龍使いの姫君~龍帝の寵姫となりまして~

卯月八花

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第1話 水氷、玖雷国を飛び出す

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(さてと……)

 自室である桜花閣を静かに抜け出して、私は廊下に出た。

 今は深夜。
 廊下にはひんやりとした空気はあるが、肌寒さは感じない。何故なら私はしっかりと着込んだ旅装をしているからだ。

 ここは、玖雷国きゅうらいこくの王宮。

 棟と棟が長い渡り廊下で繋がったそこはまるで天界の宮みたいだった。天界なんて絵で見たことがあるだけだけど、きっと実物もこんな感じなんだろうとは思う。

(ふぅ……)

 しばらく足を進めた私は、さすがに小さく息をついた。

 ……気配を殺すのは、やっぱり疲れる。

 疲れることをしようとしているのだから仕方がない。

 見張りの兵の目をかいくぐってこの王宮を脱出しようなんて重労働に違いないもの。

 とりあえず、龍舎に行こう。そこに行けば龍たちが私の味方をしてくれるから……。

「何をしている、水氷すいひょう

「っ!」

 名を呼ばれギクッとして後ろを振り返れば、そこには髪を肩でぱっつりと切りそろえた長身の男が立っていた。整った顔をしているが、妙に冷たい瞳をしている。

 ああ……、いちばん会いたくない人にあってしまった……。

「り、利祥りしょう様」

「――じゃなくて」

 ずいっ、と男――朱利祥しゅりしょうが私に詰め寄ってくる。

「『お兄さま』、だろ?」

「は、はい。すみません……」

 私は胸に手を当て呼吸を整える……ふりをしながら懐に入れた短刀を確認した。
 うん、ちゃんと持ってる。なにかされそうになったらこれで切りつけよう。この人なにしてくるか分からないのよね……。

「おい水氷、なんだその格好は。どこか旅にでも出るつもりなのか?」

「いえ、そんな。あの、やっぱり王宮ってちょっと息が詰まってしまって。外の空気でも吸おうかと思って……」

「俺を誰だと思ってるんだ? 血の繋がった妹の考えることなどお見通しなんだよ」

 兄・利祥は険のある言い方をするが、すぐに鼻にかかった甘い喋り方に戻った。

「どうせ蒼霜国にでも行くつもりだったのだろう? だがな、お前は俺を信じていさえすればそれでいいんだ。お前を傷つけるものは全て俺が取り除いてやるからな」

 そう言って、一歩近づいてくる。

「……っ!」

 思わず後ずさると、兄の顔が歪んだ。

「なぜ逃げる?」

「い、いえ、あの、その……」

 この人の距離感って、近すぎてちょっと怖いのよね。それとも血の繋がった兄妹ってこれくらい親しいのが普通なの? といっても腹違い――父が同じだけで母が違うっていう異母兄なんだけど。
 兄妹ってこの人が初めてだからよく分からない。

「それとも、まさか……」

 兄の顔が険しくなる。

「……龍帝はずいぶんな優男だというしな……。お前は自分から望んで奴の後宮に入るつもりなのか? お前には俺という兄がいるのに!」

 大国である蒼霜そうりん国。そこの後宮に入れと、私は蒼霜国の皇帝から命じられていた。

『龍帝』というのは蒼霜国の皇帝の尊号だ。蒼霜国は龍神への信仰がとても厚い国で、龍神に守護されているという皇帝は特別に代々龍帝という尊号で呼ばれているのである。

 しかも噂によると、現龍帝である秦瑞泉しんずいせんはずいぶんな美丈夫であるということだった。

「ちっ、違います!」

「なら、なぜ俺から逃げようとする?」

「逃げたわけでは……ただ、その……。ちょっと、お兄さまのご厚意が……その、重いかなー、なんて」

「これがお前を思う兄の気持ちだ。――気づいていないわけではあるまい、水氷……」

「うっ」

 兄の圧に、思わず胸が詰まってしまう。
 この人やっぱりおかしいわよね。
 うん。絶対におかしい。

「いいか水氷、お前のことは俺が守る。それが将来この国を背負って立つ男としての使命だ。……それ以上に、俺は兄としてお前を守りたい」

 すっと兄の手が顔の近くに伸びてきた。

 え、殴られる!? と身をすくめた私に、兄は優しく微笑んできたのだ。

「せっかくこんなにも可愛い女の子が妹になったのに、それを龍帝に取られるなんて……。耐えられるわけがないだろ? お前もこの兄の気持ちをどうか分かってくれ……水氷……」

 まるで恋人の髪を撫でるように、私の白い髪をすくう兄。

 ぞぞぞぞ、と背筋が凍る。
 ……あああああああ、キモい!

「やめてくださいっ!」

 キモいったらキモい!!
 なんなのこの人は!

 早くこの気持ち悪い兄から逃げたい!
 その思いだけで兄を突き飛ばし、そのまま走り出す。

「水氷! 待て!!」

 兄が追いかけてくる気配を感じながら、私は必死になって走ったのだった。


  ◆◆◆◆


「はあ、はあっ」

 やっと龍舎までたどり着いた私は、そこで息を整えていた。

 そんな私を、馬ほどの大きさの竜たちが心配そうに見下ろしている。
 翼龍という、前足が翼になっている空の王者たちだ。

 眠りを覚まされたというのに不満そうにしている子は一匹もいない。みんな、私を心配してくれている。
 ……みんな、ほんとにいい子。それが、私には分かるのだ。

水氷すいひょう、大丈夫?』

 普通の人間には聞こえないはずの龍の声が、私には聞こえるから。

『こんな時間にそんなに慌ててどうしたのよ。夜空のお散歩って雰囲気でもないし』

『水氷、まずは落ち着こう? 僕の飲みかけでよければそこに水があるけど、それ飲むかい?』

「大丈夫よ、みんな。ありがとう……。あのね、ちょっとお願いがあるの。聞いてくれる?」

 手早く龍たちに事情を説明しようとしていたのだが、

「姫様!」
「姫様、どうなさいました!?」
「姫様!」

 騒ぎを聞きつけた見張りの兵たちが龍舎に押しかけてきた。

 くそっ、なんて思わず悪態をついてしまう。

 思ったより兵たちの動きが早いわ。
 それだけの騒ぎを起こしてしまったということだけど……。

 しかし、姫様、か。
 一年前に故郷の村から連れてこられてからこっち、姫様、姫様ってみんなに呼ばれてるけど、やっぱり慣れないものは慣れないわね……。

「――水氷! やはりここか!」

「う、お兄さま……!」

 兵を押しのけて入ってきたのは、兄だった。先ほどよりよりいっそう険しい顔をしている。

「水氷、どこにいくつもりだ。まさか本当に龍帝の後宮に入りに行くつもりなのではあるまいな」

「お兄さま……」

「お前のことは俺が守るといっただろう。お前は何も心配しなくていい。ただ俺のそばで微笑んでいればそれでいいのだ、それがお前の役目だ」

「そ、そんなの嫌ですっ!」

 私は胸に手を置いた。――否、そこに忍ばせてある短刀に手を置いた。

「私、したいことがあるんです」

「なんだと?」

蒼霜国そうりんこく代三十二代皇帝、秦瑞泉しんずいせんを……、暗殺してきます!」

 ……そう。別に兄から逃げるためだけに龍帝の後宮に入ろうなんて思ってはいない。

 すべての元凶である龍帝を、この私が暗殺するためだ。

「なっ、なにを……水氷、お前なにをいっているのか自分で分かっているのか?」

「もちろんですお兄さま。私は龍帝を亡き者にします。そのために龍帝の後宮に入ります。いちばん近くから暗殺の機会を伺うのです」

「危険だ、水氷」

「ご安心くださいお兄さま。必ず成し遂げてみせますから。私が龍帝を殺し、すべての鎖を断ち切ってご覧に入れます!」



 ――蒼霜国からの使者が来たのは、六日前のことだった。
 ああ、なんだかずいぶん昔のことのような気がするけれど、まだ六日間しかたっていないのね……。

 蒼霜国からの使者は、『龍使いの姫である成水氷せいすいひょうを蒼霜国の後宮に召し上げる』との命令を携えていた。

 そう、それは命令だった。こちらには一切の拒否権がない、本当の命令だった。

 使者による通達だけではもちろんなかった。蒼霜国の大軍が我が玖雷国に進軍してきたのだ。
 誰もが脅しだと分かるような、あからさまな圧迫だった。

 玖雷国は二分した――。

 龍使いである私を差し出すか、否か。

 互いに主張を譲らず、国はたった六日間の間に内紛寸前にまできてしまった。

 私は、自分のせいで国が内紛になるなんて嫌だった。
 だから自分ができる解決策を行おう、と。そう思ったのだ。
 ……それが、元凶である蒼霜国の龍帝の暗殺である。

 後宮に入れば、その機会も多く巡ってくるだろう。
 だから私は龍帝の後宮に入ることにしたのだ。

 ……兄が熱烈に止めてくるであろうことは予想できていたので、ひっそりと国を出ていくつもりだったのに……。
 まさか一番見つかりたくない人に見つかってしまうなんて。

 ほんと、ついてなかったわね……。



「お前は龍帝を見くびっている。危険なことは俺に任せておけ」

「いいえ、お兄さま。これは私の成すべきことです。歴代の龍使いたちが受けてきた屈辱を、この私が払うのです。そして、玖雷国は蒼霜国から自由になるんです」

「なあ水氷、父上だって今お前のことを必死に考えている。心配するな、龍帝からは俺たちが守ってやるから。お前は何もしなくていんだ。水氷…………」

「お許しください、お兄さま。もう決めたことですので」

「……俺はお前のそういうところは好きじゃないぞ」

「私もお兄さまのこういうところは嫌いです」

 すごくキモいし。

「……そんなことを言うのはこの口か?」

「んむっ!?」

 兄の大きな手が私の口を力尽くで塞いできたのだ。さらに、暴れる私を押さえつけるように、兄は身体ごと抱きしめてきた。

「ん、んんーっ!」

 息がうまくできない苦しさのなかで、それでも私は抵抗を続ける。

「やめへくらはい!」

「水氷、お前を龍帝なんぞにくれてやるつもりはない。お前はここにいるんだ、水氷……」

 兄の甘い声が耳元で響く。

「水氷……。水氷、水氷。今からお前は俺が囲う。いいか、お前の夫として命ずる。これからお前は俺の許可なく他の男と喋ってはならない、龍帝なんてもってのほかだならな」

 ちょっと、この人なに言ってるの!?

「ああ、可愛い水氷。愛してる。水氷、水氷……」

 なんなのこの人、本当に頭おかしい!
 そう思って暴れたけれど、力の強い兄には敵わなかった。

「水氷、お前が誰のものなのか教えてやる。そうだ、ここにいる兵士たちにも見せつけてやろう……」

 そう言うなり兄は私の顎を乱暴に掴んで顔を上げさせ――。

「お前は俺を受け入れさえすればいいんだ。誰にも渡さぬ……」

 え、なにこれ。接吻キスに持ち込むつもり!?
 冗談じゃない!!

「やめてっ!!」

 私は渾身の力を込めて、兄を突き飛ばした。
 すると驚くべきことに、兄は真上に吹き飛んだのだ。

 ああ、私っていつの間にかこんなにも力が強くなっていたのね。ちゃんと毎日鍛錬を積んだかいがあったってものだわ。

 と思ったが、違った。

 翼龍が兄の後ろ襟首をくわえて持ち上げていたのだ。

「うわっ、こら離せ!」

 兄はじたばた暴れるが、翼龍はびくともしない。
 私には、その翼龍の考えていることが伝わってきた。

『水氷逃げて。この変態はあたしが捕まえておくわ』

 女の子の翼龍だ。はっきりと兄を変態と定義してくれて、なんだかスカッとしてしまう。

『へい水氷!』

 龍舎の奥から深夜にもかかわらずご機嫌な声が聞こえてきた。

 いつも騎乗させてもらっている仲良しの翼龍、灰色の鱗の真琉しんるだ。
 彼は柵をバリバリと突き破って私のほうへ歩いてくる。

『早く僕に乗って! そうできるだけノリノリでね! ノリだけに!』

「真琉! ありがとう! でもちょっとやかましいわ!」

『ふふふふふふ』

 ボケに突っ込んでもらって嬉しそうに含み笑いをする真琉。……翼龍というのはこういう愉快なノリの龍が多いから、私もそれに合わせてツッコミ役になる。

「うわああああああ!!!!」
「翼龍が!?」
「逃げろーっ!」
「龍兵を呼べ! 早く!」

 現場は混乱の一途だった。そりゃそうだ、龍というの特別な訓練をした人間でなければ御することができない特別なものなのだから。
 その特別な訓練をした兵とは、龍兵とは呼ばれる専門の戦闘職たちのことである。当然、深夜の見張り兵に混じっているはずはない。

 ちなみに龍使いである私は龍兵の訓練はしていない。生まれついて龍の声が聞こえなおかつ意思疎通も容易にできる私は、だから龍兵というより気分は龍友なのだ。

 そんななか真琉は私を背中に乗せると、混乱のなかをずんずんと進んでいった。

「待て水氷! 行くな!」

「お兄さま、お元気で! お父様によろしくお伝えください!」

 翼龍に加えられたままの兄に心にもない別れを告げる私。
 そして、私と翼龍の真琉は外に出た。

 白い月が冴え冴えと照らす、深夜の王宮。

 そこで、翼龍は大きく両翼を広げ――

『お客さーん、どちらまで?』

「蒼霜国の……皇都までお願いします」

『はいよー、けっこう距離あるから貸し切りねっ!』

 私にはよくわからない……おそらく翼龍種にしか通じないであろう冗談を踏まえつつ、真琉は皮膜の翼を打ち下ろした。

 ふわっ、とした浮遊感が私を包み込む。私たちはまさに矢のように夜空を駆け上がっていく……。

「必ず取り戻すからな、水氷ーっ!!!」

 地上から兄の声がしたが、それもすぐに聞こえなくなっていった。

 ただ、夜空の星に包まれて、真琉の、

『らーらーらららららーらー、らーらーらららららーらー♪』

 という、聞いたこともない流れるような旋律のご機嫌な鼻歌を聞いていた。

 ――こうして。
 私は兄との口論の末、ついに王宮を、いや玖雷国を飛び出したのだった。

 待ってなさい、龍帝。すぐにあなたの後宮に入ってあげるわ。
 あなたを殺し、自分の力で運命を切り開くためにね。



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