21 / 22
第2話 捕われのツインタワー
2-10
しおりを挟む
結菜は支柱にリードをくくりつけると、今度は、腰に手を当てて勇ましく叫ぶ。
「あんたの気持ちはわかるわ!」
「?」
犯人の男は、昴から頭上の結菜に視線を移す。
「私もバレエで悔しい思いをしてきたもん! だから、自分の技法を盗まれたのがホントなら、絶対に悔しいよね! でもっ! あんたも画家なら、絵で見返しなさいよっ!」
バランスをとりながら支柱の上に立つと、結菜は人差し指をビシッと犯人に向けた。
「……予定変更だ。お嬢さん、さっきも言っただろ――その失礼な態度を許すのは、一度きりだってね。くく、まったく、仕方がないな。望みどおり、ツキの前にお前を殺そうか」
男は静かに笑いながら結菜を脅した。
まるでターゲットのツキを上回る憎き相手を見つけたように。
しかし。
「無駄よ!」
男が起爆装置のボタンに指をかけたその時。支柱に立つ結菜は、くくりつけたリードを手につかみ、ターザンのように降下したのだ。
「もう、やるっきゃないわっ!」
犯人をめがけながら結菜は、グランジュッテ、というバレエで大きく跳躍する時に使う技を頭にイメージする。
「きゃああっ――、あ、あっ、あっ、当ったれ~っ!」
結菜が足を前後に開脚したままの体勢で男に突進した。
「ぐはあっ」
男の右手が弾かれる。結菜の前足が、起爆装置を蹴り上げたのだ。
「く……、くそっ!」
「――よっと!」
男がよろけたその隙に、床に降りた結菜が起爆装置を拾いに走る。
だが。
「いい加減にしろ! ふざけるなっ!」
背中に手を回した男が、鬼の形相で結菜に拳銃を向けたのだった。
「!」
(ぬあ~っ、犯人を超怒らせたら、今度は拳銃が出てきちゃったわ~っ!)
床の起爆装置をつかみ損ねた結菜は、恐怖で口をパクパクさせながらつぶやいた。
「フォロワーを増やそうと調子に乗りすぎると、銃撃されちゃう最悪な状況を引き寄せる場合もあるから気をつけてね………………マル」
銃口を向けられ、絶体絶命のピンチに、天に祈るように目を閉じた結菜。
「俺の悪い癖だ。子どもだからって油断した、くく、フハハハハハ! だが、もう終わりにしようか――死ねぇっ!」
男が銃の引き金を引く。
「ゆ、結菜ちゃんっ」
パア――――ンッ!
しかし。
「? ……はっ、昴っ!」
目を開けた結菜は、ぼう然とした。
結菜の前に飛び出した昴が、目の前で倒れているのだ。
「す、昴……、ねえ、ねえっ、ねえっ!」
「結菜ちゃんには、指一本……触れさせ――」
しゃがんだ結菜が声をかけると、昴は虫の息でそう言った。
「ふ、ふ、ふはは……、お前たちが、お前たちが悪いんだっ」
男は怒鳴ったが、発砲に動揺したように拳銃を手から床にボトッと落とす。
(――絶対にっ)
怒りに震えた結菜は、相手に隙を与えないように、とっさに男に突進した。
そして。
「なっ、何だっ」
男がのけぞったその時、
「絶対にっ、許さないっ!」
結菜は床に手をついて、昴の得意なブレイクダンスを真似て、華麗な足払いを見舞った。
「う、……うあっ」
ダア―――――ンッ!
男は結菜の足払いで後頭部から床に倒れる。
「結菜っ、次はわしに任せろ!」
結菜の背後から、口にロープをくわえたバクさんが飛んで来た。
ふたりの攻防の隙に、警備員の解放に向かっていたバクさんが、
「警備員のおっちゃんが縛られてた、ロープやでっ!」
そのロープを結菜に投げるように首を振って渡した。
「ナイス、バクさんっ!」
「……うぅぅ、な、何をするんだぁ」
床で頭を打ち、意識が朦朧とする男の体を、結菜はローブでぐるぐる巻きにする。
「動くなあっ!」
その時、サーバールームの扉が開かれた。
「犯人がいたぞ!」
数十人の制服警菅が、いっせいに中になだれ込んで来る。
ロープで縛られた男は、
「――くっ、くそおおっ」
抵抗して叫び続けたが、やがて、駆け付けた警察官に逮捕され押し黙るのだった。
「あんたの気持ちはわかるわ!」
「?」
犯人の男は、昴から頭上の結菜に視線を移す。
「私もバレエで悔しい思いをしてきたもん! だから、自分の技法を盗まれたのがホントなら、絶対に悔しいよね! でもっ! あんたも画家なら、絵で見返しなさいよっ!」
バランスをとりながら支柱の上に立つと、結菜は人差し指をビシッと犯人に向けた。
「……予定変更だ。お嬢さん、さっきも言っただろ――その失礼な態度を許すのは、一度きりだってね。くく、まったく、仕方がないな。望みどおり、ツキの前にお前を殺そうか」
男は静かに笑いながら結菜を脅した。
まるでターゲットのツキを上回る憎き相手を見つけたように。
しかし。
「無駄よ!」
男が起爆装置のボタンに指をかけたその時。支柱に立つ結菜は、くくりつけたリードを手につかみ、ターザンのように降下したのだ。
「もう、やるっきゃないわっ!」
犯人をめがけながら結菜は、グランジュッテ、というバレエで大きく跳躍する時に使う技を頭にイメージする。
「きゃああっ――、あ、あっ、あっ、当ったれ~っ!」
結菜が足を前後に開脚したままの体勢で男に突進した。
「ぐはあっ」
男の右手が弾かれる。結菜の前足が、起爆装置を蹴り上げたのだ。
「く……、くそっ!」
「――よっと!」
男がよろけたその隙に、床に降りた結菜が起爆装置を拾いに走る。
だが。
「いい加減にしろ! ふざけるなっ!」
背中に手を回した男が、鬼の形相で結菜に拳銃を向けたのだった。
「!」
(ぬあ~っ、犯人を超怒らせたら、今度は拳銃が出てきちゃったわ~っ!)
床の起爆装置をつかみ損ねた結菜は、恐怖で口をパクパクさせながらつぶやいた。
「フォロワーを増やそうと調子に乗りすぎると、銃撃されちゃう最悪な状況を引き寄せる場合もあるから気をつけてね………………マル」
銃口を向けられ、絶体絶命のピンチに、天に祈るように目を閉じた結菜。
「俺の悪い癖だ。子どもだからって油断した、くく、フハハハハハ! だが、もう終わりにしようか――死ねぇっ!」
男が銃の引き金を引く。
「ゆ、結菜ちゃんっ」
パア――――ンッ!
しかし。
「? ……はっ、昴っ!」
目を開けた結菜は、ぼう然とした。
結菜の前に飛び出した昴が、目の前で倒れているのだ。
「す、昴……、ねえ、ねえっ、ねえっ!」
「結菜ちゃんには、指一本……触れさせ――」
しゃがんだ結菜が声をかけると、昴は虫の息でそう言った。
「ふ、ふ、ふはは……、お前たちが、お前たちが悪いんだっ」
男は怒鳴ったが、発砲に動揺したように拳銃を手から床にボトッと落とす。
(――絶対にっ)
怒りに震えた結菜は、相手に隙を与えないように、とっさに男に突進した。
そして。
「なっ、何だっ」
男がのけぞったその時、
「絶対にっ、許さないっ!」
結菜は床に手をついて、昴の得意なブレイクダンスを真似て、華麗な足払いを見舞った。
「う、……うあっ」
ダア―――――ンッ!
男は結菜の足払いで後頭部から床に倒れる。
「結菜っ、次はわしに任せろ!」
結菜の背後から、口にロープをくわえたバクさんが飛んで来た。
ふたりの攻防の隙に、警備員の解放に向かっていたバクさんが、
「警備員のおっちゃんが縛られてた、ロープやでっ!」
そのロープを結菜に投げるように首を振って渡した。
「ナイス、バクさんっ!」
「……うぅぅ、な、何をするんだぁ」
床で頭を打ち、意識が朦朧とする男の体を、結菜はローブでぐるぐる巻きにする。
「動くなあっ!」
その時、サーバールームの扉が開かれた。
「犯人がいたぞ!」
数十人の制服警菅が、いっせいに中になだれ込んで来る。
ロープで縛られた男は、
「――くっ、くそおおっ」
抵抗して叫び続けたが、やがて、駆け付けた警察官に逮捕され押し黙るのだった。
0
あなたにおすすめの小説
【3章】GREATEST BOONS ~幼なじみのほのぼのバディがクリエイトスキルで異世界に偉大なる恩恵をもたらします!~
丹斗大巴
児童書・童話
幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。
異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)とアイテムを生みだした! 彼らのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅するほのぼの異世界珍道中。
便利な「しおり」機能を使って読み進めることをお勧めします。さらに「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です! レーティング指定の描写はありませんが、万が一気になる方は、目次※マークをさけてご覧ください。
『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
毒親の父が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い、残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。
その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。
最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。
連載時、HOT 1位ありがとうございました!
その他、多数投稿しています。
こちらもよろしくお願いします!
https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394
【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。
しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。
そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。
そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。
独占欲強めの最強な不良さん、溺愛は盲目なほど。
猫菜こん
児童書・童話
小さな頃から、巻き込まれで絡まれ体質の私。
中学生になって、もう巻き込まれないようにひっそり暮らそう!
そう意気込んでいたのに……。
「可愛すぎる。もっと抱きしめさせてくれ。」
私、最強の不良さんに見初められちゃったみたいです。
巻き込まれ体質の不憫な中学生
ふわふわしているけど、しっかりした芯の持ち主
咲城和凜(さきしろかりん)
×
圧倒的な力とセンスを持つ、負け知らずの最強不良
和凜以外に容赦がない
天狼絆那(てんろうきずな)
些細な事だったのに、どうしてか私にくっつくイケメンさん。
彼曰く、私に一目惚れしたらしく……?
「おい、俺の和凜に何しやがる。」
「お前が無事なら、もうそれでいい……っ。」
「この世に存在している言葉だけじゃ表せないくらい、愛している。」
王道で溺愛、甘すぎる恋物語。
最強不良さんの溺愛は、独占的で盲目的。
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
大人で子供な師匠のことを、つい甘やかす僕がいる。
takemot
児童書・童話
薬草を採りに入った森で、魔獣に襲われた僕。そんな僕を助けてくれたのは、一人の女性。胸のあたりまである長い白銀色の髪。ルビーのように綺麗な赤い瞳。身にまとうのは、真っ黒なローブ。彼女は、僕にいきなりこう尋ねました。
「シチュー作れる?」
…………へ?
彼女の正体は、『森の魔女』。
誰もが崇拝したくなるような魔女。とんでもない力を持っている魔女。魔獣がわんさか生息する森を牛耳っている魔女。
そんな噂を聞いて、目を輝かせていた時代が僕にもありました。
どういうわけか、僕は彼女の弟子になったのですが……。
「うう。早くして。お腹がすいて死にそうなんだよ」
「あ、さっきよりミルク多めで!」
「今日はダラダラするって決めてたから!」
はあ……。師匠、もっとしっかりしてくださいよ。
子供っぽい師匠。そんな師匠に、今日も僕は振り回されっぱなし。
でも時折、大人っぽい師匠がそこにいて……。
師匠と弟子がおりなす不思議な物語。師匠が子供っぽい理由とは。そして、大人っぽい師匠の壮絶な過去とは。
表紙のイラストは大崎あむさん(https://twitter.com/oosakiamu)からいただきました。
だからウサギは恋をした
東 里胡
児童書・童話
第2回きずな児童書大賞奨励賞受賞
鈴城学園中等部生徒会書記となった一年生の卯依(うい)は、元気印のツインテールが特徴の通称「うさぎちゃん」
入学式の日、生徒会長・相原 愁(あいはら しゅう)に恋をしてから毎日のように「好きです」とアタックしている彼女は「会長大好きうさぎちゃん」として全校生徒に認識されていた。
困惑し塩対応をする会長だったが、うさぎの悲しい過去を知る。
自分の過去と向き合うことになったうさぎを会長が後押ししてくれるが、こんがらがった恋模様が二人を遠ざけて――。
※これは純度100パーセントなラブコメであり、決してふざけてはおりません!(多分)
運よく生まれ変われたので、今度は思いっきり身体を動かします!
克全
児童書・童話
「第1回きずな児童書大賞」重度の心臓病のため、生まれてからずっと病院のベッドから動けなかった少年が12歳で亡くなりました。両親と両祖父母は毎日のように妾(氏神)に奇跡を願いましたが、叶えてあげられませんでした。神々の定めで、現世では奇跡を起こせなかったのです。ですが、記憶を残したまま転生させる事はできました。ほんの少しだけですが、運動が苦にならない健康な身体と神与スキルをおまけに付けてあげました。(氏神談)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる