お礼参りさせていただきます。

rinna

文字の大きさ
3 / 7

湯瀬リサコ(ゆぜりさこ)

しおりを挟む
湯瀬リサコは、一人の女子生徒を裏切った。

湯瀬リサコは、クラスで仕切りたがる人だった。
何をするにも、リーダーを気取って、自分の意見を通す。
それが、ウザイと思われていることも知らずに…。

背が馬鹿でかくて、それなのに、可愛い子ぶる。
そして、男の前では、猫なで声で話すのだ。

何て気色の悪い人だ。
吐き気がする。

クラスの皆で、ランチを食べた時も、
『残ってる人が可哀想だから。』
そう言ったのだ。

『何、上から目線で言ってるんだよ。』
千はそう思っていた。

それに、アトラクションが苦手なのにリーダーシップを取りたがり、自分が目立ってないと気が済まないのだ。
アトラクションが苦手だ。と大袈裟に騒ぎ始めたり、ボールがぶつかっただけで、大袈裟に泣いて痛がったりもしていた。

それなのに、
『千、もっと楽しもうよ。』
そう言ったらしい。

どの口が言うんだ。
『最低なヤツだよ。』
『湯瀬リサコってヤツは。』


『大体、体がデカイくせに、大袈裟なんだよ。』
『体デカイんだから、ボールくらいどうってことないだろ。』

それに、こいつは『ヤリマン』だ。
『汚ないヤツ。』

表向きは、皆にいい顔をしているように見えるけど、裏では、人を裏切り、傷つけて、その様子を見て楽しんでいるような最低なヤツなんだ。


でも、そんな最低なヤツに、馬鹿な男達は騙される。

男達も、クラスの人達も、その他の人達も、先生までもだ。

『皆、騙されている。』

ワタクシもすべてを知っている。
千がすべてを話してくれたから。

ある日、千は、友達から傷つくことを言われたらしい。
でも、その時は我慢をしていた。
少しのことなら飲み込もう。
きつい言い方をする友達を受け入れようと努力をしていた。


けれど、何度も何度も傷つくことを言ってきた。

千は、気にしていないように装っていたけれど、内心、笑っていられないほど、辛く、苦しかった。
それが、毎日続くとどう思う?
物凄く、千は、辛かったと思う。


その事を、相談するつもりで、こいつに話をしたらしい。


『友達のこと。』
『傷つくことを言われたこと。』
を話した。
本当に、相談だった…。


相談をして、少しは気が晴れた様子の千だったが、状態は違っていたようだ。

休み明けの学校に行った。
その時、教室のドアが開いていた。
千の姿が見えた瞬間に、それまで、騒いでいた生徒達は、一瞬にして静かになった。
無音の時間……。
その目線の先にいたのは、千だった。


無言のキツイ目線が千を突き刺す。

気のせいではなかったはず。

その瞬間に、千は思ったらしい。
『ッ……。』
『湯瀬リサコが、誰かに話したんだな……。』
と……。

本当なら、これまで以上に、明るく楽しんで過ごそうと思っていたはずなのに。

こいつに相談をしたばかりに、
人生は狂った。


まさか、クラスの全員に、千の相談した内容をバラすなんて、思ってもなかったから。


無言の視線を感じながら、千は、虚ろな目をして、下を向いて、自分の席に着いた。


心が『キュー』って締め付けられるのが分かった。


ホームルームが終わって、生徒達がまた、いつものように騒ぎ始めた。

千は、じっと椅子に座ったまま、机に目を伏せた。
時間が過ぎるのが、ものすごく遅く感じる。

身動きが出来ないくらい、重く、苦しくて、逃げ出したいくらいの空気が千を包み込む。

一限目の授業が始まった。
けれど、千の目には、涙が零れ落ちそうなくらいに溢れていた。

先生の姿が、ぼんやり滲んで見ていた。
零れ落ちた涙を咄嗟に、手で拭う。
でも、溢れんばかりの涙を止めることは出来なかった。
鼻をすする音だけが、響いていた。

千は、涙で腫れて赤くなった瞼を教科書で隠すように顔の位置まで持っていった。

一限目の授業の最後まで、千の鼻をすする音が響いた。


千は、きっと、今にも、逃げ出したい気持ちだったと思う。

一限目が終わった瞬間に、千は、スクールバッグを手に、足早に教室から出た。

その時、ドア付近で、湯瀬リサコに会った。

その時、千は、俯いた顔を上げた。

湯瀬リサコは、こう言った。
「大丈夫?」


何を言ってる……。
元はと言えば、こいつが言いふらすから……。
こいつのせいで……。


「……。」
千は、無言で頷いて、すぐにその場から離れた。

次の日の朝、重い足取りの千は、学校に行くのが辛そうに見えた。

今思えば、そこまでして学校に行かせなくてもよかったのではないか。と悔やむばかりだ。


すべては、湯瀬リサコのせいだ。


コイツのせいで、千は、より一層いじめられることになったのだから。


重い足取りの中、千は、ひとり、学校にいた。
教室でも、誰も声をかけたがる人などいない。

完全に、ひとりぼっちであった。

何をするのにも、孤立していた。

そんな様子を見て、楽しんでいたのだろう。
もっと、苦しめばいいのに。と思っていたのだろう。

でも、優等生を装っている湯瀬リサコは、そんな千にも、声をかけていたらしい。


声をかけて、話した内容を、他の人達に、話していたのだろう。


フレネミーがすぎる。

フレネミーとは、「フレンド(友達)とエネミー(敵)を合わせた造語」

友達を装いながら、裏で陥れるようなことをしてくる人のこと。


すり寄ってくるのに、陰では悪口を言ったり、秘密をバラしたり、悪い噂を流すことも。

フレネミーは、あなたが困っているときに「私はあなたの味方だから」と近づいてくることがあります。

それで心を許して愚痴を話してしまったら、運の尽き。

相手にバラしてしまうことがあるのです。
つまり、表向きは応援しているけど、幸せになる邪魔をするのです。


湯瀬リサコは、典型的なフレネミーだ。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

裏切りの代償

中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。 尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。 取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。 自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。

【1分読書】意味が分かると怖いおとぎばなし

響ぴあの
ホラー
【1分読書】 意味が分かるとこわいおとぎ話。 意外な事実や知らなかった裏話。 浦島太郎は神になった。桃太郎の闇。本当に怖いかちかち山。かぐや姫は宇宙人。白雪姫の王子の誤算。舌切りすずめは三角関係の話。早く人間になりたい人魚姫。本当は怖い眠り姫、シンデレラ、さるかに合戦、はなさかじいさん、犬の呪いなどなど面白い雑学と創作短編をお楽しみください。 どこから読んでも大丈夫です。1話完結ショートショート。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。 そこで待っていたのは、最悪の出来事―― けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。 でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

処理中です...