婚約破棄令嬢、不敵に笑いながら敬愛する伯爵の元へ

あめり

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20話 事前準備 その4

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「なあなあ、この服とかどうかな?」

「え、ええ……似合ってると思うわ」

「ホンマ? アイリーンみたいなべっぴんさんに言われると自信になるな~」

「……」


 服選びは順調に進んでおり、タイネーブのミランダの活躍もあり、アイリーンのデート用の服装も決まりつつあった。だからこそ、余計にタイネーブのことが気になってしまうのだ。

 いずれ出会うことは間違いことだったが……まさか、このタイミングで出会うことになるとは。

「タイネーブって、この街に住んでるの?」

「え? ううん、住んでることはないよ。ちょっと伯爵に用事があってな」

「伯爵って、アルガス伯爵?」

「アルガス……? ああ、ゼノン伯爵のことやね。そうやで、その通りやわ」


「……」

 アルガスのフルネームは、アルガス・ゼノンだ。タイネーブはまだ、アルガスに面識があるようではなかった。


「ここの領地を管轄してる伯爵に会うなんて……なんだか、穏やかな話じゃなさそうね」


 アイリーンはゲームを思い出しながら問いかける。彼女がここにいる意味合いは察しているが、敢えて質問をしたのだ。


「うん、そうやね。ゲシュタルト王国の圧政が最近は厳しいみたいでな。その相談に」

「……そうなんだ、なるほどね」

 タイネーブの言葉で、アイリーンもゲームの状況をある程度把握することができた。アルガスとタイネーブが知り合い、仲を進展させるのはこの後の話になる。しかし、既にアイリーンが居る為に二人の仲の進展はないだろう。
 それよりも、彼女がゲシュタルト王国に干渉し始めたことの方が重要だ。いよいよ、王国の衰退が始まろうとしているのだから……。

 勿論、アイリーンは未練などない。自らが、あの王国に居れば死亡してしまうのは確実だからだ。ルートによっては、タイネーブ・カンパニュラに殺されてしまう未来もある。


----------------


「よし、こんなものかな?」

「はい、カーディガンとミニスカートが非常に会っております。これ程のおみ足であれば、あの方も釘付けになるでしょう」

 ミランダは近くにタイネーブが居ることからの配慮か、アルガスの名前を口には出さなかった。アイリーンもそれなりの格好に満足な笑みを浮かべていた。

「へえ~~、似合ってるやん。これから、デートなん?」

「うん、そんなところ」

「頑張ってな。応援してるで」

「ありがと」

 アイリーンはさらに笑顔になり、思わずピースサインをしていた。本来の妻になるはずの女性から、お墨付きをもらったのだから。

 タイネーブのことも大事だが、アルガスとのデートも非常に大事だ。アイリーンは肩の力を抜き、思いっきり楽しむことだけを考えていた。
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