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26 シビルの秘薬
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シビルは話を続ける。
「私、アイリスに会ってきたの。可愛らしい子ね。あなたがここで無理したらあの子に会えなくなるし、あの子が泣くことにもなるわ。そのこともよく考えるべきね」
ブラッドが鋭い眼差しでシビルを見て言う。
「ケイを見殺しにしろってことか?」
「まあ、私はケイに思い入れがないからどっちでもいいわ。アイリスが目覚めて、話せるならそれでいい」
「おまえみたいな冷たい奴、アイリスが目覚めても嫌われるだけだ」
「そう? 意外⁉ てっきりどんな人でも受け入れてくれる子だと思ったわ」
「寝てるだけの奴見てよく思えたな」
「だってあなたでも友達なんでしょ?」
ブラッドは言葉を吞み、目を逸らした。
「冗談よ。あなたは強がりなだけで本当は優しいんでしょうね。だからこんなに怪我して」
シビルはブラッドの頭を撫でる。
「やめろ」
ブラッドはシビルの手を払って言った。
「ほら、包帯換えるからじっとして」
シビルは血で汚れた包帯を取り、新しいのを巻き付ける。ブラッドは不機嫌な表情を浮かべながらも大人しくしている。包帯を取り換え終わり、シビルはベッドを整えて言う。
「ブラッドもちゃんと休むのよ」
「ああ」
シビルはベッドに横になり眠りにつく。ブラッドはソファに置かれたシビルの荷物をじっと見つめていた。
翌朝、シビルが目を覚ますとテーブルの上に小さな空の小瓶があった。ブラッドは静かにソファで眠っている。それを見てシビルはため息をつき、ブラッドの包帯を取る。すると昨日はあったはずの傷がすべてきれいになくなっていた。シビルはキッチンに行き、コーヒーを淹れてブラッドを見ながらゆっくりとコーヒーを飲むのだった。しばらく経ってブラッドが目を覚ました。ブラッドは勢いよく起き上がり、自分の体を見る。
「傷が、ない……」
シビルは黙ってブラッドを見つめている。ブラッドはシビルの視線に気づいて、気まずそうに言う。
「悪かった」
「危ないことするわね。飲み薬じゃなかったらどうするの」
「それは……考えてなかった」
「まあ、無事だったからいいけど。たぶんあなたなら勝手に飲むと思ってたわ」
「盗られるのわかってて、わざとここに荷物置いて寝たのか?」
「持ち逃げはしないだろうし、飲んだら8時間は眠り続けるから逃げられる心配はないと思ってね」
「8時間も寝てたのか」
ブラッドは窓の外を見る。
「やっぱり行くつもり?」
シビルが聞いた。
「ああ、間に合えばいいけどな」
「そう。仕方ない、私も一緒に行くわ」
「必要ない。邪魔だ」
「ひどいわあ。まあいいけど。勝手について行くだけだから気にしないで」
「おまえもか。勝手な奴ばっかりだな」
「迷惑はかけないわ。安心して」
「だめだって言ってるだろ。おまえが死んだら誰が薬作るんだよ」
シビルは笑顔でブラッドを見つめている。
「笑ってごまかそうとするな」
「じゃ、準備して。私はいつでもいいわよ」
「全然話噛み合わないな。勝手にしろ」
ブラッドはソファから立ち上がり準備を始めるのだった。
少年の家を探して砂漠を駆けているアレンたちだったが、だんだん日没が近づいていた。クレイグがアレンに声をかける。
「おい! だいぶ走ってるけど大丈夫か?」
「もう日も暮れそうだよ」
ティムも心配そうに言う。そのとき、アレンが前方に集落を見つける。
「見て!」
アレンが指さして言う。クレイグたちが前方に目をやったとき、少年が笑顔で叫ぶ。
「あったあ!」
アレンは少年を見て微笑み、クレイグたちもほっとした表情を浮かべる。
集落に着いたアレンたちは馬を降り、周囲を見渡した。いくつかのゲルと中央には焚火があり、焚火の周りには5、6人の住人たちが集まっている。少年が笑顔で住民たちの方へと走り出した。
「ママ!」
少年の声で住人たちが振り返る。そして一人の女が少年に駆け寄り、涙を浮かべて強く抱きしめる。その様子を見てティムがつぶやく。
「よかったね」
そして少年の母と少年が手をつないでアレンたちに近づいてくる。
「あの、助けていただいてありがとうございました」
「無事にたどり着けたのは彼のおかげです」
アレンが少年を見て言う。
「ありがとう、お兄ちゃん」
少年がアレンを見上げて笑顔で言う。
「もうじき日が暮れます。よろしければ一晩泊まって行きませんか?」
女の提案を聞いたティムがすぐさま反応する。
「いいの⁉ 泊まる! 宿もないし、外には恐竜いるし、困ってたんだ」
「どうぞ、ゆっくりして行ってくださいね」
女は優しく微笑んで言った。
「すみません。ありがとうございます」
アレンが礼を言い、 クレイグがつぶやいた。
「よかった、よかった。これから寝るとこ探すのきついと思ってたんだよ」
「あ、あの、ご主人のことなんですが――」
アレンが話そうとしたのを遮るように女が言う。
「いいの。わかってます。息子を助けてくださって感謝してます。どうぞ、荷物を下ろしてくつろいでください」
女は涙をこらえて、アレンたちをゲルの中へと案内するのだった。
「私、アイリスに会ってきたの。可愛らしい子ね。あなたがここで無理したらあの子に会えなくなるし、あの子が泣くことにもなるわ。そのこともよく考えるべきね」
ブラッドが鋭い眼差しでシビルを見て言う。
「ケイを見殺しにしろってことか?」
「まあ、私はケイに思い入れがないからどっちでもいいわ。アイリスが目覚めて、話せるならそれでいい」
「おまえみたいな冷たい奴、アイリスが目覚めても嫌われるだけだ」
「そう? 意外⁉ てっきりどんな人でも受け入れてくれる子だと思ったわ」
「寝てるだけの奴見てよく思えたな」
「だってあなたでも友達なんでしょ?」
ブラッドは言葉を吞み、目を逸らした。
「冗談よ。あなたは強がりなだけで本当は優しいんでしょうね。だからこんなに怪我して」
シビルはブラッドの頭を撫でる。
「やめろ」
ブラッドはシビルの手を払って言った。
「ほら、包帯換えるからじっとして」
シビルは血で汚れた包帯を取り、新しいのを巻き付ける。ブラッドは不機嫌な表情を浮かべながらも大人しくしている。包帯を取り換え終わり、シビルはベッドを整えて言う。
「ブラッドもちゃんと休むのよ」
「ああ」
シビルはベッドに横になり眠りにつく。ブラッドはソファに置かれたシビルの荷物をじっと見つめていた。
翌朝、シビルが目を覚ますとテーブルの上に小さな空の小瓶があった。ブラッドは静かにソファで眠っている。それを見てシビルはため息をつき、ブラッドの包帯を取る。すると昨日はあったはずの傷がすべてきれいになくなっていた。シビルはキッチンに行き、コーヒーを淹れてブラッドを見ながらゆっくりとコーヒーを飲むのだった。しばらく経ってブラッドが目を覚ました。ブラッドは勢いよく起き上がり、自分の体を見る。
「傷が、ない……」
シビルは黙ってブラッドを見つめている。ブラッドはシビルの視線に気づいて、気まずそうに言う。
「悪かった」
「危ないことするわね。飲み薬じゃなかったらどうするの」
「それは……考えてなかった」
「まあ、無事だったからいいけど。たぶんあなたなら勝手に飲むと思ってたわ」
「盗られるのわかってて、わざとここに荷物置いて寝たのか?」
「持ち逃げはしないだろうし、飲んだら8時間は眠り続けるから逃げられる心配はないと思ってね」
「8時間も寝てたのか」
ブラッドは窓の外を見る。
「やっぱり行くつもり?」
シビルが聞いた。
「ああ、間に合えばいいけどな」
「そう。仕方ない、私も一緒に行くわ」
「必要ない。邪魔だ」
「ひどいわあ。まあいいけど。勝手について行くだけだから気にしないで」
「おまえもか。勝手な奴ばっかりだな」
「迷惑はかけないわ。安心して」
「だめだって言ってるだろ。おまえが死んだら誰が薬作るんだよ」
シビルは笑顔でブラッドを見つめている。
「笑ってごまかそうとするな」
「じゃ、準備して。私はいつでもいいわよ」
「全然話噛み合わないな。勝手にしろ」
ブラッドはソファから立ち上がり準備を始めるのだった。
少年の家を探して砂漠を駆けているアレンたちだったが、だんだん日没が近づいていた。クレイグがアレンに声をかける。
「おい! だいぶ走ってるけど大丈夫か?」
「もう日も暮れそうだよ」
ティムも心配そうに言う。そのとき、アレンが前方に集落を見つける。
「見て!」
アレンが指さして言う。クレイグたちが前方に目をやったとき、少年が笑顔で叫ぶ。
「あったあ!」
アレンは少年を見て微笑み、クレイグたちもほっとした表情を浮かべる。
集落に着いたアレンたちは馬を降り、周囲を見渡した。いくつかのゲルと中央には焚火があり、焚火の周りには5、6人の住人たちが集まっている。少年が笑顔で住民たちの方へと走り出した。
「ママ!」
少年の声で住人たちが振り返る。そして一人の女が少年に駆け寄り、涙を浮かべて強く抱きしめる。その様子を見てティムがつぶやく。
「よかったね」
そして少年の母と少年が手をつないでアレンたちに近づいてくる。
「あの、助けていただいてありがとうございました」
「無事にたどり着けたのは彼のおかげです」
アレンが少年を見て言う。
「ありがとう、お兄ちゃん」
少年がアレンを見上げて笑顔で言う。
「もうじき日が暮れます。よろしければ一晩泊まって行きませんか?」
女の提案を聞いたティムがすぐさま反応する。
「いいの⁉ 泊まる! 宿もないし、外には恐竜いるし、困ってたんだ」
「どうぞ、ゆっくりして行ってくださいね」
女は優しく微笑んで言った。
「すみません。ありがとうございます」
アレンが礼を言い、 クレイグがつぶやいた。
「よかった、よかった。これから寝るとこ探すのきついと思ってたんだよ」
「あ、あの、ご主人のことなんですが――」
アレンが話そうとしたのを遮るように女が言う。
「いいの。わかってます。息子を助けてくださって感謝してます。どうぞ、荷物を下ろしてくつろいでください」
女は涙をこらえて、アレンたちをゲルの中へと案内するのだった。
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