家族

クラゲEX

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関係性・醜悪

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姉と妹は父の元で暮らしている。
散々聴き直しても、やはり頑なに納得出来ない。
つい最近買って貰ったスマートフォンを徐に取り出し、実際のところどうなのか本人達に尋ねることにした。
こういった時は家族一しっかり者と言われていた姉が適切だろうと、姉にメールを起こした。
案外姉はすぐに返事を寄越した。
出て行って数日のところで、忌まわしい家に未だ住む私の話しを、聞いてくれるかと不安に思っていたが杞憂に終わった。返事はこうだ。「そうだよ、今父の家にいるよ。何故知ってるの?母から聞いたのか?」
あまり覚えてはいないが、端的に略せばこんなものだった。最後の方は口調が強い方向へ変わっていたのは覚えている。私は恐怖した。母はヒステリックに変わりて、姉からは母側に立つ嫌なモノと認定され、自分に居場所が無くなってしまったからだ。ただ傍観していただけの私に何故ここまで酷い仕打ちが待っていたのか、何も行動を起こさずに、ただいつもの平穏(その間に裏では姉妹間での酷い会話が執り行われていたのだが)を享受していたのが悪かったのか。深く考えたが、答えは出ずに終わり、その日は姉への返答も送れずに終わってしまった。
この先のことを考えると胃が痛むどころではない、
ステージ4の末期癌の患者の様に日々、のたうちまわりたくなる様な激痛が続くのだろうと考えてしまう。
それ程に私の状況、私の家族の関係、私の立場が危うい状況だったのだ。しかしその考えとは裏腹に、色々とゴタゴタした事情はあったものの、それなりに静かな日々が約1年半続いた。その間、あまり話し込むことはないにせよ、姉(姉はあまり責めては来なかった)と妹との関係は上手く続いた。しかし、そんな日々はそこから続くことは無くなった。なぜなら父の訃報が私達の耳に入ってきたからだ。

父の葬儀は呆気なく終わった。
ただ肉を焼き、骨を拾い上げ、壺に詰めるだけだった。
久しぶりに姉と妹の顔を見た。身長も伸びて、当時高校生でありながら、低身長だった私の身長を抜かすギリギリまで伸びていたことに意味もなく焦った。
父との付き合いは生きていた頃、殆ど無かった。
まあ死んで後からの付き合いをしてやろうとも思わないが、それ程に父は私に対して無関心であり、その分私も苦手だった。だから父の骨を拾っているというのに何も悲しみの感情は湧き出してこないし、顔に何かが出るということもなく、無表情の能面といった様な顔つきでいたのだろう。その後、葬式が終わった後には皆集まって小さく食事を行った。母、母の兄、父の弟、父の姉(当時妹を一時的に預かっていた)、私、姉、妹、従兄弟。と少しでも家族、いやもっと本質的な関係性の核たる部分に誰かが擦れる様な話を始めれば、暴力沙汰になり得ない一触即発のメンバーで執り行われたため、肝を冷やすと同時に頭まで痛くなる様なとても息が詰まる食事だった。幸いその様なことは起きず平和に終わったが、一緒にいた頃の姉と妹と今の二人は作法以外の全てがとても乖離しているように見えて、苦しかったのを覚えている。その日は朝から猿轡でも着けられたかのように嗚咽だけが漏れ、口は何一つ利けなかったように思う。
私はその日の夜やっと自分の心の核心に触れた。
今まで触れずにいようと思っていた、家族なのだからと、裏切れないと、そう感じて蓋をしていたが、開けられてしまった。なんて醜い家族なのだろう、と思ってしまった。周りに迷惑ばかりかけ厄病神の末裔なのでは、そんなことを自己嫌悪含めて、思い至ってしまった。
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