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第三章
完璧な上司で先輩との関係⑨
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「えっと……。もしかして、神楽坂さんのお世話に?お礼をきちんと伝えてないです」
「まあ、そうだな。その話はまた今度。お腹空いただろう?食事もお願いしているから食べよう」
なぜか、歯切れの悪い返事が返ってきた。
「食事?」
神楽坂さんに会った驚きで忘れていたが、食事と聞いた途端お腹が空いていたことを思い出した。
「テーブルに移動されますか?」
「はい」
絶妙なタイミングでお声が掛かった。カクテルをいただくのはカウンターで良かったが、食事をするにはカウンターよりもテーブルがいい。
蒼空さんにエスコートされ、案内された窓際の席まで行ったが、あまりの贅沢な夜景に言葉も出ない。宝石箱をひっくり返したようなという表現がぴったりな、ネオンが光り輝く夜景に魅了される。
「凛花、シャンパンで乾杯しないか?」
「私、アルコールに強くないですよ?」
「酔っても俺が最後まで責任を持つから大丈夫だ」
「面倒になって止めたとか言わないで下さいよ」
「凛花こそ、俺の気持ちを甘くみるなよ」
正面の席から妖艶な視線を向けられドキッとする。高校の時から落ち着いた雰囲気だったが、歳を重ねて更に大人の魅力が増している。私に今まで彼氏ができなかったのは、最初に憧れた男性で初恋の相手が蒼空先輩なのだから、それ以上の男性になんてなかなか出会えるわけがないのだ。大好きな蒼空さんに告白のような言葉を言われても、まだ信じられないし今でも夢ではないかと思ってしまう。
夢なら醒めないで――。
切実な願いだ。
「どうした?俺の顔になにかついているか?」
「カッコイイです……」
「もう酔っぱらったか」
「酔わなきゃやってられません。現実とは思えないんですもん」
「どうしたら信じる?」
「……」
真剣で私を射貫くような視線に身体の奥底から震えがきそうだ。蒼空さんの指が私の唇に伸びてきてなぞられる。片想いしかしたことのない私にはお手上げだ。
「蒼空さんみたいに慣れていないので……」
「人聞きの悪いことを言うなよ。俺はずっと凛花一筋だし、よそ見をする暇すらなかった」
「まあ、そうだな。その話はまた今度。お腹空いただろう?食事もお願いしているから食べよう」
なぜか、歯切れの悪い返事が返ってきた。
「食事?」
神楽坂さんに会った驚きで忘れていたが、食事と聞いた途端お腹が空いていたことを思い出した。
「テーブルに移動されますか?」
「はい」
絶妙なタイミングでお声が掛かった。カクテルをいただくのはカウンターで良かったが、食事をするにはカウンターよりもテーブルがいい。
蒼空さんにエスコートされ、案内された窓際の席まで行ったが、あまりの贅沢な夜景に言葉も出ない。宝石箱をひっくり返したようなという表現がぴったりな、ネオンが光り輝く夜景に魅了される。
「凛花、シャンパンで乾杯しないか?」
「私、アルコールに強くないですよ?」
「酔っても俺が最後まで責任を持つから大丈夫だ」
「面倒になって止めたとか言わないで下さいよ」
「凛花こそ、俺の気持ちを甘くみるなよ」
正面の席から妖艶な視線を向けられドキッとする。高校の時から落ち着いた雰囲気だったが、歳を重ねて更に大人の魅力が増している。私に今まで彼氏ができなかったのは、最初に憧れた男性で初恋の相手が蒼空先輩なのだから、それ以上の男性になんてなかなか出会えるわけがないのだ。大好きな蒼空さんに告白のような言葉を言われても、まだ信じられないし今でも夢ではないかと思ってしまう。
夢なら醒めないで――。
切実な願いだ。
「どうした?俺の顔になにかついているか?」
「カッコイイです……」
「もう酔っぱらったか」
「酔わなきゃやってられません。現実とは思えないんですもん」
「どうしたら信じる?」
「……」
真剣で私を射貫くような視線に身体の奥底から震えがきそうだ。蒼空さんの指が私の唇に伸びてきてなぞられる。片想いしかしたことのない私にはお手上げだ。
「蒼空さんみたいに慣れていないので……」
「人聞きの悪いことを言うなよ。俺はずっと凛花一筋だし、よそ見をする暇すらなかった」
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