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ハクチ編
ジゴ
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魔素を吸って、
魔術をうつ余裕さえ無かったので、
普通に首を刈り取った。
生々しい音を、
経験不足からくる不器用さで長引かせる。
息も落ち着きを取り戻し、
首ももげたタイミングで一息、休憩をとった。
冬でも無いのに息が白い。
いや、このとき視界の色は
赤く染まっていたので、
息を吐く度に浮かび出る帯で判断していた。
本当に見たわけではない。
もしかしたら赤かったかもしれない。
身体が冷え切って凍える。
腕と脚は凍えているが、
身体を同じ状態にする訳にはいかない。
そろそろ騒ぎを聞いて、
駆けつける者が現れるだろう。
身体を温めるためにも、離れることにした。
取り敢えず、ハクチの國壁に縋った。
色々と変わった。
村を出て以降の心情を、全て精算出来た気がする。
それに____
「私」に引っ張られることが無くなった。
こうなった以上、
先刻の数分間の闘争に感謝しなければいけない。
身体の冷えは魔術の力が十二分に発揮された。
結果、局所の熱を取り戻せたが、
三本の末端は変わらずのままだった。
いつまで効力が続くのか。
一年?十年?
このままずっと続くのか。
幸い、あの夢で、花の都で得た包帯が、
壊れた腕を誤魔化してくれる。
しかし包帯のあれこれ以外、
夢だったのかと思うほど、
今の頭は霞がかかって何も思い出せない。
起きたばかりは覚えていた筈なのに。
包帯で抑えなければ壊れて割れる。
流石は樹官。一度は殺された相手だ。
しかもその上位、自称だが。
魔術を身体に根付かせるなど
普通は出来ない技ゆえに、
奴に会ってからの、
ずっと目が映す絶望の代名詞。
追って負われて、直面した死の恐怖。
それが逆説的に、
奴の自称上位を上位たらしめる証拠となっていたのだが。
故人を思うのはやめだ。
結局死んだのだ。
ただ勝った。それだけでいい。
急に思考が180°回る位には頭が冷え切っていて、
余韻に浸る余裕が無かった。
ハリスが無差別に“襲っていた”から。
それを“討伐”するのが樹官だから。
理由は分かったから、ここに居る必要は無い。
血濡れた手が壁を這いずる。
こうしなければ上手く歩けない。
「疲れた。
次はどこへ、向かうか。
取り敢えずここを出ないと。」
霞む視界で外を目指した。
魔術をうつ余裕さえ無かったので、
普通に首を刈り取った。
生々しい音を、
経験不足からくる不器用さで長引かせる。
息も落ち着きを取り戻し、
首ももげたタイミングで一息、休憩をとった。
冬でも無いのに息が白い。
いや、このとき視界の色は
赤く染まっていたので、
息を吐く度に浮かび出る帯で判断していた。
本当に見たわけではない。
もしかしたら赤かったかもしれない。
身体が冷え切って凍える。
腕と脚は凍えているが、
身体を同じ状態にする訳にはいかない。
そろそろ騒ぎを聞いて、
駆けつける者が現れるだろう。
身体を温めるためにも、離れることにした。
取り敢えず、ハクチの國壁に縋った。
色々と変わった。
村を出て以降の心情を、全て精算出来た気がする。
それに____
「私」に引っ張られることが無くなった。
こうなった以上、
先刻の数分間の闘争に感謝しなければいけない。
身体の冷えは魔術の力が十二分に発揮された。
結果、局所の熱を取り戻せたが、
三本の末端は変わらずのままだった。
いつまで効力が続くのか。
一年?十年?
このままずっと続くのか。
幸い、あの夢で、花の都で得た包帯が、
壊れた腕を誤魔化してくれる。
しかし包帯のあれこれ以外、
夢だったのかと思うほど、
今の頭は霞がかかって何も思い出せない。
起きたばかりは覚えていた筈なのに。
包帯で抑えなければ壊れて割れる。
流石は樹官。一度は殺された相手だ。
しかもその上位、自称だが。
魔術を身体に根付かせるなど
普通は出来ない技ゆえに、
奴に会ってからの、
ずっと目が映す絶望の代名詞。
追って負われて、直面した死の恐怖。
それが逆説的に、
奴の自称上位を上位たらしめる証拠となっていたのだが。
故人を思うのはやめだ。
結局死んだのだ。
ただ勝った。それだけでいい。
急に思考が180°回る位には頭が冷え切っていて、
余韻に浸る余裕が無かった。
ハリスが無差別に“襲っていた”から。
それを“討伐”するのが樹官だから。
理由は分かったから、ここに居る必要は無い。
血濡れた手が壁を這いずる。
こうしなければ上手く歩けない。
「疲れた。
次はどこへ、向かうか。
取り敢えずここを出ないと。」
霞む視界で外を目指した。
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