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21話 デート その1

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 急造ではあるが、デート用のアイリーンの服装は完成した。ミニスカートから伸びる生足がポイントだとミランダは熱く語っていた。


「これは驚いた……」

「如何でしょうか? 伯爵?」


 ラードタウンで落ち合ったアイリーンとアルガス伯爵。アルガス伯爵は通常の冒険者のような服装になっている為、二人はただのカップルにしか見えない。


「とても綺麗ですよ。私などとデートをしていただいてもいいんですか?」

「は、はい勿論……アルガス伯爵、よろしくお願いします」

「こちらこそ」


 アルガス伯爵のベタ誉めとも言っていい称賛の言葉。その言葉が決してお世辞の類ではないことは、彼の顔に表れていた。とても自然体での、彼の言動はアイリーンの心の中にも素直に浸透したのだ。


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「へえ~~~、すごいやんアイリーンって……デートの相手もなかなかイケメンやし」

「ええ、そうですね。アイリーン様……さんは凄いんです」

 アイリーンへの配慮から、様を付けての呼び方は避けたミランダ。タイネーブと一緒に、彼らのデートを観察していたのだ。


「でも、どこかで見た顔やけど……」

「男性の方ですか? あの方はアルガス伯爵です。あなたも会おうとしていた方ですよ」

 ここでミランダの凡ミスが出てしまった。それを聞いたタイネーブはとても驚いている。

「ええっ!? あの人がそうなん!? どうりで見たことあるわけやな……へえ、アルガス伯爵か……顔がわかっただけでも収穫やわ」


 凡ミスをしてしまったミランダではあるが、特にタイネーブの態度に変化は感じられない。


「でもアイリーンって凄いんやな。どっかのお金持ちなん? さすがに美人さんだけでは、伯爵級の人には近づけんやろ」

「アイリーンさんは、伯爵の館でメイドとして働いています。そういう意味では近しい方ですね」

「へえ~~、ある意味スキャンダルやな~~。メイドと恋仲になる伯爵……」


 タイネーブは笑いながら、二人を見守っていた。ミランダもアイリーンを観察している。とても楽しそうな彼女の様子に、ミランダも安堵の表情を見せていた。


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 場所はアイリーンとアルガスに移る。彼らは、適当な露天商を見ながら、デートを満喫していた。腕を組んだりといった大胆な行動には出ていないが、周囲からは美男美女のカップルと十分に映っていた。


「アルガス伯爵、どこへ行きましょうか? このままブラブラします?」

「そうですね、それも悪くないですが……あれをやってみませんか?」

「あれって……」


 アルガスが指を指した方向、一つの露店が出ていた。占いの店……アルガスは二人のことを占おうと提案したのだ。

「ええ、もちろん構いません」


 アイリーンとしても、彼のそういった誘いは嬉しい。単純な結果も知りたいが、ゲームの中での占いにも興味はあった。

 どういったことを占ってもらえるのか……アイリーンは緊張しながらも、アルガスと並んで店の前へと足を運んだ。
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