もう絶対に離さない!潜水士は海よりも深い愛を誓う

せいとも

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第一章

プロローグ①

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「おかけになった電話は電源が入っていないか、電波の届かない場所にあるため、かかりません」

 このメッセージを聞くのは何度目だろう……

 出会ってから二ヶ月、お互いの名前と年齢と連絡先しか知らないけれど、私達は愛し合っていた。はず……

 ところが突然の音信不通。もう、何を信じればいいのかわからない。

 海難事故で大好きだった父を亡くして落ち込んでいた私を、親身になって立ち直らせてくれた彼。休職中の私が、仕事に復帰しようと思えるまでになったのは、間違いなく彼のお陰だ。

 無言で繋がることのないスマホを見つめている私の耳には、悪天候で豪華客船が座礁して未だに立ち往生しているニュースが聞こえてくる。海は本当に怖いのだ。何十年も漁師として舵を握っていた父でさえも、一瞬にして飲み込まれたのだから……

 豪華客船には、大勢の乗客と乗員が乗っているはず。連日テレビで報道されているこのニュースは、隣の県の沖合だけに他人事だとは思えないのだ。私にできるのは無事を祈ることくらい。

「くよくよばかりしてられないわ」

 頬を叩いて気合いを入れた。いつまでも実家にいるわけにはいかない。私の本来の生活に戻る時が来たのだ。彼とのことは、いい思い出として胸にしまっておこう。

「お母さん、私、明日帰ることにする」

 キッチンにいる母へ声を掛けた。

「どうしたの? 急に」
「そろそろ仕事に戻らないと。無理言って休ませてもらってるから」
「そうね。いつまでも落ち込んでたら、お父さんが怒りそうね」
「うん、お母さんは一人で大丈夫?」
「私? 近くに海人も住んでるから大丈夫よ」

 海人は私の二歳上の兄で、実家の近くに住んで公務員として働いている。父の跡を継がなかったけれど、父も自分の代でおしまいだと常々言っていたので円満な関係だった。すでに結婚して子供が二人いる兄は、子供を連れて頻繁に実家へ顔を出してくれている。母が一人になっても、大丈夫だと思えるのは兄のお陰だ。

 最後に海辺を散歩しようと実家を出た。都会と違って長閑なところで、心が癒される。砂浜に来ると、波打ち際でサンダルのまま足をちゃぷちゃぷして遊ぶのが、子供の頃からの習慣だ。

 その時――
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