めた。その様子を不審な目で見ていたブラッドが聞く。
「どういうことだ?」
「あんたたち、不用心な旅人だね。ここのこと何も知らずに来たのかい?」
「何のこと?」
ティムが不思議そうに聞くと、女将が話始める。
「この辺りには馬賊が出るってことは知ってるかい?」
「ああ、この街を抜けたアリオト砂漠に住みついてるって話だな」
ブラッドが答える。
「それが最近じゃこの街に頻繁に来てはやりたい放題さ」
「それで皆さん早く店じまいを?」
アレンが聞いた。
「ああ。とくに若い女を見つけたら必ず連れ去っちまう。もう何人いなくなったかわかりゃしないよ」
「それでケイを心配してくれたんですね」
ティムが笑顔で言った。
「そうだよ。そんなきれいな子連れて野宿なんて、誘拐してくれって言ってるようなものだよ」
ケイが不信な眼差しで女将を見て言う。
「優しいんだか、優しくないんだかよくわかんない奴だね」
アレンがケイの腕を軽く引いて言う。
「ケイ。助けてくれたのにそんな――」
「私がいたからね。男だけだったら放っておくつもりだったんだろ。旅人だってわかってんなら男女関係なく助けるのが本当の優しさってもんだろ」
女将は目をそらして話しだす。
「そうだね。あんたの言う通りだよ。でもあたしらも命がけでね。以前、旅人だと偽って奴らが宿屋に押し入ったことがあってね。その宿はボロボロにされて潰れちまったんだ」
「そっか。だから女の私がいれば賊じゃないって思ったってことか」
女将がうなずく。ケイは女将の腕に触れて言う。
「ごめん。泊めてくれてありがと」
女将は顔を上げてケイに微笑み、皆を見渡して言う。
「あんたたち服が泥だらけじゃないか。洗濯してあげるから風呂に入りな」
女将がアレンの上着に触れたとき、腰につけた銃と剣が目に入り驚いてアレンを見上げる。
「あんた、これ……」
「あ、すみません。驚かせてしまって」
アレンはそう言って銃と剣を腰から外す。ティムが女将に笑顔で言う。
「護身用ですよ。旅人ですから」
「そうかい……」
女将はそう言って、ブラッドの顔と体をまじまじと見つめる。ブラッドはその視線に気づき眉をひそめる。
「何だ」
「あんたに折り入って頼みがある」
「断る」
ブラッドはすぐさま答えて、そのまま風呂場へと歩いていった。女将はうろたえてブラッドの後ろ姿をただ見つめていた。ティムたちはブラッドの後を慌てて追いかけていく。
「美人に淹れてもらったお茶は別格だな。名前は?」
「レナよ。あなたは口が上手いのね。それにたくましい」
レナはクレイグの腕にそっと触れる。
「まあ、この中では一番だな」
「顔もでしょ?」
「まあな」
二人は見つめ合い微笑む。
「ねえ、お礼に私たちの踊りを観ていって」
「お、いいな」
女たちは着ていたガウンを脱ぎ捨てる。艶やかな衣装が風になびく。女たちはクレイグたちを囲むように美しく踊り始めた。皆、その踊りを見ながら静かにお茶を飲んでいる。レナはクレイグを見つめて踊り、クレイグもまたレナを見つめていた。
美しい踊りとお茶をご馳走になり5人は大満足だった。馬にまたがる5人のそばに、男と女たちが集まっている。
「本当にありがとうございました。助かりました」
男が笑顔で言い、アレンが答える。
「こちらこそ、おいしいお茶と踊りをありがとうございました」
続けてティムも言う。
「皆さんも道中気をつけてくださいね」
「はい。もし、メグレスで会うことがあれば声かけてください」
男が言い、クレイグが答える。
「ああ。じゃあな、レナ」
「ええ、また」
レナとクレイグは目で合図するように微笑み合った。そして踊り子たちと別れ、メグレスに向けてまた駆け出すのだった。
それからまた数日が経ち、5人はようやくメグレスにたどり着いた。街を隠すかのように石造りの高い壁がそびえ立っている。皆は壁を見上げて、街の中へと入っていく。石造りの民家が立ち並んでいる。しかし街には人気がなくとても静かだ。皆は馬から降り、周囲を見渡してケイがつぶやく。
「静かな街だね」
ブラッドが険しい顔で言う。
「静かすぎるな」
ティムも街を見ながら言う。
「まるで誰も住んでないみたいだね」
「とりあえず行こう」
アレンはそう言って街の奥へと歩きだした。クレイグが忠告する。
「気抜くんじゃねえぞ」
皆が警戒しながら歩いていると、宿屋と書かれた看板を見つける。二階建ての馬小屋が隣接している宿屋だ。4人は馬を小屋に入れ、その間にケイが宿屋のドアを開けようとするが鍵がかかっている。ケイはドアを叩きながら言う。
「ねえ! 鍵かかってんだけど! いないの?」
ティムがケイに近づく。
「閉まってるの?」
「他に宿屋あるかな」
アレンが周囲を見渡しながら言った。クレイグがドアに近づいたとき、ドアの上部にある小窓が開き、宿屋の女将が目だけを覗かせて小声で言う。
「大きな音を立てないでおくれ!」
「おっと、びっくりした! いんのかよ」
クレイグが言った。女将が続けて話す。
「あんたたち旅人かい?」
アレンがドアに近づき答える。
「はい。今、この街に着いたばかりで、この街は閉店が早いんですか? どこか開いてる宿知りませんか?」
「この街で宿屋はうちだけだよ」
ケイがアレンに後ろから声をかける。
「アレン、私は野宿でいいよ。寝れる場所探そうよ」
「そうだね。ありが――」
アレンが女将にお礼を言おうとしたとき、女将がドアを開けて出てくる。
「ちょっと待ちな。あんたたち女の子を連れてるのかい?」
女将はアレンとクレイグを押し退け、ケイに近づき顔から足先までをじっと見る。ケイは不機嫌そうに言う。
「何だよ。キモいんだけど」
「こりゃまずいね。あんたたち中へお入り。部屋は二つでいいかい?」
女将はそう言って宿の中へ入っていく。
「え? 泊めてもらえるんですか?」
アレンが聞くと、女将が5人を急かすように手招きする。
「ああ、いいから早く入りなさい」
5人が言われるままに中へ入ると、女将は急いでドアの鍵を閉めた。その様子を不審な目で見ていたブラッドが聞く。
「どういうことだ?」
「あんたたち、不用心な旅人だね。ここのこと何も知らずに来たのかい?」
「何のこと?」
ティムが不思議そうに聞くと、女将が話始める。
「この辺りには馬賊が出るってことは知ってるかい?」
「ああ、この街を抜けたアリオト砂漠に住みついてるって話だな」
ブラッドが答える。
「それが最近じゃこの街に頻繁に来てはやりたい放題さ」
「それで皆さん早く店じまいを?」
アレンが聞いた。
「ああ。とくに若い女を見つけたら必ず連れ去っちまう。もう何人いなくなったかわかりゃしないよ」
「それでケイを心配してくれたんですね」
ティムが笑顔で言った。
「そうだよ。そんなきれいな子連れて野宿なんて、誘拐してくれって言ってるようなものだよ」
ケイが不信な眼差しで女将を見て言う。
「優しいんだか、優しくないんだかよくわかんない奴だね」
アレンがケイの腕を軽く引いて言う。
「ケイ。助けてくれたのにそんな――」
「私がいたからね。男だけだったら放っておくつもりだったんだろ。旅人だってわかってんなら男女関係なく助けるのが本当の優しさってもんだろ」
女将は目をそらして話しだす。
「そうだね。あんたの言う通りだよ。でもあたしらも命がけでね。以前、旅人だと偽って奴らが宿屋に押し入ったことがあってね。その宿はボロボロにされて潰れちまったんだ」
「そっか。だから女の私がいれば賊じゃないって思ったってことか」
女将がうなずく。ケイは女将の腕に触れて言う。
「ごめん。泊めてくれてありがと」
女将は顔を上げてケイに微笑み、皆を見渡して言う。
「あんたたち服が泥だらけじゃないか。洗濯してあげるから風呂に入りな」
女将がアレンの上着に触れたとき、腰につけた銃と剣が目に入り驚いてアレンを見上げる。
「あんた、これ……」
「あ、すみません。驚かせてしまって」
アレンはそう言って銃と剣を腰から外す。ティムが女将に笑顔で言う。
「護身用ですよ。旅人ですから」
「そうかい……」
女将はそう言って、ブラッドの顔と体をまじまじと見つめる。ブラッドはその視線に気づき眉をひそめる。
「何だ」
「あんたに折り入って頼みがある」
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