いろはにほへと ちりになれ!

藤丸セブン

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七十二限目 笑いを極めしものとなれ

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「「どうもどうもどうもどうもー!!」」
 教室の入り口からいろはと波留が元気よく入ってくる。
「「最初はグー!じゃんけんぽん!!」」
 そして教卓の真ん中に立ってじゃんけんをした。いろはがグー。波留がパーである。
「む!先行!」
「ちくしょう後攻か!」
「「先行後攻でーす。よろしくお願いしまーす」」
 そして丁寧に観客にお辞儀をした。観客とは当然いつものメンバーである。
「・・・で、何ですかこれ?」
 
 <七十二限目 笑いを極めし者となれ>
 
 事の発端は新しく補習部のメンバーとなった与田楊花の自己紹介だった。
「ウチは与田楊花!以後よろしゅう!!」
「蛇塚舳螺だ。このクラスに転校生が来る事は知っていたが、まさか初日に、しかも新入部員として会う事になるとは思わなかったな」
「ふひいぃ!わ、わわわわわわわ吾輩の名はダークネスアビスクイーン。深淵世界を統べるアビスの女王である!!」
 凄く礼儀正しく名を名乗る舳螺とふざけた自己紹介(本人は必死にして真面目)をした和佳羽に楊花は楽しそうに笑う。
「おー!まとも枠と厨二病やね!ええメンバーしとるわぁ補習部!!こりゃ全国制覇間違いなしや!!!」
「あなたこの部活を何だと思ってるのだわ!?」
「お~。目指せ全国制覇~」
「先生方も癖があって絶対飽きへんなぁこの部活!!!」
 第二のツッコミ役の智奈とおっとり天然不思議ちゃんのぬらにも楊花はペコリとお辞儀。それに釣られて二人も頭を下げた。
「それよりよぉ、くっふふふふふ。よっちゃんってば面白ぇんだぜ?ぐっふふ、がっはははははははは!!!なははははははへへほ!!」
「何なのだわ急に?」
「お~。いつも以上に元気だね~」
「それがな、ふふ。がっははほははへははへさ!でぃははははははははははは!!!」
 笑いのをやめて楊花の事を話そうとしたがどうにも思い出し笑いが止まらない。どうやら笑いのドツボにハマったらしい。
「自己紹介の時に一人漫才しながら入ってきたんだよこの子」
「一瞬で『あっち側』だと分かりましたね」
 日華と六花が自己紹介であった事を話すと楊花は照れながら頬をかく。一応恥じらいという感情はあるらしい。
「む、でも死ぬ程滑ってた。いーが笑ったのはよーが全力で滑ってたから」
「そ、そうなんだよ、ふふ、ぎぃやぁはぁははははへはははは!!!」
「あはは。ここまで笑われれば滑った甲斐があるわ!!あの時工藤が笑ってくれんかったらウチは今や悲しきモンスターやで!!!」
 滑った事もいろはのお陰でネタになったのならば楊花に取っては良い思い出となった様だ。それならまあ、良かったね。だがそれより気になった点があった。
「工藤、って誰なのだわ?」
「ん?工藤は工藤やん」
「む、いーの事」
 六花の答えを聞いても智奈は首を傾げる。智奈だけではない。状況の分かっていない一同が首を傾げた。
「ああ、そーいやまだ私の名前言ってなかったな。石森いろはだ。よろしくな」
「ええ!!?石森さんと初めて交流を持ったのではなくて!?」
「何というかまあ、いろはらしいな」
 今更の自己紹介に智奈が驚き舳螺が呆れる。これがいろはクオリティである。
「そうやったんやな!これからも宜しゅうな工藤!!」
「直ってないじゃないですか!!」
「だってそっちに慣れてまったんやもん」
 工藤という苗字には何の関連もないいろはの事をその様に呼び続けるのは如何なものか。というかこれ呼び続けても良いやつ?著作権とかに殺されない?
「お~。イカだけに~」
 今そういうのいいから!
「む、まあ工藤って苗字自体珍しいものじゃないし、いーの事を変に呼ぶ人も初めてじゃない」
「ふひいぃ!我が盟友は流石の能力を持っているな」
 ソシャゲの主人公を呼ぶ様に和佳羽に呼ばれているいろはを考えるとあだ名など些細な事かも知れない。実際いろは、六花、波留もそれぞれの事をあだ名で呼ぶし。ちゃんと名前に絡んだあだ名だが。
「ふひ、くははははははははは!!面白過ぎるぜ!!全力で!!滑りやがって!!!ぶははははへへははははへ!!」
「いつまで笑ってんねん!流石のウチでも恥ずかしくなってきたわ。ええか?お笑いってのは奥深いねんで?そんな簡単に爆笑ネタなんて出来へんねん」
「いーや!私なら出来るね!自身がある!」
「自信、ですよ。しかし相変わらず妙な所で謎の自信を引き出しますねあなたは」
 胸を思い切り叩いて任せろと言わんばかりに胸を張る。そして胸を抑える。痛かったらしい。
「ほな見せて貰おか!!工藤のお笑いを!!」
「いいだろう!やるぞはっちゃん!」
「む!任せるべき!!」
 そして、冒頭に戻る。
 
「私のターン!ボルシャ⚪︎クドリー⚪︎効果でアタック事一枚オープン!これがドラゴンなら私の勝ちだぁぁぁ!」
「む、メンデ⚪︎スゾーン」
「サレンダー!!!」
 いろはと波留のネタを六花は真顔で見る。智奈、舳螺もそうである。やっている元ネタを知っている日華やぬらにはややウケだがデュ⚪︎マを知らない人からしたら何が面白いのか、何をやっているのかすら分からないだろう。ちなみに元ネタを知らない楊花は雰囲気だけで笑っていた。
「「最初はグー!じゃんけんぽん!」」
 二人のネタは小さなネタを少しやってその度に仕切り直してじゃんけんで先行後攻を決めるというルーティンを取っていた。その辺は一応考えられているらしい。
「む!先行!」
「くそ!また後攻か!」
 どちらが勝つかはどうやら決められていない様で負けたいろはが悔しがる。いろはは七割グーを出すのでそれを知っている波留への勝率はかなり低い。
「波留えもーん!テストで百点取れる道具を出しておくれよー!!」
「む、仕方ないなぁ、いろは君は」
 どうやらカードのネタしか無いという訳ではないらしい。良かった。もしカードのネタしか無いのだとすれば六花は何も分からず無駄過ぎる時間を過ごす事になっていた。これが必要な時間とはどうしても思えないが。
「てれれれれれてーん!参考書ー!」
「暗記パ⚪︎出せやぁぁ!!!」
「っ!ふふ」
 不覚。つい笑ってしまった。いや、不覚とは何だ。別に笑えば良いのだ。笑ったらいけない訳では無い。何故か笑ったら負けな気がしていただけだ。まあ笑ってしまった以上は仕方ない。このまま楽しむとしよう。
「「最初はグー!じゃんけんぽん!!」」
「む!先行!!」
「また後攻かよぉぉ!?」
 いろははじゃんけんに勝てないが、何の問題もない。何故ならこのじゃんけんに意味は無いから。
「全然牌が揃わねえ。お!キタコレリーチ!!」
「む、ロン」
「私がリーチしたらロンするのやめろって!!!もうこれで五回目だぞ!!」
「む、そうでもない回もあった」
「そういう時は私にピンズしかこねーの!」
「む、それロン」
「話ついでにロンするなぁ!!」
 いきなり始まっていきなり終わる。そんなショートコントを次々に披露していく。それはそうとこっちがリーチしたらロンしてくるのはマジでやめてほしい。ガチで麻雀面白く無い。
「私怨じゃないですか」
「「最初はぐー!じゃんけんぽん!!」」
「よっしゃあ先行ぅぅぅぅ!!!」
「問題ない。今回は後攻が良かった」
「何だそれずりぃ!!じゃあ私が後攻!!」
「む!先行!!!」
「図ったなぁあぁ!!」
 最早コントを見ている気がしなくなってきた。よく考えなくとも、これはいろはと波留の日常である。特別珍しくも無い。
「む!爆笑ネタを思いついた癖に仕事をしてから忘れて帰ってきた作者がいた!」
「なーーーーにーーー!?やっちまったなぁ!!」
「男は黙って!!」
「即書く!!」
 クビになるって!!
「それより、このお笑いライブいつまでやるんです?」
 その後も、二人が満足するまでコントに付き合った(付き合わされた)。
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