【R18】漆黒の王太子の一途で重い純愛〜痴情の果てに初恋の姫を溺愛する

夢乃 空大

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トラヴェエ王太子の責務と恋

■天使と出会った日

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「王太子殿下、娘のアイリーンです。これからよろしくお願いいたしますね。」

 そう告げた公爵夫人の腕の中を小さな王太子ヒューゴはそっと覗き込むと、そこにはふわふわな金色の髪に瑞々しいさくらんぼのような唇の愛らしい赤子がいた。


「…わぁ。」


 幼いヒューゴは思わず息を呑んだ。

 公爵夫人の腕の中ですやすやと安らかな顔をしている赤子は眠っているのだろうか、瞳は閉じられているが、伏せられたまつ毛は長く、クリクリとした大きな瞳であることをうかがわせていた。
 柔らかそうな丸いほっぺたは桃色に色づきふくふくとしていてなんとも愛らしく、ヒューゴは、暫しその愛らしい生き物の姿に見惚れていた。

 可愛い。
 触れてみたい。

 そう思うと、ヒューゴの胸はドキンと高鳴った。
 そして、すやすやと眠っている赤子の柔らかそうな頬に触れてみたい衝動に駆られ、そうっと手を伸ばしてはみたが、あまりに小さくて触ったら壊れてしまいそうで、触れていいものかと迷いすぐさま手を引っ込めた。

 触れても良いのだろうか……

 はてさて、これはどうしたものかとヒューゴが戸惑っていると、赤子を腕に抱いた夫人がヒューゴにふわりと微笑見掛ける。


「どうぞ。殿下、触れてみますか?」


 その言葉にヒューゴは、ぱっと夫人を見上げた。


「……いいのか?触れたら壊れてしまわないだろうか。」

「ふふっ、殿下大丈夫ですよ。さぁ、どうぞ。」


 夫人は優しく微笑み頷く。
 ヒューゴは恐る恐る赤子の頬に手を伸ばした。

 ぷにっ

 指先に触れた温かでぷにぷにと柔らかな不思議な感触。
 初めての感触にヒューゴは胸が踊った。
 その感触が心地よく、ヒューゴは何度も何度もその頬を触る。

 やわらかい……
 気持ちがいい
 ずっと触れていたい

 夢中で触るヒューゴの手が擽ったいのか、時折赤子はモゾモゾと口を動かしてむずがった。
 その仕種はまるで瑞々しいさくらんぼが揺れているように見え、途端に目の前の赤子が美味しそうに見えてきた。

 この温かで柔らかいものはどのような味がするのだろうか。
 きっと甘い味がするに違いない。

 そう思ったのとほぼ同時に、ヒューゴはアイリーンのふくふくとした頬に口付けをしていた。

 ふわりと赤子特有のミルクのような甘い匂いがヒューゴの鼻腔をくすぐり、口の中に甘い味が広がったような気がした。
 心が暖かなもので満たされ、甘やかな匂いと味に陶酔していると、頭の上からコロコロと鈴を転がしたような音がする。ヒューゴは音の主が気になり、閉じていた瞳を開いた。

 目前にはニッコリと笑みを湛えた小さな天使アイリーンがいた。

 思いがけない突然の邂逅に小さな瞳と瞳が合う。アイリーンの瞳は綺麗な空ような碧眼だった。
 初めに思った通りのクリクリの大きな瞳に見つめられ、ドキリと幼いヒューゴの胸は早鐘を打った。
 なんという愛らしさか。目の前の小さな天使から目が離せない。

 神々しいまでのキラキラとした笑顔にヒューゴの胸は高鳴り、
 同時に締め付けられるような愛おしさを覚えた。

 -触れたい…

 気持ちを抑えきれず、アイリーンの柔らかな頬にもう一度触れようと、そろそろと手を伸ばす。
 ゆっくりと、そして、今度は大切な宝物に触れるように…そっと。

 ヒューゴの手指がアイリーンの頬に触れるか否や、その手指は小さな指により行く手を阻まれた。アイリーンがヒューゴの指を握ったのだ。
 そして、満面の笑顔。


「…っ!」


「まぁまぁ!アイリーンったら、殿下がお気に入りのようですわね。」


 公爵夫人と王妃はその様子を微笑みながら見ている。
 アイリーンは機嫌よさそうにヒューゴの指を握りしめ、可愛らしい笑い声を上げている。

 可愛い。愛おしい。ずっとこの笑顔を見ていたい。

 ヒューゴはその小さな手を引き寄せ、口付け、心の中で愛おしい小さなアイリーンに語りかける。


 アイリーン、私の小さな天使。
 君がいつまでも笑顔でいられるように
 私が君を護るから。
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