落ちこぼれ魔女ですが、悪役令嬢の替え玉やってます

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転生王子は道の真ん中で鬱憤を叫ぶ(ユーリ視点)

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    やぁ!ぼくの名はユリウス。金髪碧眼の超絶美少年で、ちなみに王子さ。かっこいいだろう?惚れてもいいよ!……って、そんなこと言ってる場合じゃないんだよね。

    大変なんだよ、とにかく大変な事になったんだって!

    あのさ、じつは僕は転生者なんだ。そんでもってここは乙女ゲームの世界。僕は攻略対象者のひとりで現在ヒロインに攻略されて超ラブラブ真っ最中!……のはずだったんだけど。

    ……なんか最近、そのヒロインが変なんだ。

    いや、ロゼットは可愛いよ。まさに転生前にしてたゲームのヒロインそのままの可愛さなんだよ。……でも、なんかちょっと、さ。

    まぁ、でもまだそれは今はいいかな。なんてったってロゼットはヒロインなんだ。ヒロインはこの世界の中心、誰をどう攻略するかはヒロインの心次第だ。所詮僕は攻略対象者だ。ヒロインに攻略してもらわなければなんの意味もない存在さ。だから僕はロゼットに王子攻略ルートを選んでもらえるように頑張った。

    頑張ったんだけど……。

    父上に色んなことが全部バレてから、本当に大変なんだよ。

    まず、僕の婚約者で悪役令嬢でもあるオフィーリアがトンズラした。
    実はオフィーリアも転生者だったんだけど、僕より遅れて記憶を思い出したオフィーリアは自分の運命を知ってしまい……その運命からにげたのさ。

    それもしょうがないとは思うよ。自分を裏切って浮気した婚約者の恋を成就させるためにわざわざ自分から断罪されようってほど、僕の事を愛してるわけでもないし。でも、もう少しストーリーを進めて欲しかったのが本音かな。

    だって、オフィーリアがトンズラした途端にロゼットの態度が冷たくなったんだもの。

    だから僕は、悪役令嬢の代わりを用意した。

    偶然出会ったとは言え、これもまた運命だろうと思ったのさ。

    ルルーシェラはそれなりに頑張ってくれてたよ。あんなに嫌がってたわりにはヒロインいじめも上手かったしね。

    よくあんな酷いことできるよね。いや、頼んだの僕だけどさ。
    でも、なーんか、変なんだよなぁ。

    いじめが上手すぎるって言うか、こんなに都合よくいくもんなのかなぁって。そりゃ乙女ゲームなんてご都合主義の塊だけどね、それでも実際のゲームには出てきてないはずのルルーシェラがこんなにすんなり悪役令嬢の代わりになれたのがすごいなぁって思ってたんだよね。

    まぁそれでも順調だったのに結局父上にバレて、ルルーシェラが魔女として力に目覚めないといけなくなった。でないと、オフィーリアをなにがなんでも探しだして僕と結婚させるなんて横暴だよ!

    それにさ、なんとなくなんだけど……ルルーシェラが僕以外の攻略対象者と一緒にいるとこを見ると妙にイライラするし。

    ルルーシェラにはあくまでもオフィーリアの代わりにロゼットをいじめて欲しいだけなんだから、他の男を寄せ付ける必要ないと思うんだよね!それに、今は僕の婚約者だし!

    そう!王子の婚約者が他の男と仲良くしてたら外聞が悪いじゃん?!そういうことだよ!

    あー、だからイライラしてたんだな。納得!


    しかし、それにしても最近はルルーシェラ……いや、オフィーリアの噂がなんか変なんだ。

    オフィーリアが他の男と密会してるとか、怪しいことに手を出してるとか……全然授業に顔を出さないでサボってばかりいるのに、いつの間にかロゼットをいじめてるみたいだし……。

    本当は本人に会って直接聞きたいけど、今は魔女の力を目覚めさせるのが優先だからって僕にすら会ってくれないのに、律儀にロゼットをいじめてる場合じゃなくない?

    何を考えているんだよ。ルルーシェラ……。

    君が早く魔女の力を開花させないと、ほんとにオフィーリアと結婚させられちゃうじゃないかぁぁぁぁぁ!!



    そんな事を心の中で叫びながらとぼとぼと歩く僕の背後から誰かがツッコミを入れてきた。

「心の中どころか、口から全部漏れてましてよ?」

「へ?」

    振り替えると、そこには見知った顔。僕はその人物を見てやっと会えたことに嬉しくなったのだがーーーー。

「ルルーシェラ!君、こんなところでなに……を……。ルルーシェラじゃ、ない?」

    そこにいたのは、オフィーリアに化けたルルーシェラではなく……本物のオフィーリアだったのだ。

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