俺様上司と複雑な関係〜初恋相手で憧れの先輩〜

せいとも

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第三章

完璧な上司で先輩との関係⑩

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「じゃあ、初心者同士ってこと?」
「そうなるな。俺の方が、凛花を喜ばせる知識だけは上かもしれないがな」

 どういう意味か全くわからないが、私だけが初心者ではないとわかって安心した。出会ってからの時間は長いがお互いのプライベートの話をするのは初めてだ。高校時代にバスケ部の合宿で宿泊をしたことはあっても、二人きりではなかったしあの頃はバスケ一色の生活だった。今更ながらに、新しい発見や懐かしい思い出話で話題が尽きない。

「せんぱーい、スキ」

 完全に酔っぱらった私は、蒼空さんの存在に安心していつも以上より饒舌になる。社会人になってからも、会社の飲み会では酔っ払わないように気をつけていたし、ふわふわするまで飲んだのも今日が初めてだ。意識して蒼空さんと呼んでいたが、酔っ払った私は元に戻り先輩と呼んでいる。

「完全に酔っ払ったな」
「せんぱいが飲んでいいっていうからー」
「ああ、俺の前だけな。俺だけの凛花を堪能する。行こうか」
「帰るの?まだいやー」 

 目が潤み頬がピンクに染まって完全に酔っ払っている私は、蒼空さんの熱い視線には全く気づいていなかった。この時には、思考回路もストップしていて蒼空さんの声が遙か遠くに聞こえていたのだ。

 逞しい腕に支えられてエレベーターに向かっているのはわかるのだが、足が思うように力が入らない。家まで帰れるか不安になってくる。

 エレベーターに乗り込んで、蒼空さんが先ほどのカードをかざし押したボタンが、なぜか私達がいた階のワンフロア下の階に見えた。帰るならフロントのある一階ではないのか。案の定すぐに扉が開いた。

「⁇」

 私が不思議そうな顔をしていたのがわかったのか、疑問を口にする前に蒼空さんが答えてくれた。

「今日はここに泊まる」
「ええっ⁈」
「何を驚いている?今夜から凛花の時間は俺がもらうと宣言しただろう?凛花も帰りたくないと言ったじゃないか」
「……」

 今夜からと言ったのは、そういう意味だったのかと理解する。理解するが正解なのかがわからない。酔っていて思考回路が正常に働かない。



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