【R18】黒猫は月を愛でる

夢乃 空大

文字の大きさ
92 / 106
番外編

初めての大型連休の過ごし方 連休7日目-お出かけしたいの!-

しおりを挟む

 これは弦と名月が付き合って1ヶ月と少したった頃のゴールデンウィークのお話。


 
 ふたりで迎える初めての大型連休であるGW。
 有給奨励日を入れて11連休もあったので、どこかに出かけたり何か特別なことをするのかと思いきや……
 7日目の朝まで、ほとんど家でイチャ……いや、ふたりでまったりと過ごした。

 この7日で外出したのは、初日に弦の車で会員制スーパーに食材を買いに行った時だけ。
 連休中だけでなくそのあとの事も考えて、大きな冷蔵庫と冷凍庫いっぱいに食材を買い込んできた。

 外出はそれっきり。
 あとは、寝て起きてセックスして……の繰り返し。

 付き合いたてで、尚且つ、弦に到っては長い片想いが成就したのだから思いっきりイチャつきたいというのは理解出来るのだが……

 た、爛れている……爛れきっている……
 流石にこのまま連休中ずっとベッドの上というのは回避したい……

 決して弦とのセックスがいやな訳ではない。寧ろ……溺れてしまっている感は否めないし、これ以上は気持ち良すぎて馬鹿になりそうなので、少し控えた方がいいのでは?と思い始めている。
 このままでは仕事に行けなくなりそうで怖いので、仕事が始まるまではセックスは夜だけにしたい、もしくは、少しでいいので回数減らして身体を休めたい、と弦にそれとなく言ってみるが、

「そっか。じゃあ激しくしないで、ゆっくりじっくり時間をかけてトロトロにしてあげるよ。そうすれば負担はないよね?」

 とにっこり笑顔で返され、今日に至る。

 そ、そ、そういうことではない……

 体力おばけの弦とは違って、私はそんなに体力が無いので、連休明けからヘトヘトなのは勘弁して欲しい。
 それに折角の付き合って初めての大型連休なのだから、少しはいつもと違うお出かけしたいと思うのは女の子として当然だと思うのだ。

 誠治と付き合っている時も、あまりデートらしい事をした事がなかったし、弦のかっこいい私服も見たいし…

 そんなこんなで、思い切って情事の後に、上目遣いで少しばかりお強請りをしてみると、思いのほかあっさりとOKがでて、連休の残りの日中は出かけようと決起したのは昼下がり。

 久しぶりのデートに嬉し過ぎて頬が緩んでしまう。


「お出かけどこに行く?弦とのデート楽しみだなぁ。」


 ベッドの中でニマニマしながら弦の胸に頬を擦り寄せると、そのままくるりと仰向きに向きを変えられて、あっという間に上から見下ろされる格好になった。


「へ?」


 訳も分からずぽかんと見上げると、弦はにっこり綺麗な笑顔で、だけど熱の篭った瞳で見つめている。ドキリと心臓が跳ね上がり、居心地が悪くて思わず視線を逸らしてしまう。
 気まずさから身を捩ろうとするけど、両手は弦の手によってしっかりベッドに押し留められていてビクともしない。


「げ、弦?どうした……の?」


 恐る恐る訊ねてちらりとみると、蕩けるような甘い笑みを浮かべた弦が私を見つめている。


 うん、何か…とても嫌な予感がする……


「うん、お出かけが楽しみなのはとても良く分かった。日中はお出かけしよ。それで、土日は仕事前だからまたお家でまったり過ごそうね。……そうと決まったら、明日と明後日の分まで今日は沢山抱いておかなきゃ。まだまだ全然名月が足りない……名月不足で死んじゃいそう。だからね?このまま抱かせて?」

「はぇ?こ、この後、お出かけ……」

「ん?しないよ?名月の希望は全部叶えてあげるから、今日は俺の番。可愛い可愛い俺の名月……。そんな顔しないで?眉間に皺残っちゃったら大変。ほら、にっこりして。んー、可愛い。名月愛してるよ。」


 弦はにっこりと笑いとても甘い声で宣言すると、私の唇を食むようにキスをしてきた。

 まぁ、そうなりますよね……
 でも、なんか釈然としないんだよなぁ…これって流されてるだけ?

 眉間に皺を寄せてそんな事をぐるぐると考えていると、不意に弦にがぶりと鼻を齧られた。


「ひっ、いひゃい……何するの!?」


 あまりの痛さに涙目で睨めつけると、弦はむくれて不貞腐れたような顔をして、かぷかぷと唇に甘く噛み付いてきた。


「んうっ……!!!」

「考え事してる名月が悪い。目の前の俺を見てよ。……寂しいじゃん。」


 そう言うと、いきなり舌を捩じ込んで深いキスを仕掛けてきた。

 ていうか、弦が拗ねて甘えてる?!
 か、可愛いんですけど……

 普段俺様な弦の甘えん坊モードに不覚にも胸がキュンキュンとときめいてしまった。
 こんな弦を見てしまったらもう絆されるしかない。
 それにしても、弦とのキスは本当に気持ちいい。唇を食まれ舌をじゅるじゅると吸われているだけなのに、気持ちが良すぎて頭の芯がぼぅとして、蕩けてしまいそうだ。


「んちゅっ……名月、蕩けそうな顔……可愛い…その顔はもうずっと俺だけにしか見せないでね。」


 弦も幸せそうに蕩けた顔をしてそう言うと、再び私に唇を落とした。

 こんな事、弦としかしないから他の誰かに見せる事なんてないのに、と少し呆れつつも独占欲を顕にしてそれだけ求められ愛されているのだと思うと、不思議と悪い気はしないし、結局のところ、私はこの顔で求められたらNOとは言えないのだから諦めるしかない。
 降参した私は、両手を弦の頬に当てて微笑みながら答えた。


「……うん、見せないよ。これからはずっと弦だけ。だから、弦も私だけ見てね。」


 その言葉に弦は心底幸せだと破顔し、大量のキスの雨を降らせる。
 そして、絶え間なく降り注ぐキスの合間にそんな私も大概だよな、とぼんやり思った。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

禁断溺愛

流月るる
恋愛
親同士の結婚により、中学三年生の時に湯浅製薬の御曹司・巧と義兄妹になった真尋。新しい家族と一緒に暮らし始めた彼女は、義兄から独占欲を滲ませた態度を取られるようになる。そんな義兄の様子に、真尋の心は揺れ続けて月日は流れ――真尋は、就職を区切りに彼への想いを断ち切るため、義父との養子縁組を解消し、ひっそりと実家を出た。しかし、ほどなくして海外赴任から戻った巧に、その事実を知られてしまう。当然のごとく義兄は大激怒で真尋のマンションに押しかけ、「赤の他人になったのなら、もう遠慮する必要はないな」と、甘く淫らに懐柔してきて……? 切なくて心が甘く疼く大人のエターナル・ラブ。

出逢いがしらに恋をして 〜一目惚れした超イケメンが今日から上司になりました〜

泉南佳那
恋愛
高橋ひよりは25歳の会社員。 ある朝、遅刻寸前で乗った会社のエレベーターで見知らぬ男性とふたりになる。 モデルと見まごうほど超美形のその人は、その日、本社から移動してきた ひよりの上司だった。 彼、宮沢ジュリアーノは29歳。日伊ハーフの気鋭のプロジェクト・マネージャー。 彼に一目惚れしたひよりだが、彼には本社重役の娘で会社で一番の美人、鈴木亜矢美の花婿候補との噂が……

ドSでキュートな後輩においしくいただかれちゃいました!?

春音優月
恋愛
いつも失敗ばかりの美優は、少し前まで同じ部署だった四つ年下のドSな後輩のことが苦手だった。いつも辛辣なことばかり言われるし、なんだか完璧過ぎて隙がないし、後輩なのに美優よりも早く出世しそうだったから。 しかし、そんなドSな後輩が美優の仕事を手伝うために自宅にくることになり、さらにはずっと好きだったと告白されて———。 美優は彼のことを恋愛対象として見たことは一度もなかったはずなのに、意外とキュートな一面のある後輩になんだか絆されてしまって……? 2021.08.13

新人メイド桃ちゃんのお仕事

さわみりん
恋愛
黒髪ボブのメイドの桃ちゃんが、働き先のお屋敷で、旦那様とその息子との親子丼。

処理中です...