20 / 32
第二章 長すぎた初恋
2-11
しおりを挟む
会社のメンバーは光一と瞳の恋がすぐに終わるかもしれないと危惧していたが、意外にも光一たちは一年、二年、三年……と交際を続けていた。
途中、転勤で光一が四国で働くことになり遠距離恋愛をする羽目になったが、瞳は光一の理想の彼女として、離れた場所からでも、光一のことを想っていた。
光一は、いつか自分たちは結婚するのだろうと感じていた。
だが、思ったより四国での勤務期間が長く、二十八歳から三十一歳になる三年間を四国で過ごすことになった。その間、瞳が早く結婚したいのではないかとうずうずしていたが、「光一くんが戻ってくるまで、待ってるよ」としおらしく言ってくれた。
そして、ようやく四国から福岡へ再び転勤となった日。
瞳の元に帰ってきた光一は、いの一番に「同棲しよう」と伝えたのだ。
瞳は最初、目を丸くして言葉を失っている様子だった。
いつか、「もし結婚するなら、同棲をしてからにしたい」と瞳がはっきりとした意思を伝えたことがあったので、二人にとって、「同棲をする=結婚する」ということに他ならなかった。
「えっと……うん、同棲しよっか」
少しだけ戸惑ったあと、瞳はすん、と頷いてくれた。出会った頃と変わらない、黒髪のロングヘアが美しく、光一は思わず見入ってしまっていた。
だから、瞳が同棲に賛成してくれた時は心底嬉しく、飛び上がりたくなった。
「瞳~今日のご飯はなにー?」
「オムライスだよ。すぐ作るから待ってて」
晴れて、同棲を開始することになった光一と瞳。職場から二駅ほどの場所にある2LDKのマンションを借りた。周りの社員たちからは、「ついに結婚か」と冷やかしを受けた。光一は、「まだだって」と否定しつつも、内心はにひひ、と嬉しくて仕方がなかった。
「オムライスかぁ。好きなんだけど、最近洋食が続き過ぎやない?」
木曜日の夜、仕事が終わった光一と瞳は一緒に自宅へと帰ってきた。
すぐに台所に立つ瞳に、光一は声をかける。
「……そうやっけ?」
「うん。昨日はパスタで、その前はハンバーグでしょ」
「そっか。言われてみれば確かにそうかも。じゃあ、和食にする?」
「おう! 瞳が作ってくれる和食が一番好き」
「……ありがとう」
瞳は小さく肩を揺らし、エプロンをつけて光一の要望を叶えるべく、料理を始める。光一はダイニングテーブルでノートパソコンを立ち上げ、持ち帰りの仕事を済ませていた。
しばらくして、瞳が並べてくれた料理は、白ごはん、サバみりん、白菜ソテー、味噌汁、といった和食だった。光一はペロリと完食したが、瞳は疲れてあまり食べられなかった。
「瞳、めっちゃうまい。やっぱり瞳の作ってくれたご飯は最高やな」
「ありがとう。これからも頑張るね」
瞳が小さく微笑むと、光一は満足してビールをぐびぐびと飲んだ。
瞳も本来ならお酒を飲みたいところだが、疲れ過ぎて飲む気も起きなくなってしまっていた。
こうして二人の同棲生活は半年を迎えた。
光一は、時折瞳に料理や生活スタイルについてリクエストしつつ、瞳が光一の要望に合わせてくれる——そんな日常が続いた。
瞳は、料理のメニュー、掃除の仕方、インテリアの統一感など、同棲を始めてから光一の好みに合わせて頑張っていた。ちょっとばかり思うところがあっても、自分の意見を噛み殺して、光一の意見に合わせた。
瞳は結婚がしたかったのだ。
新卒から三十過ぎまで付き合った光一と。
なぜなら光一は、唯一自分を姉の“葵”ではなく、“瞳”として見てくれる男だったから。
多少の不満は、結婚生活にはつきものだ。
すでに結婚をしている大学時代の友達や、会社の先輩たちだって、ちょくちょく旦那さんや奥さんの愚痴を言っている。
だからちょっとやそっとの不満は、見て見ぬふりをするべきだ。
そう考えていたのだが、瞳はふと、隣ですやすやと眠る光一を眺めながら、自分がやっていることは本当に“正しい”のかと、疑念が生まれた。
友人や先輩たちも、結婚をする前から相手に不満を抱いていたのだろうか。
光一は本当に、私を“瞳”として見てくれているのだろうか。
付き合い始めてから今まで、光一は何かと瞳に自分の理想を押し付けてきた。
髪型も、服装も、仕草も、話し方も、今だって、生活スタイルや料理のこと、全部——。
本当は光一も、自分を一人の人間として尊重してくれていなかったのではないかと、疑念が生じてしまっていた。
一度疑いを覚えると、瞳の中で、みるみるうちに何かが決壊していく気配がした。
朝起きて、光一は瞳が夜中、どんな想いを抱いていたかなんて知るよしもなかった。
いつも通り、「おはよう」と寝ぼけ眼で言うと、瞳がどこか思い詰めたようなまなざしでじっと光一を見つめていた。
「ごめんなさい、光一くん。たぶんもう私たち、無理だと思う」
「え、え……? なんで……?」
朝日のまぶしさに思わず顔をしかめているところではなかった。瞳の口から発せられた信じられない一言を、自分の中で一つずつ噛み砕こうとする。でも、考えれば考えるほど、目の前が真っ暗になっていくような心地がしていた。
「私たち価値観が合わない気がして。これから一緒にいたら、たぶんどんどん苦しくなると思う。だから、ごめんなさい」
何を言われているのか、どうして瞳が頭を下げているのかもわからずに固まっている間に、瞳は押入れから大きなキャリーケースを引き出して、自分の荷物を詰めていった。その様子を、光一は呆然と眺める。
「じゃあね」
たった一言、それだけだった。
来月、三十二歳の瞳の誕生日にはプロポーズだってする予定だったのに。長年待たせてしまったから、盛大なサプライズだって用意していた。自分たちはその時、永遠の愛を誓い、幸せな夫婦になるのだと、信じて疑わなかった。
「俺は……俺はどこで間違ってしまったんだ……」
誰もいなくなった部屋で、ひとりごちる。
だけど、当たり前だが答えをくれる人はもういない。
混乱の最中、光一はこの時初めて、瞳と付き合ってからの我が身を振り返る。
長い間、瞳の優しさに甘えていて気づかなかった。
瞳が「いいよ」と笑うたびに、多大なストレスを抱えてしまっていたことを。
「俺は……馬鹿だな」
初恋の人だった。初恋の人と運命で結ばれて結婚すると信じてやまなかった。
だけど、自分の初恋は数年にわたる交際のうえ、こうして潰えてしまった。
光一は瞳以外の女性を知らない。
だから、瞳を失った光一は、ずっと瞳に囚われて、この先新たな恋なんて到底できやしないと思った。
途中、転勤で光一が四国で働くことになり遠距離恋愛をする羽目になったが、瞳は光一の理想の彼女として、離れた場所からでも、光一のことを想っていた。
光一は、いつか自分たちは結婚するのだろうと感じていた。
だが、思ったより四国での勤務期間が長く、二十八歳から三十一歳になる三年間を四国で過ごすことになった。その間、瞳が早く結婚したいのではないかとうずうずしていたが、「光一くんが戻ってくるまで、待ってるよ」としおらしく言ってくれた。
そして、ようやく四国から福岡へ再び転勤となった日。
瞳の元に帰ってきた光一は、いの一番に「同棲しよう」と伝えたのだ。
瞳は最初、目を丸くして言葉を失っている様子だった。
いつか、「もし結婚するなら、同棲をしてからにしたい」と瞳がはっきりとした意思を伝えたことがあったので、二人にとって、「同棲をする=結婚する」ということに他ならなかった。
「えっと……うん、同棲しよっか」
少しだけ戸惑ったあと、瞳はすん、と頷いてくれた。出会った頃と変わらない、黒髪のロングヘアが美しく、光一は思わず見入ってしまっていた。
だから、瞳が同棲に賛成してくれた時は心底嬉しく、飛び上がりたくなった。
「瞳~今日のご飯はなにー?」
「オムライスだよ。すぐ作るから待ってて」
晴れて、同棲を開始することになった光一と瞳。職場から二駅ほどの場所にある2LDKのマンションを借りた。周りの社員たちからは、「ついに結婚か」と冷やかしを受けた。光一は、「まだだって」と否定しつつも、内心はにひひ、と嬉しくて仕方がなかった。
「オムライスかぁ。好きなんだけど、最近洋食が続き過ぎやない?」
木曜日の夜、仕事が終わった光一と瞳は一緒に自宅へと帰ってきた。
すぐに台所に立つ瞳に、光一は声をかける。
「……そうやっけ?」
「うん。昨日はパスタで、その前はハンバーグでしょ」
「そっか。言われてみれば確かにそうかも。じゃあ、和食にする?」
「おう! 瞳が作ってくれる和食が一番好き」
「……ありがとう」
瞳は小さく肩を揺らし、エプロンをつけて光一の要望を叶えるべく、料理を始める。光一はダイニングテーブルでノートパソコンを立ち上げ、持ち帰りの仕事を済ませていた。
しばらくして、瞳が並べてくれた料理は、白ごはん、サバみりん、白菜ソテー、味噌汁、といった和食だった。光一はペロリと完食したが、瞳は疲れてあまり食べられなかった。
「瞳、めっちゃうまい。やっぱり瞳の作ってくれたご飯は最高やな」
「ありがとう。これからも頑張るね」
瞳が小さく微笑むと、光一は満足してビールをぐびぐびと飲んだ。
瞳も本来ならお酒を飲みたいところだが、疲れ過ぎて飲む気も起きなくなってしまっていた。
こうして二人の同棲生活は半年を迎えた。
光一は、時折瞳に料理や生活スタイルについてリクエストしつつ、瞳が光一の要望に合わせてくれる——そんな日常が続いた。
瞳は、料理のメニュー、掃除の仕方、インテリアの統一感など、同棲を始めてから光一の好みに合わせて頑張っていた。ちょっとばかり思うところがあっても、自分の意見を噛み殺して、光一の意見に合わせた。
瞳は結婚がしたかったのだ。
新卒から三十過ぎまで付き合った光一と。
なぜなら光一は、唯一自分を姉の“葵”ではなく、“瞳”として見てくれる男だったから。
多少の不満は、結婚生活にはつきものだ。
すでに結婚をしている大学時代の友達や、会社の先輩たちだって、ちょくちょく旦那さんや奥さんの愚痴を言っている。
だからちょっとやそっとの不満は、見て見ぬふりをするべきだ。
そう考えていたのだが、瞳はふと、隣ですやすやと眠る光一を眺めながら、自分がやっていることは本当に“正しい”のかと、疑念が生まれた。
友人や先輩たちも、結婚をする前から相手に不満を抱いていたのだろうか。
光一は本当に、私を“瞳”として見てくれているのだろうか。
付き合い始めてから今まで、光一は何かと瞳に自分の理想を押し付けてきた。
髪型も、服装も、仕草も、話し方も、今だって、生活スタイルや料理のこと、全部——。
本当は光一も、自分を一人の人間として尊重してくれていなかったのではないかと、疑念が生じてしまっていた。
一度疑いを覚えると、瞳の中で、みるみるうちに何かが決壊していく気配がした。
朝起きて、光一は瞳が夜中、どんな想いを抱いていたかなんて知るよしもなかった。
いつも通り、「おはよう」と寝ぼけ眼で言うと、瞳がどこか思い詰めたようなまなざしでじっと光一を見つめていた。
「ごめんなさい、光一くん。たぶんもう私たち、無理だと思う」
「え、え……? なんで……?」
朝日のまぶしさに思わず顔をしかめているところではなかった。瞳の口から発せられた信じられない一言を、自分の中で一つずつ噛み砕こうとする。でも、考えれば考えるほど、目の前が真っ暗になっていくような心地がしていた。
「私たち価値観が合わない気がして。これから一緒にいたら、たぶんどんどん苦しくなると思う。だから、ごめんなさい」
何を言われているのか、どうして瞳が頭を下げているのかもわからずに固まっている間に、瞳は押入れから大きなキャリーケースを引き出して、自分の荷物を詰めていった。その様子を、光一は呆然と眺める。
「じゃあね」
たった一言、それだけだった。
来月、三十二歳の瞳の誕生日にはプロポーズだってする予定だったのに。長年待たせてしまったから、盛大なサプライズだって用意していた。自分たちはその時、永遠の愛を誓い、幸せな夫婦になるのだと、信じて疑わなかった。
「俺は……俺はどこで間違ってしまったんだ……」
誰もいなくなった部屋で、ひとりごちる。
だけど、当たり前だが答えをくれる人はもういない。
混乱の最中、光一はこの時初めて、瞳と付き合ってからの我が身を振り返る。
長い間、瞳の優しさに甘えていて気づかなかった。
瞳が「いいよ」と笑うたびに、多大なストレスを抱えてしまっていたことを。
「俺は……馬鹿だな」
初恋の人だった。初恋の人と運命で結ばれて結婚すると信じてやまなかった。
だけど、自分の初恋は数年にわたる交際のうえ、こうして潰えてしまった。
光一は瞳以外の女性を知らない。
だから、瞳を失った光一は、ずっと瞳に囚われて、この先新たな恋なんて到底できやしないと思った。
11
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
兄貴のお嫁さんは異世界のセクシー・エルフ! 巨乳の兄嫁にひと目惚れ!!
オズ研究所《横須賀ストーリー紅白へ》
ファンタジー
夏休み前、友朗は祖父の屋敷の留守を預かっていた。
その屋敷に兄貴と共に兄嫁が現れた。シェリーと言う名の巨乳の美少女エルフだった。
友朗はシェリーにひと目惚れしたが、もちろん兄嫁だ。好きだと告白する事は出来ない。
兄貴とシェリーが仲良くしているのを見ると友朗は嫉妬心が芽生えた。
そして兄貴が事故に遭い、両足を骨折し入院してしまった。
当分の間、友朗はセクシー・エルフのシェリーとふたりっきりで暮らすことになった。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
もっと早く、伝えていれば
嶌田あき
キャラ文芸
記憶から生まれ、1ヶ月で消える運命のあやかし・憶。鎌倉の古い喫茶店「波音堂」で目覚めた彼が最初に出会ったのは、17歳の高校生・夏希だった。
同じ17歳なのに、夏希には18歳の誕生日が来る。憶には来ない。
憶は、大切な人を失った人々を「記憶の渚」へ導き、故人の記憶と対話する手伝いをしている。言えなかった恋の告白、12年越しのさよなら、認知症の夫への思い――4つの「弔い」を通じて、憶は生きること、死ぬこと、記憶することの意味を知っていく。
そして最後、憶は自分の正体を知る。憶は、夏希の母の記憶から生まれたのだと。
「もっと早く、伝えていれば」と後悔する人々に寄り添いながら、憶自身も夏希との限られた時間の中で、大切な気持ちを伝えようとする。
1ヶ月後、憶は静かに光の粒子となって消えていく。でも憶の存在は、夏希の記憶の中で永遠に生き続ける――。
大丈夫のその先は…
水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。
新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。
バレないように、バレないように。
「大丈夫だよ」
すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる