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珍しく塔から出てきたクロード様。その背後にはここ最近ではほとんど見なかった大きな黒いモヤが激しく揺らめいていました。
こ、こんな大きなモヤが現れるなんて……。このモヤがクロード様の感情に左右されてるのだとすれば、今のクロード様は一体どんな感情なのでしょうか?!
「クロード様……!」
「ぎゃあっ!!」
なにやら険しい顔をしたクロード様がウェルド様を睨みながらその手首を捻り上げました。あまりの痛さのせいか私の手首から手を離したウェルド様が顔を歪めています。あ、不穏な音が聞こえ……もしかしなくても折れたのでは?クロード様ったら、やっぱりお怒りなのだわ……。いくら実姉の結婚相手だとはいえ私と婚約するはめになった原因ですものね!でも、それにしたってモヤが大きすぎです。このモヤはラスボス化に繋がる可能性があるのですから、こんなに溢れていてはヤバい感じがします!もう!最近はほとんど出て無かったのになんで今更出てくるんですか~っ?!
「俺の婚約者に何をしているのかと聞いている。今すぐ答えろ……」
「べ、別に何も……!そ、そうだ、オレは義理の兄だぞ……!?これが目上に対する態度なのか……?!」
さらに容赦無く手首を捻り上げたクロード様は「は?義理の兄だと?」とピクリと眉を動かしました。そしてじーっとウェルド様の顔を顰めっ面で睨むように見つめます。その間にもウェルド様の顔色がどんどん悪くなってますが。
「……あぁ、姉上が結婚した男か。ちっ」
そして舌打ちをして手を離しましたが……どうやらウェルド様だとは認識していなかったようですね。あれ?じゃあなんであんなに怒っていたのかしら?今もモヤは出続けていますし、何が原因なのか逆にわからなくなってきましたが、とにかくウェルド様本人に反応しているのは間違い無い様子です。
「あ、あの、クロード様?私にしか見えていないとはいえ、例のモヤが出ています。落ち着いてくだ「……リゼル嬢、ケガはしていないか?」え、あ、はい……そんなには」
とにかくモヤを抑えなくてはと小声でそう言うと、クロード様が真剣な眼差しで聞いてくるので思わず自分の手首を見ます。うーん、少し赤くなっているくらいでキズなどはありませんね。ズキズキと痛みはしますが折れては無いようですし、これくらいなら……。
「だいじょ「重症だな」へ?」
これくらいなら大丈夫。そう言おうと口を開く前に、私の手首を見たクロード様が重々しく口を開きました。重症って?いえ、少し赤くなってるだけで外傷は別に……。
「今すぐ医者を呼ぼう。とにかく塔に戻って応急手当をして……」
「へ?」
そして私はあっという間にクロード様に抱き上げられてしまい、そのまま塔の中に連れ戻されてしまったのでした。ちなみにウェルド様がものすごい形相でこっちを見てますが、私には今の状況の方がパニックなのでウェルド様に構っている余裕はありません!
この3年間、公式のパーティーでのエスコートやダンスなど最低限の触れ合いしかしてくれなかったクロード様からの突然のお姫様抱っこ。
これってなんのご褒美ですか?!
こ、こんな大きなモヤが現れるなんて……。このモヤがクロード様の感情に左右されてるのだとすれば、今のクロード様は一体どんな感情なのでしょうか?!
「クロード様……!」
「ぎゃあっ!!」
なにやら険しい顔をしたクロード様がウェルド様を睨みながらその手首を捻り上げました。あまりの痛さのせいか私の手首から手を離したウェルド様が顔を歪めています。あ、不穏な音が聞こえ……もしかしなくても折れたのでは?クロード様ったら、やっぱりお怒りなのだわ……。いくら実姉の結婚相手だとはいえ私と婚約するはめになった原因ですものね!でも、それにしたってモヤが大きすぎです。このモヤはラスボス化に繋がる可能性があるのですから、こんなに溢れていてはヤバい感じがします!もう!最近はほとんど出て無かったのになんで今更出てくるんですか~っ?!
「俺の婚約者に何をしているのかと聞いている。今すぐ答えろ……」
「べ、別に何も……!そ、そうだ、オレは義理の兄だぞ……!?これが目上に対する態度なのか……?!」
さらに容赦無く手首を捻り上げたクロード様は「は?義理の兄だと?」とピクリと眉を動かしました。そしてじーっとウェルド様の顔を顰めっ面で睨むように見つめます。その間にもウェルド様の顔色がどんどん悪くなってますが。
「……あぁ、姉上が結婚した男か。ちっ」
そして舌打ちをして手を離しましたが……どうやらウェルド様だとは認識していなかったようですね。あれ?じゃあなんであんなに怒っていたのかしら?今もモヤは出続けていますし、何が原因なのか逆にわからなくなってきましたが、とにかくウェルド様本人に反応しているのは間違い無い様子です。
「あ、あの、クロード様?私にしか見えていないとはいえ、例のモヤが出ています。落ち着いてくだ「……リゼル嬢、ケガはしていないか?」え、あ、はい……そんなには」
とにかくモヤを抑えなくてはと小声でそう言うと、クロード様が真剣な眼差しで聞いてくるので思わず自分の手首を見ます。うーん、少し赤くなっているくらいでキズなどはありませんね。ズキズキと痛みはしますが折れては無いようですし、これくらいなら……。
「だいじょ「重症だな」へ?」
これくらいなら大丈夫。そう言おうと口を開く前に、私の手首を見たクロード様が重々しく口を開きました。重症って?いえ、少し赤くなってるだけで外傷は別に……。
「今すぐ医者を呼ぼう。とにかく塔に戻って応急手当をして……」
「へ?」
そして私はあっという間にクロード様に抱き上げられてしまい、そのまま塔の中に連れ戻されてしまったのでした。ちなみにウェルド様がものすごい形相でこっちを見てますが、私には今の状況の方がパニックなのでウェルド様に構っている余裕はありません!
この3年間、公式のパーティーでのエスコートやダンスなど最低限の触れ合いしかしてくれなかったクロード様からの突然のお姫様抱っこ。
これってなんのご褒美ですか?!
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