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言術
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俺は転生し、ARPGゲーム「異世界夢想無双SP」の舞台を基にして創られた世界、神威に降り立った。
この世界が本当にゲームと同じであるならば、東西南北に別れた四つの大陸の内の一つ、東大陸が舞台となる。
ゲームでは存在しない他三大陸が、この世界でどうなっているかは分からないが、世界の果てには見えない壁のようなものがあるのだろうか。
それはそうとだ、東大陸は六つの国で構成されている。
・北の国「不死」は魔族が治める国。他国を脅かす悪だ
・北東の国「把虚」は大陸一貧しく不死の支配下にある。全国民が不死の奴隷だ
・北西の国「世無」は急速成長した国だが、不死により実効支配されつつある
・南東の国「蛇迦」は大陸一の魔法文明を持った豊かな国
・南西の国「坐道」は僧侶の国
・南の国「南州」は陸と島に分かれた国。自然豊かでそこそこの文明を持つ
プレイヤーがまず初めに降り立つのは、南州の島「ヂパン」だ。
そして俺も例に漏れず、そのヂパンにいた。
上を見れば真っ青な空。その下は辺り一面に青々とした草原が風にたなびく。
こんな風景を眺めていると、高校生活で荒んだ心が洗われるようだ。しかしだ、服装が学生服のままではファンタジーな雰囲気に浸れない。溶け込めてない。さっさと服を購入して俺はこの世界に浸りたい。
ぐぎゅうぅぅ……。
さて、腹の虫が鳴き始めた。バテる前に村に行って飯を食わねば。金は神が軍資金を空間収納に入れたと言っていたな。のんびりする為に10万ルドは欲しいところだが。
神威では貨幣は大陸共通で、通貨単位はルド。
・小銅貨 1ルド
・銅貨 10ルド
・小銀貨 100ルド
・銀貨 1,000ルド
・小金貨 1万ルド
・金貨 10万ルド
・白金貨 100万ルド
という具合で、平民の年収が300~600万ルドくらいだ。
「空間収納」
俺がそう唱えると、目の前にPC的な透明なウィンドウが浮き上がり、預け入れと引き出しの表示が出た。そして引き出しの表示に触れると、所持アイテム一覧が表示される。
なるほど、これは便利だな。ルドはコインのアイコンか……っておい、たったの10,000ルドかよ。神のくせにケチだな……。一応取り出せるか試してみるか。
指でアイコンに触れると、次はATMのように引き出し金額を入力するウィンドウが開く。
10,000と入力して全額引き出してみた。すると銀貨10枚がふっと目の前に現れ、ゆっくりと下に落ちていく。俺はなるほどと納得して銀貨10枚を掴むと、再度収めることにした。
次は預け入れを押す。すると目の前の空間に黒い穴が開く。
ここに入れるんだな。ぽいっと
銀貨10枚を黒い穴に投げ入れると、ウィンドウにルドのアイコンが出て10,000と表示された。
そして右上の×ボタンを押すとウィンドウは閉じた。
よし、空間収納の使い方は覚えた。次は……そうだ、固有スキル「言術」。これはインテリジェンスソードに聞けと神に言われたな。呼び名が長いからインテ、もしくはISと呼ぶべきだな。インテでいいか。
俺は腰に差した短剣のインテを、鞘ごと抜き取った。
「おいインテ、聞こえるか? 教えて欲しいことがある」
するとインテがブルブルと振動しながらひとりでに鞘から抜け、輝く刀身が顔を見せた。
『あ~眠いのに~。うん? 君だれ?』
「陰正だ。言術とは何だ?」
『は? ……はっはっは、いやいや、いきなりそんなこと言われても……。君さぁもうちょっと人の気持ち考えた方がいいよ。言っとくけど僕、今起きたところだからね? 目覚めていきなり知らない人に無愛想な顔で質問されても、誰も答えたくないでしょ?』
「チッ。使えないなこれ……もういいや。ずっと空間収納に入ってろ」
『おい待て待て! 分かった分かった! 教えるよ! ちょっと落ち着こうよ……はぁ疲れるわぁ……コイツ』
「何だって? ん?」
『何でもないって……ハハッ。よし教えよう。言術というのはね、君の放つ言葉で相手を殺したり、癒したりすることが出来るものなんだ』
「ん、良く分からんな」
『攻撃的な使用方法を例に説明しようか。まず、言術を使う対象に指をさす。それから対象に攻撃的な言葉をぶつけるんだ。そうすれば君の言葉から受ける精神的ダメージが、そのまま肉体的ダメージに変換される』
「俺が口にした言葉にショックを受けたら死ぬってことか?」
『極端に言うとそういうことだよ。逆もまた然りだ。君の言葉で精神的に癒されれば、肉体的にも癒される』
「なるほど。でも、対象が言葉の話せない魔獣なんかは効かないってことか?」
『言語理解「極」と念話「極」があれば、誰とでも会話ができるよ。そして耳を塞ごうともそれは防ぐことが出来ない。君はその二つを持っているかい?』
「ある。ということは、会話をして言い負かせば誰でも倒せるってことか」
『そういうことだ』
「おかしいと思ってたんだ。神威は世界言語が日本語で統一されているはずだから、言語理解なんてスキルは必要ないだろってさ。獣と会話するのに必要だったのか。それに念話を使えば直接頭に言葉を叩き込めるんだな」
『もういいだろ? 僕はまだ眠いからまたにしてくれ……おやすみ陰正』
チン。と音を立ててインテは鞘に収まっていった。
さて、言術が何かも分かったことだし、とりあえずは村に行って飯を食おう。
この世界が本当にゲームと同じであるならば、東西南北に別れた四つの大陸の内の一つ、東大陸が舞台となる。
ゲームでは存在しない他三大陸が、この世界でどうなっているかは分からないが、世界の果てには見えない壁のようなものがあるのだろうか。
それはそうとだ、東大陸は六つの国で構成されている。
・北の国「不死」は魔族が治める国。他国を脅かす悪だ
・北東の国「把虚」は大陸一貧しく不死の支配下にある。全国民が不死の奴隷だ
・北西の国「世無」は急速成長した国だが、不死により実効支配されつつある
・南東の国「蛇迦」は大陸一の魔法文明を持った豊かな国
・南西の国「坐道」は僧侶の国
・南の国「南州」は陸と島に分かれた国。自然豊かでそこそこの文明を持つ
プレイヤーがまず初めに降り立つのは、南州の島「ヂパン」だ。
そして俺も例に漏れず、そのヂパンにいた。
上を見れば真っ青な空。その下は辺り一面に青々とした草原が風にたなびく。
こんな風景を眺めていると、高校生活で荒んだ心が洗われるようだ。しかしだ、服装が学生服のままではファンタジーな雰囲気に浸れない。溶け込めてない。さっさと服を購入して俺はこの世界に浸りたい。
ぐぎゅうぅぅ……。
さて、腹の虫が鳴き始めた。バテる前に村に行って飯を食わねば。金は神が軍資金を空間収納に入れたと言っていたな。のんびりする為に10万ルドは欲しいところだが。
神威では貨幣は大陸共通で、通貨単位はルド。
・小銅貨 1ルド
・銅貨 10ルド
・小銀貨 100ルド
・銀貨 1,000ルド
・小金貨 1万ルド
・金貨 10万ルド
・白金貨 100万ルド
という具合で、平民の年収が300~600万ルドくらいだ。
「空間収納」
俺がそう唱えると、目の前にPC的な透明なウィンドウが浮き上がり、預け入れと引き出しの表示が出た。そして引き出しの表示に触れると、所持アイテム一覧が表示される。
なるほど、これは便利だな。ルドはコインのアイコンか……っておい、たったの10,000ルドかよ。神のくせにケチだな……。一応取り出せるか試してみるか。
指でアイコンに触れると、次はATMのように引き出し金額を入力するウィンドウが開く。
10,000と入力して全額引き出してみた。すると銀貨10枚がふっと目の前に現れ、ゆっくりと下に落ちていく。俺はなるほどと納得して銀貨10枚を掴むと、再度収めることにした。
次は預け入れを押す。すると目の前の空間に黒い穴が開く。
ここに入れるんだな。ぽいっと
銀貨10枚を黒い穴に投げ入れると、ウィンドウにルドのアイコンが出て10,000と表示された。
そして右上の×ボタンを押すとウィンドウは閉じた。
よし、空間収納の使い方は覚えた。次は……そうだ、固有スキル「言術」。これはインテリジェンスソードに聞けと神に言われたな。呼び名が長いからインテ、もしくはISと呼ぶべきだな。インテでいいか。
俺は腰に差した短剣のインテを、鞘ごと抜き取った。
「おいインテ、聞こえるか? 教えて欲しいことがある」
するとインテがブルブルと振動しながらひとりでに鞘から抜け、輝く刀身が顔を見せた。
『あ~眠いのに~。うん? 君だれ?』
「陰正だ。言術とは何だ?」
『は? ……はっはっは、いやいや、いきなりそんなこと言われても……。君さぁもうちょっと人の気持ち考えた方がいいよ。言っとくけど僕、今起きたところだからね? 目覚めていきなり知らない人に無愛想な顔で質問されても、誰も答えたくないでしょ?』
「チッ。使えないなこれ……もういいや。ずっと空間収納に入ってろ」
『おい待て待て! 分かった分かった! 教えるよ! ちょっと落ち着こうよ……はぁ疲れるわぁ……コイツ』
「何だって? ん?」
『何でもないって……ハハッ。よし教えよう。言術というのはね、君の放つ言葉で相手を殺したり、癒したりすることが出来るものなんだ』
「ん、良く分からんな」
『攻撃的な使用方法を例に説明しようか。まず、言術を使う対象に指をさす。それから対象に攻撃的な言葉をぶつけるんだ。そうすれば君の言葉から受ける精神的ダメージが、そのまま肉体的ダメージに変換される』
「俺が口にした言葉にショックを受けたら死ぬってことか?」
『極端に言うとそういうことだよ。逆もまた然りだ。君の言葉で精神的に癒されれば、肉体的にも癒される』
「なるほど。でも、対象が言葉の話せない魔獣なんかは効かないってことか?」
『言語理解「極」と念話「極」があれば、誰とでも会話ができるよ。そして耳を塞ごうともそれは防ぐことが出来ない。君はその二つを持っているかい?』
「ある。ということは、会話をして言い負かせば誰でも倒せるってことか」
『そういうことだ』
「おかしいと思ってたんだ。神威は世界言語が日本語で統一されているはずだから、言語理解なんてスキルは必要ないだろってさ。獣と会話するのに必要だったのか。それに念話を使えば直接頭に言葉を叩き込めるんだな」
『もういいだろ? 僕はまだ眠いからまたにしてくれ……おやすみ陰正』
チン。と音を立ててインテは鞘に収まっていった。
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