今さら復縁なんて都合が良すぎです

たくわん

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告白の後も、ニクラスはいつも通り工房に現れた。

帳簿を確認し、仕入れの報告をし、軽口を叩いて帰っていく。何も変わらない。ただ、以前なら自然に触れていた指先が、紙の受け渡しの時にわずかに引かれるようになった。フィーネの方も、目が合う瞬間に一拍遅れて視線を外すようになった。

お互いに気づいている。お互いに触れずにいる。

工房のエルマとヨハナは、何かを察しているようだったが何も言わなかった。大人の分別というものだろう。フィーネはその沈黙に感謝した。


その日の来客は、予告なしだった。

工房の扉を叩いたのは、仕立てのいい外套に身を包んだ若い女性だった。名乗りを聞いて、フィーネは針を落としそうになった。

「王妃付き侍女のクラーラと申します。王妃様よりお言伝がございます」

王妃。この国の頂点に立つ女性。

クラーラは落ち着いた声で伝えた。

「次の宮廷晩餐会のドレスを、メゾン・フローラに依頼したいとのことでございます。つきましては、王宮にてお打ち合わせの機会をいただけないかと」

フィーネは返事をするまでに長い時間がかかった。長いといっても数秒だったが、その間に頭の中を嵐のような思考が駆け抜けた。

王妃のドレスを手がける。それは、この国で最も高い評価を得ることを意味する。成功すれば、メゾン・フローラは揺るぎない地位を手にする。失敗すれば——考えたくなかった。

「謹んでお受けいたします」

声は震えなかった。震えないように、裁断台の縁を掴んでいた。


王宮の回廊は、フィーネがこれまで歩いたどの場所とも違っていた。磨き上げられた大理石の床に、自分の靴音だけが響く。クラーラに案内されて通された小さな応接室は、しかし思ったよりも温かな雰囲気だった。

王妃が入ってきた時、フィーネは深く頭を下げた。顔を上げると、想像とは違う人がそこにいた。威厳はあるが、冷たさがない。知的で穏やかな目をした、四十代半ばの女性。

「そんなに緊張しないで。今日は仕立てのお願いに来た、ただの客よ」

王妃は微笑んで、向かいの椅子を勧めた。

「あなたの作品をいくつも見せてもらったわ。ヘルムシュタット伯爵夫人のドレスは特に見事だった。バルトロメ男爵夫人のものもね」

フィーネの作品を、王妃が実際に見ていた。それだけで手が震えそうになる。

「あなたの服には、着る人への敬意がある」

王妃はまっすぐにフィーネを見て言った。

「技術は他にも優れた仕立て屋がいるでしょう。でも、着る人の本質を見抜いて、それを布で表現できる人は少ない。それが私は好きよ」

フィーネは深く息を吸い、姿勢を正した。

「王妃様は、どのようなお姿でいらっしゃいたいですか」

王妃はわずかに目を開き、それから柔らかく笑った。

「いい質問ね。他の仕立て屋は、まず流行の話をするのよ」


王妃の要望を聞き取る時間は、フィーネにとって深い学びだった。王妃は国の顔である。華やかさも必要だが、それ以上に品格と安定感を求めている。隣国の使節を迎える晩餐会で、この国の文化と誇りを纏いたいのだと語った。

工房に戻ったフィーネは、その夜から新しいデザインに没頭した。


王妃からの依頼の噂は、驚くべき速さで社交界に広がった。

カミラは茶会でその話を聞いて、カップを持つ手が止まった。周囲の婦人たちが興奮気味に語り合っている中、一人だけ顔色を失っていた。あの女がついに王妃にまで取り入ったのか。

ルートヴィヒにも伝わった。書斎で報告を受けた時、彼は長い間黙っていた。

自分が「華がない」と切り捨てた女が、王妃に選ばれている。

あの夜のバルコニーでの自分の言葉が、今になって刃のように返ってくる。華がなかったのではない。自分に、それを見る目がなかったのだ。


工房では、制作が佳境に入っていた。ニクラスは最高級の素材を確保するために各地を回り、フィーネは朝から深夜までデザインと試作を繰り返した。

告白の返事は宙に浮いたままだったが、二人の連携は完璧だった。ニクラスが調達してきた生地を、フィーネが手に取り、光に透かし、頷く。言葉にしなくても伝わるものがある。

ある日の深夜、フィーネは刺繍の手を止めて、ニクラスが差し入れてくれたお茶を飲んだ。もう冷めていた。カップの底に茶葉が沈んでいる。

ニクラスはとっくに帰っていたが、彼が淹れたお茶の味がする。ほんの少し甘い。フィーネの好みを覚えているのだ。

この人となら、隣にいて萎縮しない。

ふと、そう思った。自然に、当たり前のように。

答えが、もうほとんど形になっていた。あとは、声にするだけだった。
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