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離散・過去
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朝が来た。昨日の事を考えると中々憂鬱な朝だが、
夏休みという長い休みが根拠のない安堵をもたらした。
この家にいる時間が長い期間の中で関係を修復することだって可能だろう、とこの先を楽観的に考えていた。
そんな夢も直ぐに壊れた。
ベッド降り、時間を確認すると6:00。
部活も無い日にしては少々早過ぎる起床だ。
それなのに兄弟で共有している寝室には、
私以外、誰もいなかった。
普段なら昼まで起きてこない妹と
バイトはないと言っていた姉、どちらもいない。
リビングに足を運ぶと母親がソファーにだらける様に
して座っていた。
リビングにもいない、なら女兄弟同士共有の部屋かと
思い向かうもいない。
その上いつもより部屋の物の数が少ない。
散乱していた服が消えている。
その様子を見て気付いたのか、母親が嘲笑うかの様に私が起きる前、早朝の出来事を語った。
最後に母親の口から出た結論に耳を疑った。
「あの二人はねぇ、
私達を置いてあの男の所に行ったよ!」
今思うと、昔の私達は
ちゃんと家族として成り立っていたのだと思う。
休日には半ば強引に車に乗せられ、
色んな場所に連れて行かれた。
行けば楽しいのだが、行くまでが地獄。
重い瞼をこじ開け、仄かに明るい濃藍の空を見つめる
だけであり、小さいながらに寝ていた方が良かったなどと考えていた。
しかし、着いた先の景色や遊具、動物等に
好奇心をくすぐられ、結局いつも楽しんでいたのを覚えている。それは他の家族も例外ではなく、
皆心の底から楽しんでいた。
そんな幸せな日々は
二人が離婚を決意したその日から消え去った。
理由は父の金遣い、その中でも若い女性と密かに
借りていた家にあった。
一ヶ月も経たぬ内に家から父の私物は消え、
場所も分からなくなった。
元から出て行く準備は出来ていたのだろう。
父は収入が多かった。
かなりの額稼いでいたらしく、
その金によって私達は不自由無く暮らしていた。
しかしその金も養育費という名前に変わり、
到底それから得られる金の量では
四人で暮らして行くには足りず、
母は仕事を始めた。
元々料理が好きだった母は次第に
手の込んだ料理をしなくなり、
料理を作らなくなっていった。
そして仕事で溜まったストレスを夜の店にぶつけ始め、
次第に帰って来る時間帯が深夜に変わっていった。
その上機嫌の悪い日には私達兄弟に怒りの矛先を向け、
己が満足するまで文句を言い、暴言を垂れた。
我が家の雰囲気は殺伐としたものに変わり果て、
兄弟間の関係すら悪化した。
結局、この雰囲気のまま時間は流れ続け、
今に至る。
その上でやはり耳を疑った。
元凶とも言える父の家に姉と妹がいると言うのだから。
夏休みという長い休みが根拠のない安堵をもたらした。
この家にいる時間が長い期間の中で関係を修復することだって可能だろう、とこの先を楽観的に考えていた。
そんな夢も直ぐに壊れた。
ベッド降り、時間を確認すると6:00。
部活も無い日にしては少々早過ぎる起床だ。
それなのに兄弟で共有している寝室には、
私以外、誰もいなかった。
普段なら昼まで起きてこない妹と
バイトはないと言っていた姉、どちらもいない。
リビングに足を運ぶと母親がソファーにだらける様に
して座っていた。
リビングにもいない、なら女兄弟同士共有の部屋かと
思い向かうもいない。
その上いつもより部屋の物の数が少ない。
散乱していた服が消えている。
その様子を見て気付いたのか、母親が嘲笑うかの様に私が起きる前、早朝の出来事を語った。
最後に母親の口から出た結論に耳を疑った。
「あの二人はねぇ、
私達を置いてあの男の所に行ったよ!」
今思うと、昔の私達は
ちゃんと家族として成り立っていたのだと思う。
休日には半ば強引に車に乗せられ、
色んな場所に連れて行かれた。
行けば楽しいのだが、行くまでが地獄。
重い瞼をこじ開け、仄かに明るい濃藍の空を見つめる
だけであり、小さいながらに寝ていた方が良かったなどと考えていた。
しかし、着いた先の景色や遊具、動物等に
好奇心をくすぐられ、結局いつも楽しんでいたのを覚えている。それは他の家族も例外ではなく、
皆心の底から楽しんでいた。
そんな幸せな日々は
二人が離婚を決意したその日から消え去った。
理由は父の金遣い、その中でも若い女性と密かに
借りていた家にあった。
一ヶ月も経たぬ内に家から父の私物は消え、
場所も分からなくなった。
元から出て行く準備は出来ていたのだろう。
父は収入が多かった。
かなりの額稼いでいたらしく、
その金によって私達は不自由無く暮らしていた。
しかしその金も養育費という名前に変わり、
到底それから得られる金の量では
四人で暮らして行くには足りず、
母は仕事を始めた。
元々料理が好きだった母は次第に
手の込んだ料理をしなくなり、
料理を作らなくなっていった。
そして仕事で溜まったストレスを夜の店にぶつけ始め、
次第に帰って来る時間帯が深夜に変わっていった。
その上機嫌の悪い日には私達兄弟に怒りの矛先を向け、
己が満足するまで文句を言い、暴言を垂れた。
我が家の雰囲気は殺伐としたものに変わり果て、
兄弟間の関係すら悪化した。
結局、この雰囲気のまま時間は流れ続け、
今に至る。
その上でやはり耳を疑った。
元凶とも言える父の家に姉と妹がいると言うのだから。
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