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運命

小野田の秘密

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ーあっ、目があった。

涙は転校生と目があった後直ぐに、目を逸らした。

ーなんか見られたくない……

自分の何もかもを見透かされている感覚になった涙は、真尋から目を逸らした。

「えーと、席は………小野田の隣で良いか……窓側の奥の端から二番目の席だ。」
「はい。」

転校生はどんどん自分の席に向かってくる。

ーこの人も殴るのかな。

涙は反射的に、目を瞑った。だが何もやってこなかった。

ーな、なんで?

殴られなかったことに不思議に思う涙は 、真尋を目で追った。 それに気付いた真尋は  涙に微笑みかけた。涙はそれに気付き、目が会わないよう真尋がいる反対側を向いた。

「あ…………」
「…………」

ー何なんだろう、この感じ…………

暖かいようなどこか苦しいような、涙の心の中でその様な“なにか”が渦巻いていた。









ーーーーーー
朝のホームルームが終わり5分間の休み時間が始まった。

「…………なぁ。」

ーこの間に今日の献立を考えよう………そうだなぁーーー………

「…………?おーい、小野田くーん!」

真尋は涙の顔近くに手を振る。反応はなし。

ーごぼうがあったから………きんぴらごぼうにして………サラダは、キュウリの塩漬けを切って、切り干し大根を使って………

真尋は涙の肩を揺らす。………反応なし。

ーくっ、な、何で反応なしなのっ!

「……………」

涙は献立を決め、真尋はと言うと………

ー何考えてるんだ?小野田?………!まさか、新人いじり的なあれっ!?

「小野田っ!」
「?、何?」
「何って………もしかして気付いてなかったのか?」
「えっ、と、………」

ー何か悪いことしちゃったのかな?………どうしよう………

動揺する涙。それを見た真尋は微笑みながら言った。

「何も悪いことした訳じゃないんだからさ、ただ聞いて欲しいことがあったから………」
「聞いて欲しいこと?」
「あの、さ。そのー、教科書ある?」
「ある、けど………」
「あの、見してくんない?俺午後から貰うことになっててさ………」
「えっ、あ………」

涙は俯いた。

ー僕に関わったらこの人も巻き添えになるかもしれない……どうすれば………

「あ、あの!」
「?」
「まだ、教科書持ってないんでしょ?なら、私の貸すよ!」
「えっ?いいの、サンキュー!………えっとー、」
「あ、私 篝 蝶 (かがり ちよ)。宜しくね?」
「あ、うん。」

「ゴメン、小野田。」
「良いよ、別に………」

蝶は真尋にだけ聞こえるように小声で真尋の耳元で囁いた。

『小野田くんに関わらない方がいいよ、こっちが目をつけられるよ?』
「えっ?」

ー目をつけられるってなに?どう言う事だ?

真尋は知らなかった。涙がいじめを受けていることも、涙を“好き”になることも。





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