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第七章

真っ直ぐな想い⑨

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「楽しそうだね」
「そうだな。こうして俺も凛花を手に入れたことだし、いい機会だな。金城に言っておくよ」
「昔、優香が金ちゃん先輩に憧れていたので喜ぶと思う」

 当時、クールなイケメン部長の蒼空さんと、可愛い系イケメン副部長の金ちゃん先輩の人気が凄まじかった。私は蒼空さん、優香は金ちゃん先輩が好みで、二人で初恋の恋バナに花を咲かせたものだ。お互いに告白することも、初恋を実らせることも、恐れ多くてできなくて見ているだけだった。

 私は、ずっと初恋を拗らせて彼氏もできなかったが、優香は大学の時に知り合った先輩とつき合っていた。そういえば、最近聞いていないが、優香と彼氏はどうなっているのだろう?

 優香に蒼空さんの話をするときに聞いてみよう。高校時代を共にしたみんなが、今どうしているのかも気になる。

 蒼空さんとは、共通の話題に話が尽きない。何年経っても、何年会っていなくても、あの頃のことは鮮明に覚えている。厳しい練習も、勝利した喜びも、分かち合った仲間の絆は永遠なのだ。

 話が弾んでいつの間にか、かなりの量のシャンパンを飲んでしまった。身体が火照ってふわふわしているように感じる。

「ソファに移動しようか」
「ふぁ~い。ご馳走様でした」
「プッ、酔った凛花が可愛すぎる」

 長身の私は、大人っぽいとは言われるが、今まで可愛いと言われた経験がない。私を可愛いと言うのは、蒼空さんくらいだ。腰を支えられて歩くけれど、私はバスローブ一枚で下着もつけていないことを思い出した。

「蒼空さんシャワーは?」
「ああ、今から浴びてくる」
「いってらっしゃーい」

 バスルームに向かう蒼空さんを見送り、ソファに座って窓の外の夜景を眺める。贅沢なホテルの一室で、贅沢な時間だ。こんなに幸せでいいのだろうか。後々、怖ろしいことが待っているのではないかと思うほど、幸せ過ぎて怖い。

 ボーッとしていると、酔いもあってか眠たくなってくる。

 『カチャ』と音がして、首からバスタオルをかけた蒼空さんが、バスローブを羽織った格好で出てきた。水も滴るいい男とは、蒼空さんのための言葉に思えるくらいに色気がだだ洩れだ。



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