婚約破棄された真の聖女は隠しキャラのオッドアイ竜大王の運命の番でした!~ヒロイン様、あなたは王子様とお幸せに!~

卯月八花

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10話 竜の番宣言

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 運命の番。
 ユリカの話によれば、それは早い話が結婚相手であるらしい。

 しかしアルディアノの言葉は硬直した聖堂内に吸い込まれた。
 みなアルディアノの言葉の理解に追いつけていないのだ。

 ――滞りなく行われていたはずの聖女選定の儀式、選定されるはずだった聖女候補の乱心、そして選定の珠が割れたと思ったら黒い美形が現れて、よりにもよって選定の珠に封じられていたのか!? と疑問を差し挟む間もなく瞬殺されたと思ったら竜の番宣言。アルディアノが言うにはユリカではなくティターニアがそうらしい。しかもユリカは竜に術でもかけられているっぽい。

 この怒濤の勢いに付いていけるものはなかなかいない。
 ティターニアにしてもそうだ。
 アルディアノに結婚相手と明言されたわけで、胸の高鳴りを感じる気配は未来的にあるものの、やはりいまいちしっくりこない。

 人間たちの醸し出した固まった空気をうがつように、アルディアノはティターニアの肩を抱いたままもう一度改めて宣言した。

「俺の番はこの娘だぞ!」
「なに言ってるんですかアルディアノ様! あなたの運命の番は私でしょ!?」
「目を覚ませユリカ! お前はこの邪竜に魅了の術をかけらているだけだ! ラルフ! シルヴァ! やれ!」

 固まった空気が動き出した途端、王子は戦闘職たちに竜の撃退を命じた。

 青年将校ラルフと魔法使いシルヴァはそれぞれ武器を構える。

「行け、聖女を守るんだ! こいつは邪竜……倒すべき竜だ!」

 この銀髪のオッドアイの人は竜なのか、竜であったら邪竜なのか。国を滅ぼすために先代聖女の結界の隙を突いて選定の儀式に入り込み、次代聖女を選ばせないことで国を滅ぼすつもりなのか。

 次代聖女たるユリカを魔法で魅了して連れ去ることで聖女をいなくする……そうすることで国の結界をなくならせるつもりで……いや、その場合はティターニアが聖女に……? 選定の珠に選ばれたのはティターニアだが、光の魔法陣は完成しなかった。つまりまだティターニアは聖女として選ばれたわけではない。
 ティターニアとユリカ、まだそのどちらも未聖女・・・、つまりはただの聖女候補でしかない。

 二人の少女が聖女になれそうでなれなくて、でも異世界から来た聖乙女ユリカは聖女の物語を持ち、ティターニアはできればアルディアノとの未来を考えたくて、よく分からないけどユリカは竜に魅了の術を受けたらしく、だが女神の意志には従うのみで、聖女のティターニアと聖女ユリカの……つまりは聖女の……聖女……。

 聖女!

「あっ」

 ティターニアは声を上げ、手をパンと叩いた。
 なんだか凄くこの上ないほどいいことを思いついたのだ。

 この流れに乗れば、ユリカ・・・を聖女に・・・・できる・・・



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