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運命

あいつとの出会い。

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涙の日常は朝六時頃から始まる。
朝は起きて制服のシャツとズボンを着てから玄関を出て庭の花たちの水やりをする。その後は朝食を作りあいまをぬってはお皿を出しご飯の盛り付けをして、テーブルに出す。
自分の分は食べない、いや食べれないが正しいだろう。

「お前、起きたのか。まだ飯食って無いだろうな?」
「……はい。」
「チッ、これが一週間分の飯代だ。」

渡されたのは約1800円ほどのお金だ。それを貰いやっとのことでご飯が食べられる。
朝ごはんはこの家では食べられない。
朝は早めに家を出る。そうすれば楽に勉強に励めるから。






ーーーーーー
ー今日も早く来すぎたな。

涙は席に向かう。机には落書きが書かれている。

『死ね キモッ 消えろ』

毎回書かれる“落書き”達は、涙にとってはまた消さなきゃいけない面倒なことだった。

[ 美術室 ]
涙は自分の机を雑巾で拭いていた。

「本当に何でこんなに迷惑なことをするんだろう……」

涙は自分がいじめられていることはわかっているが、“いじめ”自体の意味は分かってはいない。






ーーーーーー
ーはぁ、………やること無いし花瓶の花替えよう。

涙は花瓶から花を取り出した。
毎回の花瓶の花の交換は涙がやっている。その事を生徒は愚か先生までもが認識していなかった。







[ 花壇前 ]
「お前達は綺麗で良いな。なのにごめんね、綺麗な君達を摘んでしまって……」

涙はそう言いながら花を四本ほど摘み終え花壇の近くにあるゴミ箱に昨日の花を捨てた。その後は自分のクラスに戻った。




[ 教室 ]
戻るとすぐさま花瓶を持ち自分の机に持っていた物を置いた。

『ガサ、ガサ、ゴソ………』

「ペットボトル………あった。」

カバンから二本のペットボトルを取り出した。一本は空のペットボトル、もう一本のペットボトルは朝、学校に行く途中にある公園の水道の水を入れた物だ。
空のペットボトルに花瓶に入っていた水を入れ、空になった花瓶にはもう一本のペットボトルの水を入れた。その後に花壇から摘んだ花達を入れる。

「今日も綺麗だね。今日一日頑張ってね。」

花瓶を元の場所へ戻した。
涙は自分の荷物を持って屋上へ行った。屋上で時間を潰しながら面倒事をさけ、自分の朝ご飯を食べるために。



ーやることないし勉強しよう。




ーーーーーー
教室に帰るとクラス中が騒がしかった。

『ねぇねぇ!転校生が来るって本当?』
『マジでっ!男?女?』
『それは分からないけどさ、うちのクラスに来るのは確かなんでしょ?』

ー転校生………

涙は転校生が来ることを気には止めたがまた一緒の人だろろうと思っていた。

『ガラガラ』

「皆~、席に着け~」

担任の河原井(かわらい)が教卓の前に進む。

「皆、転校生を紹介する。……入って来て良いぞ~」
「はい。」

その声は男の声だった。

「自己紹介してくれるか?」
「はい、えーと、笹ノ原高校から転校して来ました。鈴川 真尋 (すずかわ まひろ)です。色々迷惑かけるかも知れませんが宜しくお願いしますっ!」

その時涙と目があった。
これが涙と真尋との出会いだった。












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