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プロローグ

変わらない世界。変わるはずがなかった日常。

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高校生になってから、母方の叔母さんにお世話になることになった。
そこでも変わらなかった。

「なぁ、お前さぁ、なんでいつも反応しねぇんだよ。」

叔母さんには息子さんがいた。息子さんは成績が悪く、余り叔母さんに優しくして貰ったことが余り無いらしく、涙には嫉妬で嫌がらせや暴力を振るっていた。

「なぁ、お前みたいな人形がなんで、ここに来たんだ?」

涙は無言を貫いた。また、同じようにされるだけだ。と、思っていたからだ。

「お前は本当にあの時の涙なのか?お前には、もう、無いのか?」

そう言われると叔母の息子は自分の部屋へ戻っていった。

ー本当の自分………

涙にはもうわからなくなっていた。毎回受ける暴力、いじめ、暴言、人じゃないものを見るかのような目。また、同じ目だ。それが涙の残っている感情の最後の思いだった。




ーーーーー
涙は、バイトをするようになった。
理由は、家の人に迷惑をかけないためだった。

ー早く自立出来るようにならないと。

淡々と、黙々と涙はバイトをこなす。
無心になれば暴力で受けた痛みを思い出さなくてすむから。


バイトは、高校ではバイトは出来るが、親の承認用紙が必要だったため叔母に頼んでバイトが出来るようお願いした。結果大丈夫だったため涙はバイトをする事ができた。


ーーーーー
「よぉーーー、お前。金貸してくんね?」

隣のクラスのいじめっ子に言われた。だが涙はこう言った。

「全部一人暮らしするために貯金してるから今は持っていない。」

それが気に食わなかったのかいじめっ子は涙の腹に自分の足を蹴りつけた。

「ぅんだよっ!表情も見せられないのかよ。
チッ。」

もう涙には表情が無くなっていた。
ひどい暴力・暴言、いじめに自分を追い込む精神、そのどれもが涙を縛り付け涙を檻から出られないように締め付ける。

「本当の自分………」

前に言われたことを思い出す。


『お前には、もう、無いのか?』


未だに涙の心を締め付ける言葉。涙は何度も考えた。何度も何度も何度も。けれど何も解らなかった。






そんなある時、転機が訪れた。



高校一年生の秋、涙自身の人生を変える彼との出会いが訪れた。





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