【完結】続・攻略対象者に殺されかけた悪役令嬢は、治癒師の御主人様になる

As-me.com

文字の大きさ
14 / 21

《14》悪役令嬢は求婚される

しおりを挟む
 は ず か し ぬ 。

 今の私の心情を表すなら、もうこれしかない。

 突然お母様付きのメイドたちに拉致された時は驚いたが、まさかお母様へ宛てられたお父様からの手紙の内容が暗号になっていて私の恋路の相談がされていたなんて恥ずかしすぎて顔から煙が出そうになった。

 お父様が、私のルークへの気持ちに気付いていたなんて……!しかも初恋(最推し)で拗らせている事まで丸バレだったなんて……!!

 いつから?どこからバレてたの?!

 慌てふためきパニック状態の私をメイドたちは淡々とした様子でお母様の座る椅子の後ろに押し込んでくる。もうオーバーヒート寸前の私はふかふかのクッションの上に借りてきた猫状態でちょこんと座るしかなかったのだ。

 そしてしばらくするとルークがつれてこられ、先程のお母様との会話となったのである。




 メイドたちにルークの前まで連れてこられたが、ルークの顔をまともに見ることが出来ない。

 ルークが、私のことを?ほんとに?

 夢でも見てるんじゃないかと頬をつねろうとすると、その手をルークの手が優しく包んできた。

「……御主人様、もしかして本当にオレの気持ちに気付いてなかったんだ?」

「ル、ルーク……だって、まさかそんな……」

 その悲しそうな声に思わず顔をあげると、優しく微笑むルークが私を見つめていた。

「好きだよ」

 私も好き。大好きなの。

「ずっと側にいてほしいと思ってる」

 私も、ルークの側にいたい。ずっと一緒にいたいの。

 触れ合っている手が熱を帯びて熱い。これはもしかして、本当に私の気持ちを伝えても大丈夫だと、神様がくれたチャンスなのかもしれない。と思った。

「わ、私……も。私も、ルークの事がーーーー「ちょっとまったぁぁぁーーーーっ!」ひゃん?!」

 なにやらファサッとした衝撃が体に触れた。よく見るとあの猫耳美少年がいつの間にか私に抱きついてきていたのだ。

「エメリアの事ならぼくだって好きだぞ!」

 そう言って「シャーッ!」とルークに威嚇し始める猫耳美少年。その有様はものすごく可愛らしいのだが、ルークに告白しようとしているところを目撃された恥ずかしさで死にそうだ。

「あら、いいところだったのに」

 離れた所から見守ってくれていたお母様が残念そうにしていた。……そういえばお母様やメイドがいたんだったわ。舞い上がってすっかり存在を忘れていた。

「エメリア!ぼくもエメリアが好きだぞ!どうしてもぼくをペットにするのは嫌なのか?!それなら……

ぼくの番になって結婚してくれ!」

 まさかのプロポーズ。つ、つがい?って何?!

「こぉんのクソガキ!御主人様から離れろ!」

「うるさいぞ生意気従者!エメリアはぼくのものだ!」

 猫耳美少年はルークを威嚇しながら私から離れようとしない。困った私はお母様に助けを求めたのだが……お母様も困っていた。

「あら、どうしましょう。ルークくん、その子に危害を加えてはダメよ。国際問題になってしまうわ」

「え?国際問題?」

 するとお母様は肩を竦めた。こんな風に困っているお母様はかなり希少だ。だいたいのことは力技で蹴散らしてしまう人なのに、今だけは公爵夫人の顔をしている。

 そして、ものすごい爆弾発言をしてきたのだ。

「実はその子、獣人の国の皇太子なのよ。獣人は生涯の伴侶を“番”と呼び一生を添い遂げる種族なんだけど……。つまり、エメリアちゃんは公爵令嬢として一国の皇太子から結婚を申し込まれてしまったわ。今のエメリアちゃんは婚約者もいない状態だし、獣人は一度決めたらなかなか諦めないから……大変よ」

ため息をつきつつ「せめてペットにするのを了承しておけばよかったのに」と呟かれたが、いやいや、一国の皇太子をペットにするのは余計にダメなのでは?!

「エメリアの母上。いや、公爵夫人。ぼくは正式にエメリアに結婚を申し込むぞ!獣人は自分の番は自分で決める。それが獣人の決まりだ。獣人の皇帝と、カーウェルド公爵に連絡を頼む」

「……仕方ありませんわね。承知致しました」

 さすがに他国の皇太子に逆らえるはずなく、お母様が(珍しく)ちゃんと対応しているのにも驚いたがなによりも力が抜けて私はその場にヘナヘナと座り込んでしまったのだった。


 ……あれ?結局私の告白はお預けなのでは……?!と気づいたのはもう少し後の事である。

    
しおりを挟む
感想 20

あなたにおすすめの小説

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが

侑子
恋愛
 十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。  しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。 「どうして!? 一体どうしてなの~!?」  いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。

ヒロインしか愛さないはずの公爵様が、なぜか悪女の私を手放さない

魚谷
恋愛
伯爵令嬢イザベラは多くの男性と浮名を流す悪女。 そんな彼女に公爵家当主のジークベルトとの縁談が持ち上がった。 ジークベルトと対面した瞬間、前世の記憶がよみがえり、この世界が乙女ゲームであることを自覚する。 イザベラは、主要攻略キャラのジークベルトの裏の顔を知ってしまったがために、冒頭で殺されてしまうモブキャラ。 ゲーム知識を頼りに、どうにか冒頭死を回避したイザベラは最弱魔法と言われる付与魔法と前世の知識を頼りに便利グッズを発明し、離婚にそなえて資金を確保する。 いよいよジークベルトが、乙女ゲームのヒロインと出会う。 離婚を切り出されることを待っていたイザベラだったが、ジークベルトは平然としていて。 「どうして俺がお前以外の女を愛さなければならないんだ?」 予想外の溺愛が始まってしまう! (世界の平和のためにも)ヒロインに惚れてください、公爵様!!

私を選ばなかったくせに~推しの悪役令嬢になってしまったので、本物以上に悪役らしい振る舞いをして婚約破棄してやりますわ、ザマア~

あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
乙女ゲーム《時の思い出(クロノス・メモリー)》の世界、しかも推しである悪役令嬢ルーシャに転生してしまったクレハ。 「貴方は一度だって私の話に耳を傾けたことがなかった。誤魔化して、逃げて、時より甘い言葉や、贈り物を贈れば満足だと思っていたのでしょう。――どんな時だって、私を選ばなかったくせに」と言って化物になる悪役令嬢ルーシャの未来を変えるため、いちルーシャファンとして、婚約者であり全ての元凶とである第五王子ベルンハルト(放蕩者)に婚約破棄を求めるのだが――?

悪役令嬢だとわかったので身を引こうとしたところ、何故か溺愛されました。

香取鞠里
恋愛
公爵令嬢のマリエッタは、皇太子妃候補として育てられてきた。 皇太子殿下との仲はまずまずだったが、ある日、伝説の女神として現れたサクラに皇太子妃の座を奪われてしまう。 さらには、サクラの陰謀により、マリエッタは反逆罪により国外追放されて、のたれ死んでしまう。 しかし、死んだと思っていたのに、気づけばサクラが現れる二年前の16歳のある日の朝に戻っていた。 それは避けなければと別の行き方を探るが、なぜか殿下に一度目の人生の時以上に溺愛されてしまい……!?

悪役令嬢のはずですが、年上王子が幼い頃から私を甘やかす気でいました

ria_alphapolis
恋愛
私は、悪役令嬢なのかもしれない。 王子の婚約者としては少し我儘で、周囲からは気が強いと思われている―― そんな自分に気づいた日から、私は“断罪される未来”を恐れるようになった。 婚約者である年上の王子は、今日も変わらず優しい。 けれどその優しさが、義務なのか、同情なのか、私にはわからない。 距離を取ろうとする私と、何も言わずに見守る王子。 両思いなのに、想いはすれ違っていく。 けれど彼は知っている。 五歳下の婚約者が「我儘だ」と言われていた幼い頃から、 そのすべてが可愛くて仕方なかったことを。 ――我儘でいい。 そう決めたのは、ずっと昔のことだった。 悪役令嬢だと勘違いしている少女と、 溺愛を隠し続ける年上王子の、すれ違い恋愛ファンタジー。 ※溺愛保証/王子視点あり/幼少期エピソードあり

悪役令嬢に転生したので地味令嬢に変装したら、婚約者が離れてくれないのですが。

槙村まき
恋愛
 スマホ向け乙女ゲーム『時戻りの少女~ささやかな日々をあなたと共に~』の悪役令嬢、リシェリア・オゼリエに転生した主人公は、処刑される未来を変えるために地味に地味で地味な令嬢に変装して生きていくことを決意した。  それなのに学園に入学しても婚約者である王太子ルーカスは付きまとってくるし、ゲームのヒロインからはなぜか「私の代わりにヒロインになって!」とお願いされるし……。  挙句の果てには、ある日隠れていた図書室で、ルーカスに唇を奪われてしまう。  そんな感じで悪役令嬢がヤンデレ気味な王子から逃げようとしながらも、ヒロインと共に攻略対象者たちを助ける? 話になるはず……! 第二章以降は、11時と23時に更新予定です。 他サイトにも掲載しています。 よろしくお願いします。 25.4.25 HOTランキング(女性向け)四位、ありがとうございます!

『処刑されるたびに12歳に戻る悪役令嬢、7回目の人生は「何もせず寝て過ごす」ことに決めたら、なぜか周囲が勝手に勘違いして聖女扱いされています

六角
恋愛
公爵令嬢リリアーナは、18歳の誕生日に必ず断罪・処刑されては12歳に戻るという地獄のループを6回も繰り返していた。 真面目に努力しても、剣を極めても、裏社会を支配しても、結局は殺される運命。 心折れた彼女は、7回目の人生でついに決意する。 「もう頑張らない。どうせ死ぬなら、今回はひたすら寝て過ごそう」と。 しかし、安眠を求めて「うるさい」と敵を黙らせれば『王者の覇気』と恐れられ、寝ぼけて放った魔法は『神の奇跡』と崇められ、枕への異常なこだわりは『深遠なる儀式』と誤解されてしまう。 気がつけば、ストーカー気味のヤンデレ王子、パン屋の元ヒロイン、狂犬の如きライバル令嬢、元部下の暗殺者、そして不眠症の魔王までもが彼女の信者となり、リリアーナは意図せずして国を、そして世界を救う「最強の聖女」へと祭り上げられていく。 「お願いだから、私を寝かせて!」 睡眠欲だけで運命(システム)さえもねじ伏せる、無気力悪役令嬢の痛快勘違いサクセス(?)ストーリー!

処理中です...