いろはにほへと ちりになれ!

藤丸セブン

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六十七限目 寒すぎてサ⚪︎スになった

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「ひやぁー!さむさむ。最近寒過ぎるってぇー!」
 我が家から出た日華は手袋越しに手を擦り合わせながら嘆く。
「寒すぎて泣くわぁ。あ、」
 独り言を言った後先日いろはが使っていた言葉を思い出して、それを真似してやろうと思った。別に誰が聞いているでもないが。
「こんな寒かったら、寒すぎてサ⚪︎スになっちゃうね(笑)」
「そぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉいいいいいいい!!」
「むおおおおおおおおおおおおおおお!!」
 そう口にした日華に背後から迫る影が二つ。その影に日華は持ち上げられ、頭に謎のヘルメット。体には謎の機械の装備を装着された。宇宙服の様にも見えるそれには日華は見覚えがあった。そう、これは。
「⚪︎ムゥス!!」
 色々なゲームのキャラクターが大乱闘するゲームでそのキャラが選ばれた時のナレーションをいろはが真似した。
 
 <六十七限目 寒すぎてサ⚪︎スになった>
 
「・・・は?」
「おおおお!よく似合ってんぜにっちゃん!」
「む、完璧」
「・・・は!?」
 驚きすぎて声が言葉が出てこない日華がいろはと波留に近づこうと一方前に踏み出すと「ガシャン!」という機械音がなる。間違いなく日華の足音である。
「早く脱がせろ!!」
「えー?にっちゃんがサムスになりたいって言ったんだぜ?」
「む、よく似合っている」
「なりたいなんて一言も言ってないんだけど!?」
 その通り。なっちゃう、とは言ったがなりたいとは一言も言っていない。それにもし言ったとしても冗談半分である。本当にこんなアーマーを着させられるなんて夢にも思っていなかった。
「いいから脱がせて!!」
「露出狂か?」
「む、えっち」
「ねえ!人が来る前に早く!!!」
 自分で脱ごうとしてみたものの慣れないものを着込んでいるせいか上手く脱げない。コスプレの完成度が低い事もあって日華だけではサムスから日華に戻れなかった。
「それ脱げねえよ?」
「・・・は?」
「だってせっかく着させたのに簡単に脱がれたらつまんねーじゃん?だから一日は脱げねえよ?」
 いろはの衝撃の言葉に日華は全力で頭を抱え、本気で一発殴ってもいいのではないかという思考に陥った。故に一発殴った。
「ぶったね!親父にもぶたれたことないのに!!」
「本気で!!!脱がせろ!!!」
「む、ガチで怒ってる。ごめん」
 天然パーマのニュータイプの真似をしても反応がない程に日華の怒りは頂点に達していた。流石にこれには波留も反省して頬を赤く腫らしたいろはと共にアーマーを脱がせにかかる。しかし。
「む、これ脱げねえや」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
「お?うさぎか?」
「もう一回くらいたい?」
「はい。真面目にやります」
 普通の拳だけでなくアーマーに包まれていた日華の拳は思いの外痛かったらしくいろはが大人しく作業に戻る。が、やはり結果は変わらない。一日脱げない様に設定してしまったのだ。脱げない。
「やべ!?もう学校始まるぞ!とりあえず行こうぜ!」
「む!にー待ってて!解除方法探ってみるから!」
 そう言いながら二人は学校へ走る。本気か?本気で言っているのか?
「待って!この状態で置いてくつもり!?」
「何言ってんだ!早くにっちゃんも来いよ!遅刻しちまうぞ!!」
 焦った様にそう口にするいろは。そんないろはを正気ではない存在を見る様な目で見つめる日華。本気か?本気でこの格好で学校に行けと?
「ほら!急ぐぞ!!」
「え!?うわっ!!?」
 呆然と立ち尽くす日華に痺れを切らしたいろはがアーマーを纏った日華をお姫様抱っこで走った。
「セーフ!」
 そして、遅刻前に登校した。
「ふいー。おはよー」
「遅かったですね?どこで道草食べてたんですか・・・どちら様ですか!!?」
 六花が呆れながら、ため息を吐きながら教室に入ってきたいろはと波留に尋ねる。が、その問いは途中で終わる。それより衝撃的な存在がいたからだ。
「六花ぁぁぁぁぁ!!助けてぇぇぇぇ!!」
「その声は、にーさん!?何があったんです!?いえ、何してるんですか!!」
 最後の問いかけは日華にでは無い。日華は確かにおふざけを嬉々として行う性格だが、学校にこんなアーマーを被ってくる程アホじゃない。つまりこれをしでかしたのはただのアホではなく、超ド級のアホの二人であると六花は察したのだ。
「サムスにしたら取れなくなった」
「む、中は暖か。快適に登校ができる活気的な作戦だった」
「「どこが!!?」」
 一応反省しているのかしょぼんとする二人に日華と六花は言葉を失う。反省しているのなら、これ以上の言葉は不要だろう。
「お~。みんなおはよ~。席にお座り~」
 ホームルームを行う為、担任教師とぬらが教室に入ってくる。そして、
「お~?サムスがいるじゃ~ん。いろはちゃ~ん?流石におふざけが過ぎるよ~?」
「私じゃねえよ!!」
「ほぼあんたみたいなもんでしょ!!?ぬら先生ー!!たーーーーすけてーーー!!!」
 サムスになっているのはいろはではないが、考えたのはいろはなのでほぼいろはである。その後頑張って脱がせようとしたが結局日華がサムスから日華に戻る事はなく、仕方がないのでそのまま授業を受ける事となった。可哀想に。きっとクラスでこれからサムスって呼ばれる事になるぞ。考えただけで可哀想。
「超人事!!」
 だって人事だもの。そして、そんなこんなでサムスの一日が過ぎていく。
「お~。それじゃあ音読を日華ちゃんから~」
「先生。前が見辛くて音読出来ません」
「お~」
 あんな事や。
「うおお!にっちゃん凄え!誰もにっちゃんにボール渡そうとしないぞ!あれが幻のシックスメン!?」
「いえ、意味が違いますね」
「こんな状況で体育参加させる普通!?」
 こんな事や。
「ご飯食べれない」
「む、前のフレーム?ミラー?だけ外せばいい」
「それもっと早く教えて!?」
 色々な事があった。
「今日は部活休む」
「へっちゃんとわかっちゃんにも見て貰おうぜ?」
「む、ちーにも」
「絶対嫌!!!」
 それは家に帰ってからも変わらない。
「ただいまー」
「おかえりーって誰!!?強盗!!!??障さーん!!!」
「日華だよぉぉぉぉ!!」
 問題は山積みだった。
「椅子に座りづらくて腰が痛い。暑過ぎるから汗を流したいのにお風呂に入れない。寝るのにもこいつがあるせいで寝苦し過ぎる。トイレだけ排出口があるのが妙に腹立つ」
 このアーマーが脱げたらもう一度二人を殴ろうと決意を決めながら必死に眠りにつき、翌日。
「そろそろか?」
「うん」
 障に車で学校の前まで送って貰いアーマーが脱げるのを待つ。そして、丁度日華がサムスになってから二四時間が経過した。
「緩んだ!!」
 そして、遂にサムスは日華へと舞い戻った。
「ふわぁぁぉぁぁぁぁぁ!!開放感凄っ!!!空気が美味しい!!!私!!自由だぁぁぁぁ!!!」
「ふふ、それは良かった。ほら、早く学校に行かないと遅刻するぞ」
「うん!行ってきま」
 満面の笑みで学校に行こうとした瞬間、ふと日華は止まった。自分の体が汗だくで凄く汗臭かったのだ。
「・・・遅刻してもいいから家戻ろ」
「・・・そうだな。もう一着の制服を用意しておこう」
 こうして、物語は幕を閉じた。
 
「閉じさせるかぁぁぁぁ!!よくも私に恥書かせてくれたなぁぁぁぁぁ!!!」
「ぐはぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「むぎぃやぁぁぁぁ!!!」
 二人は腕だけアーマーを纏った日華の必殺の一撃にノックアウトした。
「みんなは幾ら寒くてもサムスになっちゃうなんて言わない様にね!!!」
「本当にこんな事起こり得ないので別い良いのでは?」
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