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一週間が過ぎた。リディアは城での生活に慣れ始めていた。
毎朝、騎士たちの訓練を見て、午前中は治療室で患者を診る。午後は図書室で勉強し、夕方にまた治療。そして夜は、辺境伯から魔力制御の訓練を受ける。
「集中しろ。魔力は感情に左右される。冷静さを保て」
辺境伯の指導は厳しかった。訓練場の隅で、リディアは魔力を練習用の石に注ぎ込む練習をしていた。
石が淡く光る。でも、すぐに光は消えてしまう。
「ダメです。うまくコントロールできません」
「焦るな。魔力制御は時間がかかる。お前は十分に上達している」
辺境伯の言葉に、リディアは少し励まされた。確かに、一週間前よりは魔法が安定している。
「もう一度やってみます」
リディアは集中した。呼吸を整え、心を落ち着かせる。手のひらに魔力を集め、石に注ぐ。
今度は、光が持続した。石が温かくなり、ほのかに輝き続ける。
「良い。その調子だ」
辺境伯の声に、わずかな満足が混じっていた。リディアは嬉しくなった。
訓練が終わり、二人は城の庭園を歩いた。月明かりが美しい夜だった。
「リディア」
辺境伯が珍しく先に話しかけてきた。
「はい」
「お前は、なぜ治癒師になろうと思った?」
リディアは少し考えてから答えた。
「最初は、なろうと思ったわけではありませんでした。ただ、誰かを助けたいと思っただけです」
「そうか」
「でも今は、これが私の使命だと思っています。この力は、そのために与えられたのだと」
辺境伯は黙って歩き続けた。やがて、口を開く。
「お前は強いな」
「え?」
「辛い境遇にあっても、他者を思いやる心を失わなかった。それは、本当の強さだ」
リディアは胸が熱くなった。辺境伯に認められた。それが何よりも嬉しかった。
「ありがとうございます」
翌日、大きな試練が訪れた。
魔物討伐から戻った騎士団が、重傷者を連れて帰ってきたのだ。十人以上が重傷、軽傷者は数え切れない。
治療室は戦場と化した。リディアは走り回り、次々と治療にあたる。
「こっちを先に!」
「出血が止まらない!」
騎士たちの叫び声が響く。リディアは必死だった。一人治療すれば、また次の重傷者が運ばれてくる。
手が震える。魔力が枯渇しそうだった。でも、止まるわけにはいかない。
「リディア、休め」
辺境伯の声が聞こえたが、リディアは首を振った。
「まだです。まだ、助けられます」
次の患者は、胸に深い傷を負っていた。致命傷に近い。普通なら助からない。
リディアは両手を傷口に当てた。全ての魔力を注ぎ込む。頼む、助かって。その一心だった。
光が溢れる。これまでにないほど強い光。傷が塞がっていく。骨が繋がっていく。
やがて、騎士は目を開けた。
「俺は……生きているのか……」
「はい、大丈夫です。もう大丈夫です」
リディアは安堵の笑みを浮かべた。その瞬間、視界が歪んだ。
体から力が抜けていく。辺境伯が駆け寄り、倒れそうなリディアを抱き止めた。
「無茶をしすぎだ」
「でも……まだ……」
「もういい。よくやった」
辺境伯に抱えられて、リディアは自分の部屋に運ばれた。ベッドに横たえられ、毛布をかけられる。
「休め。命令だ」
辺境伯の声は厳しかったが、どこか優しかった。リディアは抵抗する気力もなく、眠りに落ちた。
目を覚ましたのは、翌日の昼だった。
体は重かったが、魔力はある程度回復していた。ベッドの傍らには、水とパンが置いてあった。誰が置いていってくれたのだろう。
扉がノックされる。
「入ってもよろしいですか?」
ヴァルターの声だった。
「どうぞ」
ヴァルターが入ってきて、心配そうにリディアを見た。
「お加減はいかがですか?」
「もう大丈夫です。ご心配をおかけしました」
「いえ、リディア様のおかげで、全員が助かりました。重傷者も、今朝には全員意識を取り戻しました」
リディアは安堵した。助かったのだ。良かった。
「騎士たちが、お礼を言いたいと言っています」
「いえ、私は当然のことをしただけです」
「そうは言っても、命の恩人です。皆、感謝しています」
その夜、リディアが食堂に現れると、騎士たち全員が立ち上がって拍手をした。
「リディア様、ありがとうございました!」
一斉に頭を下げられ、リディアは戸惑った。
「い、いえ、私は……」
「お前は英雄だ」
辺境伯が言った。
「昨日、お前は二十人以上の命を救った。それは誇るべきことだ」
騎士たちは再び拍手をする。リディアは涙が溢れそうになった。
認められている。必要とされている。ここには、自分の居場所がある。
その後、リディアの訓練はさらに厳しくなった。
辺境伯は、リディアの限界を見極め、少しずつそれを超えさせようとした。魔力の総量を増やす訓練、制御の精度を上げる訓練、長時間の集中力を保つ訓練。
「お前の才能は、まだ眠っている。引き出せば、さらに強くなれる」
辺境伯の言葉を信じて、リディアは訓練に励んだ。
ある日、訓練中に不思議なことが起きた。
リディアが魔力を練習用の石に注いでいると、突然、石が激しく光り始めたのだ。
「え?何が……」
石が浮き上がり、周囲に光の粒子が舞う。辺境伯も驚いた表情を浮かべた。
「これは……浄化の力か」
辺境伯が呟いた。
「浄化?」
「聖癒魔法の最上位能力だ。傷を癒すだけでなく、呪いや毒を浄化する力」
リディアは驚いた。自分にそんな力が?
「まだ未熟だが、素質はある。この力を磨けば、どんな傷も治せるようになるだろう」
辺境伯の目には、期待の色が浮かんでいた。
それから、リディアの訓練はさらに高度になった。呪いのかかった物を浄化する練習、毒を中和する練習。
最初はうまくいかなかった。呪いは強固で、簡単には浄化できない。でも、諦めずに続けた。
二週間後、リディアは小さな呪いを浄化できるようになった。
「よくやった」
辺境伯は珍しく笑みを浮かべた。その笑顔を見て、リディアは胸が高鳴った。
この人は、いつも冷たいと言われている。でも、こんなに優しい笑顔を浮かべることができる。その笑顔を、もっと見たい。
リディアは、自分の感情に気づき始めていた。辺境伯への尊敬は、いつしか別の感情に変わりつつあった。
ある夜、訓練を終えて城の屋上に上がった。星が綺麗だった。
「夜風は冷たいぞ」
背後から声がした。辺境伯だった。
「はい、でも気持ちいいです」
二人は並んで星を見上げた。静かな時間。心地よい沈黙。
「リディア」
「はい」
「お前は、後悔していないか?」
「何をですか?」
「この辺境に来たことを。王都に戻れば、もっと楽な生活ができるだろう」
リディアは首を振った。
「後悔なんてしていません。ここでの生活は、今まで生きてきた中で一番充実しています」
「そうか」
辺境伯は安堵したように息をついた。
「なら、良い」
リディアは勇気を出して尋ねた。
「辺境伯様は、なぜそんなことを?」
「お前が、いつか去ってしまうのではないかと思った」
「去りません。ここが、私の居場所ですから」
辺境伯はリディアを見つめた。その目には、何か深い感情が宿っていた。
「そうか。なら、これからもよろしく頼む」
「はい、こちらこそ」
二人の距離が、少しだけ縮まった夜だった。
翌日、リディアは新しい挑戦を始めた。
古傷の治療だ。何年も前の傷は、普通の治癒魔法では治せない。でも、浄化の力を使えば、可能かもしれない。
最初の患者は、ヴァルターだった。
「俺の古傷、治せますか?五年前の戦闘で負った傷で、雨の日は痛むんです」
リディアは頷いた。
「やってみます」
ヴァルターの肩に手を当てる。古傷を探る。そこには、まだ残っている負のエネルギー。
浄化の魔法を発動する。光が傷跡を包み、負のエネルギーが消えていく。
「これは……痛みが消えました!」
ヴァルターは驚愕の表情で肩を動かした。
「すごい。本当に治った。ありがとうございます、リディア様!」
この成功は、すぐに城中に広まった。古傷に苦しむ騎士たちが、次々とリディアの元を訪れた。
リディアは一人一人、丁寧に治療していった。皆の笑顔を見るたび、自分の力の意味を実感した。
そして、その噂は城の外へも広がり始めていた。辺境に、奇跡の治癒師がいると。やがて、その噂は王都にまで届くことになる。
しかし、リディアはまだ知らない。自分の力が、新たな波乱を呼び起こすことを。
毎朝、騎士たちの訓練を見て、午前中は治療室で患者を診る。午後は図書室で勉強し、夕方にまた治療。そして夜は、辺境伯から魔力制御の訓練を受ける。
「集中しろ。魔力は感情に左右される。冷静さを保て」
辺境伯の指導は厳しかった。訓練場の隅で、リディアは魔力を練習用の石に注ぎ込む練習をしていた。
石が淡く光る。でも、すぐに光は消えてしまう。
「ダメです。うまくコントロールできません」
「焦るな。魔力制御は時間がかかる。お前は十分に上達している」
辺境伯の言葉に、リディアは少し励まされた。確かに、一週間前よりは魔法が安定している。
「もう一度やってみます」
リディアは集中した。呼吸を整え、心を落ち着かせる。手のひらに魔力を集め、石に注ぐ。
今度は、光が持続した。石が温かくなり、ほのかに輝き続ける。
「良い。その調子だ」
辺境伯の声に、わずかな満足が混じっていた。リディアは嬉しくなった。
訓練が終わり、二人は城の庭園を歩いた。月明かりが美しい夜だった。
「リディア」
辺境伯が珍しく先に話しかけてきた。
「はい」
「お前は、なぜ治癒師になろうと思った?」
リディアは少し考えてから答えた。
「最初は、なろうと思ったわけではありませんでした。ただ、誰かを助けたいと思っただけです」
「そうか」
「でも今は、これが私の使命だと思っています。この力は、そのために与えられたのだと」
辺境伯は黙って歩き続けた。やがて、口を開く。
「お前は強いな」
「え?」
「辛い境遇にあっても、他者を思いやる心を失わなかった。それは、本当の強さだ」
リディアは胸が熱くなった。辺境伯に認められた。それが何よりも嬉しかった。
「ありがとうございます」
翌日、大きな試練が訪れた。
魔物討伐から戻った騎士団が、重傷者を連れて帰ってきたのだ。十人以上が重傷、軽傷者は数え切れない。
治療室は戦場と化した。リディアは走り回り、次々と治療にあたる。
「こっちを先に!」
「出血が止まらない!」
騎士たちの叫び声が響く。リディアは必死だった。一人治療すれば、また次の重傷者が運ばれてくる。
手が震える。魔力が枯渇しそうだった。でも、止まるわけにはいかない。
「リディア、休め」
辺境伯の声が聞こえたが、リディアは首を振った。
「まだです。まだ、助けられます」
次の患者は、胸に深い傷を負っていた。致命傷に近い。普通なら助からない。
リディアは両手を傷口に当てた。全ての魔力を注ぎ込む。頼む、助かって。その一心だった。
光が溢れる。これまでにないほど強い光。傷が塞がっていく。骨が繋がっていく。
やがて、騎士は目を開けた。
「俺は……生きているのか……」
「はい、大丈夫です。もう大丈夫です」
リディアは安堵の笑みを浮かべた。その瞬間、視界が歪んだ。
体から力が抜けていく。辺境伯が駆け寄り、倒れそうなリディアを抱き止めた。
「無茶をしすぎだ」
「でも……まだ……」
「もういい。よくやった」
辺境伯に抱えられて、リディアは自分の部屋に運ばれた。ベッドに横たえられ、毛布をかけられる。
「休め。命令だ」
辺境伯の声は厳しかったが、どこか優しかった。リディアは抵抗する気力もなく、眠りに落ちた。
目を覚ましたのは、翌日の昼だった。
体は重かったが、魔力はある程度回復していた。ベッドの傍らには、水とパンが置いてあった。誰が置いていってくれたのだろう。
扉がノックされる。
「入ってもよろしいですか?」
ヴァルターの声だった。
「どうぞ」
ヴァルターが入ってきて、心配そうにリディアを見た。
「お加減はいかがですか?」
「もう大丈夫です。ご心配をおかけしました」
「いえ、リディア様のおかげで、全員が助かりました。重傷者も、今朝には全員意識を取り戻しました」
リディアは安堵した。助かったのだ。良かった。
「騎士たちが、お礼を言いたいと言っています」
「いえ、私は当然のことをしただけです」
「そうは言っても、命の恩人です。皆、感謝しています」
その夜、リディアが食堂に現れると、騎士たち全員が立ち上がって拍手をした。
「リディア様、ありがとうございました!」
一斉に頭を下げられ、リディアは戸惑った。
「い、いえ、私は……」
「お前は英雄だ」
辺境伯が言った。
「昨日、お前は二十人以上の命を救った。それは誇るべきことだ」
騎士たちは再び拍手をする。リディアは涙が溢れそうになった。
認められている。必要とされている。ここには、自分の居場所がある。
その後、リディアの訓練はさらに厳しくなった。
辺境伯は、リディアの限界を見極め、少しずつそれを超えさせようとした。魔力の総量を増やす訓練、制御の精度を上げる訓練、長時間の集中力を保つ訓練。
「お前の才能は、まだ眠っている。引き出せば、さらに強くなれる」
辺境伯の言葉を信じて、リディアは訓練に励んだ。
ある日、訓練中に不思議なことが起きた。
リディアが魔力を練習用の石に注いでいると、突然、石が激しく光り始めたのだ。
「え?何が……」
石が浮き上がり、周囲に光の粒子が舞う。辺境伯も驚いた表情を浮かべた。
「これは……浄化の力か」
辺境伯が呟いた。
「浄化?」
「聖癒魔法の最上位能力だ。傷を癒すだけでなく、呪いや毒を浄化する力」
リディアは驚いた。自分にそんな力が?
「まだ未熟だが、素質はある。この力を磨けば、どんな傷も治せるようになるだろう」
辺境伯の目には、期待の色が浮かんでいた。
それから、リディアの訓練はさらに高度になった。呪いのかかった物を浄化する練習、毒を中和する練習。
最初はうまくいかなかった。呪いは強固で、簡単には浄化できない。でも、諦めずに続けた。
二週間後、リディアは小さな呪いを浄化できるようになった。
「よくやった」
辺境伯は珍しく笑みを浮かべた。その笑顔を見て、リディアは胸が高鳴った。
この人は、いつも冷たいと言われている。でも、こんなに優しい笑顔を浮かべることができる。その笑顔を、もっと見たい。
リディアは、自分の感情に気づき始めていた。辺境伯への尊敬は、いつしか別の感情に変わりつつあった。
ある夜、訓練を終えて城の屋上に上がった。星が綺麗だった。
「夜風は冷たいぞ」
背後から声がした。辺境伯だった。
「はい、でも気持ちいいです」
二人は並んで星を見上げた。静かな時間。心地よい沈黙。
「リディア」
「はい」
「お前は、後悔していないか?」
「何をですか?」
「この辺境に来たことを。王都に戻れば、もっと楽な生活ができるだろう」
リディアは首を振った。
「後悔なんてしていません。ここでの生活は、今まで生きてきた中で一番充実しています」
「そうか」
辺境伯は安堵したように息をついた。
「なら、良い」
リディアは勇気を出して尋ねた。
「辺境伯様は、なぜそんなことを?」
「お前が、いつか去ってしまうのではないかと思った」
「去りません。ここが、私の居場所ですから」
辺境伯はリディアを見つめた。その目には、何か深い感情が宿っていた。
「そうか。なら、これからもよろしく頼む」
「はい、こちらこそ」
二人の距離が、少しだけ縮まった夜だった。
翌日、リディアは新しい挑戦を始めた。
古傷の治療だ。何年も前の傷は、普通の治癒魔法では治せない。でも、浄化の力を使えば、可能かもしれない。
最初の患者は、ヴァルターだった。
「俺の古傷、治せますか?五年前の戦闘で負った傷で、雨の日は痛むんです」
リディアは頷いた。
「やってみます」
ヴァルターの肩に手を当てる。古傷を探る。そこには、まだ残っている負のエネルギー。
浄化の魔法を発動する。光が傷跡を包み、負のエネルギーが消えていく。
「これは……痛みが消えました!」
ヴァルターは驚愕の表情で肩を動かした。
「すごい。本当に治った。ありがとうございます、リディア様!」
この成功は、すぐに城中に広まった。古傷に苦しむ騎士たちが、次々とリディアの元を訪れた。
リディアは一人一人、丁寧に治療していった。皆の笑顔を見るたび、自分の力の意味を実感した。
そして、その噂は城の外へも広がり始めていた。辺境に、奇跡の治癒師がいると。やがて、その噂は王都にまで届くことになる。
しかし、リディアはまだ知らない。自分の力が、新たな波乱を呼び起こすことを。
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