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第一章
卒業⑥
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担任の後に続き、並んでグラウンドまで向かう。拍手の中を通り抜け、いよいよ解散だ。
「頑張れ!」
担任のエールが解散の合図になり卒業生は、保護者の元へ散っていく。
そして、みんながスマホを手に戻ってくる。
「先生写真撮って~」
「私も」
写真撮影会が始まった。
由奈も、友達と写真を撮りながらも瑞希の姿を探す。グラウンドの端に人だかりができている。きっと瑞希はあの人だかりの中心にいるのだろう。今は近づけそうにない……。
友達とスマホで繋がっていく。嬉しさと少しの不安が胸をよぎる。手のひらサイズの機械の中は、無限に広がっている。
撮影会も三十分ほどで収まってきた。
瑞希の周りにいた子達の会話が聞こえてきた。
「で?瑞希くんはなんて?」
「連絡先交換してって言ったら、スマホ持ってないって言われた」
「ええ~断りたかっただけなんじゃない?」
「本当に持ってないみたい。何でスマホ持たないのか聞いたら、まだ自分には扱う自信がないって答えてた」
「なにそれ、機械が苦手ってこと?」
「学校のパソコンを使いこなしてるし、違う気がするけど……」
「天才の言うことはわからないね」
この時は、由奈にも瑞希の気持ちが理解できなかった。けれど、瑞希がスマホを持ってなくても、由奈は自分のスマホで瑞希と写真を撮りたい。
辺りを見回し瑞希を探す。帰っていく生徒の姿がチラホラと見える。
「由奈、そろそろ帰る?」
「お母さん、もう少し写真撮りたいから先に帰ってて」
「わかったわ。気をつけてね」
「うん」
「頑張れ!」
担任のエールが解散の合図になり卒業生は、保護者の元へ散っていく。
そして、みんながスマホを手に戻ってくる。
「先生写真撮って~」
「私も」
写真撮影会が始まった。
由奈も、友達と写真を撮りながらも瑞希の姿を探す。グラウンドの端に人だかりができている。きっと瑞希はあの人だかりの中心にいるのだろう。今は近づけそうにない……。
友達とスマホで繋がっていく。嬉しさと少しの不安が胸をよぎる。手のひらサイズの機械の中は、無限に広がっている。
撮影会も三十分ほどで収まってきた。
瑞希の周りにいた子達の会話が聞こえてきた。
「で?瑞希くんはなんて?」
「連絡先交換してって言ったら、スマホ持ってないって言われた」
「ええ~断りたかっただけなんじゃない?」
「本当に持ってないみたい。何でスマホ持たないのか聞いたら、まだ自分には扱う自信がないって答えてた」
「なにそれ、機械が苦手ってこと?」
「学校のパソコンを使いこなしてるし、違う気がするけど……」
「天才の言うことはわからないね」
この時は、由奈にも瑞希の気持ちが理解できなかった。けれど、瑞希がスマホを持ってなくても、由奈は自分のスマホで瑞希と写真を撮りたい。
辺りを見回し瑞希を探す。帰っていく生徒の姿がチラホラと見える。
「由奈、そろそろ帰る?」
「お母さん、もう少し写真撮りたいから先に帰ってて」
「わかったわ。気をつけてね」
「うん」
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