3 / 19
3 【お嬢様と執事】うちの執事が私を溺愛しているようですが、どうにも度を越している
しおりを挟む
なんと言っても、うちのお嬢様は完璧だと思う。
甘い香りの漂うミルクティーのような艶やかな髪も、蜂蜜色をしたミステリアスな瞳も、熟れた果実のような魅惑の唇も。
どれをとっても美しい。
少し怯えたような甘えた声も、知らない人間には怖くて近づけない警戒心の固まりのようなちょっぴり人見知りな性格も。
とにかく可愛い。可愛すぎる。
え?婚約破棄された?しかも国外追放?
お嬢様の婚約者って、あの阿呆の化身みたいな脳内お花畑……いえ、第2王子でしたよね?
は?第2王子の恋人を虐めた罪?公爵令嬢であるお嬢様があんな胸が大きいだけで気品の欠片もない男爵令嬢をわざわざこっそり虐めたと?
いやいや、それ以前にお嬢様という婚約者がいるのに恋人ってなに考えてるんですか?……あぁ、ノータリンでしたね。
もちろんお嬢様がそんな事などしていないなどわかってます。この極度の人見知りに婚約者の浮気相手をこっそり虐めるなんて高度なテクニックあるはずありません。せいぜい遠くから顔を見るなり泣いて逃げて転けて逃げるくらいしかできませんよ。まぁ、お嬢様は泣き顔も可愛いですがね!
おや、何を拗ねてらっしゃるんですか?そんなに頬を膨らませて……誉めているんですよ?
おっと、旦那様がかなりお怒りになっているようですね。それはそうでしょう。だって私も怒っていますから。ん?まさか、お嬢様にではなくあの阿呆王子にですよ。
あぁ、申し訳ありませんが今夜は少し出かけて来ますので外出許可を頂いてもよろしいですか?
大丈夫です、全て私にお任せ下さい……。
***
翌日、王子は廃摘され国外追放。浮気相手の男爵令嬢は虐めの自作自演を認めて自ら修道院へと入ったそうです。これは噂ですが、ふたりともとても恐ろしいものでも見たかのように怯えていて、逃げるようにこの国から去っていったのだとか。
そして婚約破棄され国外追放されるはずだった私は王家から謝罪され、もちろん婚約は白紙に戻りました。
「お嬢様、お茶をお持ちしました」
「ありがとう。ねぇ……あなた何をしたの?」
「そんなたいしたことなどしていませんよ?本当の事を言わないと死ぬより酷い目に合うと理解していただいただけです。……ただ、お嬢様の憂いを晴らすのは私の役目ですので少々張り切ってしまいました」
にっこりと微笑むその表情からは何も読み取れないが、やっぱりなにかしたようである。
たった一晩で状況を一変させたこの執事の正体だが、実は悪魔だったりする。
幼い頃に偶然魔方陣から呼び出してしまい契約してしまったのだが、いつか私の魂を引き取るまで私の側にいると宣言されているのだ。
なぜかこの悪魔に気に入られてしまいどうやら溺愛されているようなのだが、時々とんでもないことをやらかすのでヒヤヒヤしてしまう毎日を過ごしている。
「困った執事ね」
「お褒めに預かり光栄です」
でもまぁ今回は助けてくれたので感謝しているが……その溺愛ぶりをもう少しおさえてくれないと顔を見るたびに心臓がうるさくなってしまうなぁと、贅沢な悩みを持つはめになったのだった。
甘い香りの漂うミルクティーのような艶やかな髪も、蜂蜜色をしたミステリアスな瞳も、熟れた果実のような魅惑の唇も。
どれをとっても美しい。
少し怯えたような甘えた声も、知らない人間には怖くて近づけない警戒心の固まりのようなちょっぴり人見知りな性格も。
とにかく可愛い。可愛すぎる。
え?婚約破棄された?しかも国外追放?
お嬢様の婚約者って、あの阿呆の化身みたいな脳内お花畑……いえ、第2王子でしたよね?
は?第2王子の恋人を虐めた罪?公爵令嬢であるお嬢様があんな胸が大きいだけで気品の欠片もない男爵令嬢をわざわざこっそり虐めたと?
いやいや、それ以前にお嬢様という婚約者がいるのに恋人ってなに考えてるんですか?……あぁ、ノータリンでしたね。
もちろんお嬢様がそんな事などしていないなどわかってます。この極度の人見知りに婚約者の浮気相手をこっそり虐めるなんて高度なテクニックあるはずありません。せいぜい遠くから顔を見るなり泣いて逃げて転けて逃げるくらいしかできませんよ。まぁ、お嬢様は泣き顔も可愛いですがね!
おや、何を拗ねてらっしゃるんですか?そんなに頬を膨らませて……誉めているんですよ?
おっと、旦那様がかなりお怒りになっているようですね。それはそうでしょう。だって私も怒っていますから。ん?まさか、お嬢様にではなくあの阿呆王子にですよ。
あぁ、申し訳ありませんが今夜は少し出かけて来ますので外出許可を頂いてもよろしいですか?
大丈夫です、全て私にお任せ下さい……。
***
翌日、王子は廃摘され国外追放。浮気相手の男爵令嬢は虐めの自作自演を認めて自ら修道院へと入ったそうです。これは噂ですが、ふたりともとても恐ろしいものでも見たかのように怯えていて、逃げるようにこの国から去っていったのだとか。
そして婚約破棄され国外追放されるはずだった私は王家から謝罪され、もちろん婚約は白紙に戻りました。
「お嬢様、お茶をお持ちしました」
「ありがとう。ねぇ……あなた何をしたの?」
「そんなたいしたことなどしていませんよ?本当の事を言わないと死ぬより酷い目に合うと理解していただいただけです。……ただ、お嬢様の憂いを晴らすのは私の役目ですので少々張り切ってしまいました」
にっこりと微笑むその表情からは何も読み取れないが、やっぱりなにかしたようである。
たった一晩で状況を一変させたこの執事の正体だが、実は悪魔だったりする。
幼い頃に偶然魔方陣から呼び出してしまい契約してしまったのだが、いつか私の魂を引き取るまで私の側にいると宣言されているのだ。
なぜかこの悪魔に気に入られてしまいどうやら溺愛されているようなのだが、時々とんでもないことをやらかすのでヒヤヒヤしてしまう毎日を過ごしている。
「困った執事ね」
「お褒めに預かり光栄です」
でもまぁ今回は助けてくれたので感謝しているが……その溺愛ぶりをもう少しおさえてくれないと顔を見るたびに心臓がうるさくなってしまうなぁと、贅沢な悩みを持つはめになったのだった。
11
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
モブ転生とはこんなもの
詩森さよ(さよ吉)
恋愛
あたしはナナ。貧乏伯爵令嬢で転生者です。
乙女ゲームのプロローグで死んじゃうモブに転生したけど、奇跡的に助かったおかげで現在元気で幸せです。
今ゲームのラスト近くの婚約破棄の現場にいるんだけど、なんだか様子がおかしいの。
いったいどうしたらいいのかしら……。
現在筆者の時間的かつ体力的に感想などを受け付けない設定にしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
他サイトでも公開しています。
ここに聖女はいない
こもろう
恋愛
数百年ぶりに復活した魔王を討伐するために、少数精鋭のパーティーが魔王のいる《冬夜の大陸》へと向かう。
勇者をはじめとするメンバーは皆優秀だが、聖女だけが問題児。
どうしてこんな奴がここにいる?
かなり王道ど真ん中かつ、ゆるゆるファンタジー。
魔法学園の悪役令嬢、破局の未来を知って推し変したら捨てた王子が溺愛に目覚めたようで!?
朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます
恋愛
『完璧な王太子』アトレインの婚約者パメラは、自分が小説の悪役令嬢に転生していると気づく。
このままでは破滅まっしぐら。アトレインとは破局する。でも最推しは別にいる!
それは、悪役教授ネクロセフ。
顔が良くて、知性紳士で、献身的で愛情深い人物だ。
「アトレイン殿下とは円満に別れて、推し活して幸せになります!」
……のはずが。
「夢小説とは何だ?」
「殿下、私の夢小説を読まないでください!」
完璧を演じ続けてきた王太子×悪役を押し付けられた推し活令嬢。
破滅回避から始まる、魔法学園・溺愛・逆転ラブコメディ!
小説家になろうでも同時更新しています(https://ncode.syosetu.com/n5963lh/)。
もう我慢しなくて良いですか? 【連載中】
青緑 ネトロア
恋愛
女神に今代の聖女として選定されたメリシャは二体の神獣を授かる。
親代わりの枢機卿と王都を散策中、初対面の王子によって婚約者に選ばれてしまう。法衣貴族の義娘として学園に通う中、王子と会う事も関わる事もなく、表向き平穏に暮らしていた。
辺境で起きた魔物被害を食い止めたメリシャは人々に聖女として認識されていく。辺境から帰還した後。多くの王侯貴族が参列する夜会で王子から婚約破棄を言い渡されてしまう。長い間、我儘な王子に我慢してきた聖女は何を告げるのか。
———————————
本作品の更新は十日前後で投稿を予定しております。
更新予定の時刻は投稿日の17時に固定とさせていただきます。
誤字・脱字をコメントで教えてくださると、幸いです。
読みにくい箇所は、何話の修正か記載を同時にお願い致しますm(_ _)m
…(2025/03/15)…
※第一部が完結後、一段落しましたら第二部を検討しています。
※第二部は構想段階ですが、後日談のような第一部より短めになる予定です。
※40話にて、近況報告あり。
※52話より、次回話の更新日をお知らせいたします。
捨てられた聖女、自棄になって誘拐されてみたら、なぜか皇太子に溺愛されています
h.h
恋愛
「偽物の聖女であるお前に用はない!」婚約者である王子は、隣に新しい聖女だという女を侍らせてリゼットを睨みつけた。呆然として何も言えず、着の身着のまま放り出されたリゼットは、その夜、謎の男に誘拐される。
自棄なって自ら誘拐犯の青年についていくことを決めたリゼットだったが。連れて行かれたのは、隣国の帝国だった。
しかもなぜか誘拐犯はやけに慕われていて、そのまま皇帝の元へ連れて行かれ━━?
「おかえりなさいませ、皇太子殿下」
「は? 皇太子? 誰が?」
「俺と婚約してほしいんだが」
「はい?」
なぜか皇太子に溺愛されることなったリゼットの運命は……。
魅了魔法に対抗する方法
碧井 汐桜香
恋愛
ある王国の第一王子は、素晴らしい婚約者に恵まれている。彼女は魔法のマッドサイエンティスト……いや、天才だ。
最近流行りの魅了魔法。隣国でも騒ぎになり、心配した婚約者が第一王子に防御魔法をかけたネックレスをプレゼントした。
次々と現れる魅了魔法の使い手。
天才が防御魔法をかけたネックレスは強大な力で……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる