風の想い 風の行方

木葉風子

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友達⑦

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「じゃあ
彼を送ってくから」
走りだす怜の車
敬と輝、そして
江莉香が見送る

「でも、珍しいよね」
「何がだ?輝」
敬に話しかけた
「毅が誰かと
仲良くなるなんてさ」
そう、毅は人見知りらしい
「確かにね
あいつ、人と付き合うの
下手だからね」
敬は彼らを
よく理解している様だ

「敬はどうなの?」
彼の顔を見据えて聞く
「 僕は…
苦手…かな」
少し哀しげな顔
「下手と苦手
でも、何が違うの…?」
彼の目を見つめ訊ねる輝
「何がって言われても…」
輝から目を反らした敬

「家の前まで行くから
住所教えてくれる?」
後部座席の真人に聞いた
怜に場所を言う
「でも、あのこんなに
貰っていいんですか?」
申し訳なさそうな真人
「おまえが作ったんだから
かまわないよ」
目的地に車を走らせる
「家で弟や妹が
待ってるんだろう」
隣に座る毅が聞いた
「あっ、今日は
母がいるから」

「待ってる…か
羨ましいね」
運転中の怜
それを聞いた毅
「何言ってんだ
今のおまえには
待ってくれる人が
いるだろが」
「ま、あ、ね」
満面の笑みの怜

「あの~
みんなは
昔からの友達
なんですか?」
2人を見ながら聞く
怜が答える
「そうだなぁ~
俺が8歳の時だったかな
そこに連れて行かれたのは
輝はもういたしさ」
「でも、オレが行った時は
2人とあと何人かいたな」
怜の言葉の続きを言う

「あの、それって…」
「オレたち、
養護施設で育ったんだ」
毅が言った
「そんなの関係ないよ!
みんなちゃんと
生きてるからさ」
きっぱり言う怜

「生きてる…」

改めて毅と怜を見る真人

「こいつが来た後に
敬が来たんだよ
俺と敬は初めから合わないし
こいつはあんま喋らないし
輝がいてくれて良かったよ」



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