【完結】ヒロインはラスボスがお好き

As-me.com

文字の大きさ
25 / 58

だって誉めるとこしかないじゃない?

しおりを挟む
    さて、あれからどうなったかと言うと……。


 まずルーちゃんとお昼ご飯を食べてから、先生方に簡単に事情を説明して謝罪し、「責任とって退学します☆」と言っておいたんだけど先生方に慌てて止められてしまった。
 大事な隣国王子の怒りを買った女生徒なんてさっさと処分してしまった方が学園も安泰だと思ったのだが「それはそれでこの国が荒れてしまうから!」と必死だ。とりあえずこの件は保留になった。
 まぁそのうち色黒王子が怒って色々と言ってくるだろうからそれからのようだ。

 真っ先に会いに行ったルーちゃんは私が無事に帰還したと喜んでくれて、お昼ご飯(ちなみにセバスチャンお手製のお弁当)を食べながら「いざとなったら私が退学すれば平和条例も大丈夫だと思うんだ~」と話していたら急に真顔で席を立ち「急用を思い出しましたので、少し待っていて下さいませ?」といなくなりすぐ戻ってきた。

 きっとお花摘みね。ご飯食べてるときに急にってなることあるもんね。でも私にだってそんなことをわざわざ言わないデリカシーくらいある。
 ルーちゃんがいない間にセバスチャンに頼んで用意してもらったお腹に優しい特製ジュースをそっと差し出す。

「このジュースはゴロゴロならないよ!」

「まぁ、よくわからないけど嬉しいですわ」

 私はやたらとお腹が丈夫なのだが(昔、毒キノコを間違えて食べたけど平気だった)、私の可愛い天使のような弟はお腹の弱い子だった。すぐにゴロゴロなっちゃって冷たいジュースなど飲んだらひと口目から大変だったんだけど、セバスチャンが我が家にやって来た翌日このジュースを作ってくれて恐る恐る飲んだ弟は「美味しい!ゴロゴロならないです!」と喜んで飲み干したのだ。なぜかお腹も前より丈夫になり食べれるものも増えたと両親が喜んでいた。(セバスチャンにこのジュースのレシピを伝授された料理長が「おぉう、まさかこの材料でこんな、まさか」と何度も呟いたとか呟かなかったとか)
 よくわからないけど、お腹に優しい特製ジュースなのだ!

 とにかく2人で楽しくご飯を食べたあと私は先生方に会いに行ったのだが処分は保留にされたので、それをルーちゃんに言いに行くと「あんな筋肉のせいでアイリちゃんが退学になる必要ありませんわ」と笑顔で私の手を握ってくれた。

 それから1週間程たっても色黒王子の方からは何も言ってこなかったのだが、風の噂によると「まさか、すでに大人に」とかなんとかいつもぶつぶつ言って、顔を赤くしたり青くしたりしているらしく他の女生徒たちからもだいぶ気持ち悪がられているようだ。うん、よくわからないが気持ち悪い。

 あの翌日からセバスチャンは私の髪をポニーテールにしたりお団子ヘアにしたりと上にまとめる髪型にするのが多くなった。

 たまにすれ違う上級生がチラチラと私のことを見ては、ほっとしたりガッカリしたりと変な反応をしてくるのだがそれを見たセバスチャンがにっこりと視線を向けると上級生たちはそそくさと立ち去っていった。(それが女生徒の場合「やっぱり絶対そうよーっ」と顔を赤くしながら去っていく)

 もしやセバスチャンが素敵すぎるから狙われているのだろうか?確かにセバスチャンは格好いいし綺麗だし、細身だけど意外とたくましい体つきしてるし、抱きつくとひんやり気持ちいいし、なんかいい匂いがするし、流し目とか唇とかセクシーだし、色っぽいし、肌はスベスベだったし、手つきがなんかこうゾクゾクするし、とにかくいい匂いがするけど!モガッ

「アイリ様、誉めて下さるのは嬉しいのですが、せめて心の中だけにしてください」

 セバスチャンが私の口を手のひらで塞いでいた。しまった、心の声が口から漏れていたようだ。
 私を遠目に見ていた生徒たちが顔を真っ赤にしてこちらを凝視してくる。

「私、何か変なことを言ったかしら?」

 セバスチャンは本当に格好いいのだ。

「否定はしませんが、お口は閉じましょうね?」

 セバスチャンはにーっこりと微笑んで、人差し指を私の唇に当てる。こくこくと私が頷くと、なぜか周りから黄色い声が上がった。
 たぶん誰かがセバスチャンを見て興奮してしまったのだろう。私の執事は世界一素敵だからしょうがないか。



******



「ドレス?」

 いつものようにセバスチャンに3秒で身支度をされながら聞き返す。

「はい、もうすぐ全生徒交流会ダンスパーティーがあるそうなのでご実家に連絡したところ新しいドレスを届けて下さるそうです」

 そうだった、この間思い出したのにまた忘れてたわ。色黒王子のダンスパーティーフラグは木っ端微塵にしたけど、他の攻略対象者たちはまだ残ってたんだった。

 それぞれフラグがらあったはずよね。確か、ドS王子はパーティーまでにどれだけドSに泣かされてドSを満足させるかで決まる。どこかのタイミングで「あなただけが私のすべてを縛り付ける」とかなんとか言う選択肢を選べばドSの奴隷の称号を得てダンスパーティーの相手に選ばれるはずだ(攻略サイト情報より)。
 ちなみにドM王子はこれまたどれだけドMを満足させるかによる。「私の足はあなたを踏みつけるためだけに存在するの」とか言う選択肢でヒールの女王の称号を得るのだ。
 うん、気持ち悪い。

「あれ……?」

「どうかされましたか?」

 身支度も終わり紅茶の準備をしていたセバスチャンが振り向く。

「うーん、何か忘れているような気がするのよ」

 ダンスパーティーイベントで、なんかこう重要な事があったような無かったような……?

「思い出せないなら、さほど重要でもないのでは?」

「……そうよね、そのうち思い出すかもしれないし」

 まぁ、いいか。と、私は美味しい紅茶を飲みながらポジティブに考えることにした。


 そう、すっかり忘れていたのだ。まだ目の前に現れていないもう一人の攻略対象者の存在を。(夢には出てきてたがそのあとの“もしかして事件”の衝撃で欠片も覚えていないのは致し方無いのである)


しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが

侑子
恋愛
 十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。  しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。 「どうして!? 一体どうしてなの~!?」  いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

【完結】私ですか?ただの令嬢です。

凛 伊緒
恋愛
死んで転生したら、大好きな乙女ゲーの世界の悪役令嬢だった!? バッドエンドだらけの悪役令嬢。 しかし、 「悪さをしなければ、最悪な結末は回避出来るのでは!?」 そう考え、ただの令嬢として生きていくことを決意する。 運命を変えたい主人公の、バッドエンド回避の物語! ※完結済です。 ※作者がシステムに不慣れかつ創作初心者な時に書いたものなので、温かく見守っていだければ幸いです……(。_。///) ※ご感想・ご指摘につきましては、近況ボードをお読みくださいませ。 《皆様のご愛読に、心からの感謝を申し上げますm(*_ _)m》

そのご寵愛、理由が分かりません

秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。 幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに—— 「君との婚約はなかったことに」 卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り! え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー! 領地に帰ってスローライフしよう! そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて—— 「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」 ……は??? お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!? 刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり—— 気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。 でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……? 夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー! 理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。 ※毎朝6時、夕方18時更新! ※他のサイトにも掲載しています。

社畜の私は異世界でも社畜精神が残ったままだった

木嶋うめ香
恋愛
貴族学園の小さな部屋で、私は一人書類仕事に追われていた。 今日も寮には帰れそうにない、机の上には大量の未処理の書類。 せめて空腹を紛らわそうと、ビスケットを鞄から取り出し水を汲んでこようとして立ち上がった途端、視界が暗くなり倒れた。 床に倒れた反動で、頭を床にぶつける。 その衝撃で思い出した、私は前世ブラック企業に勤めていた社畜で、二十三連勤サービス残業付きの末、体調を崩し亡くなったアラサー営業職だった。 他サイトでもアップしています。

【完結】ここって天国?いいえBLの世界に転生しました

三園 七詩
恋愛
麻衣子はBL大好きの腐りかけのオタク、ある日道路を渡っていた綺麗な猫が車に引かれそうになっているのを助けるために命を落とした。 助けたその猫はなんと神様で麻衣子を望む異世界へと転生してくれると言う…チートでも溺愛でも悪役令嬢でも望むままに…しかし麻衣子にはどれもピンと来ない…どうせならBLの世界でじっくりと生でそれを拝みたい… 神様はそんな麻衣子の願いを叶えてBLの世界へと転生させてくれた! しかもその世界は生前、麻衣子が買ったばかりのゲームの世界にそっくりだった! 攻略対象の兄と弟を持ち、王子の婚約者のマリーとして生まれ変わった。 ゲームの世界なら王子と兄、弟やヒロイン(男)がイチャイチャするはずなのになんかおかしい… 知らず知らずのうちに攻略対象達を虜にしていくマリーだがこの世界はBLと疑わないマリーはそんな思いは露知らず… 注)BLとありますが、BL展開はほぼありません。

侯爵家の婚約者

やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。 7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。 その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。 カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。 家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。 だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。 17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。 そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。 全86話+番外編の予定

処理中です...