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トラヴェエ王太子の責務と恋
□ふたりの夕食1※
しおりを挟む侍女と給仕達がせっせと夕食の準備をしているのを横目に、ヒュー兄様はえらくご機嫌だった。
長い足を組み上げ、足の間に私を横向きに置くと、上に重ねた足で私の下半身をがっちりと捉えているため、全く身動きが取れない。
そればかりか、抱き抱えるように左腕は私の腰にまわし私の右手に左手を絡ませて、私を完全にヒュー兄様の檻の中に閉じ込めた。一部の隙もなく逃げられないように私を拘束すると、その様子にいたくご満悦のようだ。
「どれ、昔みたい物語でも聞かせてやろうか?」
「さ、流石に物語は……もう子供では…」
先程までの思い詰めた表情は何だったのだろうと思う程、にこにこと楽しそうな笑顔を浮かべて軽口を叩きながら楽しそうにくつくつと笑う。
やがて食事の支度が整うと、何故かヒュー兄様は手で人払いの合図をおくり、侍女と給仕を全員下がらせてしまった。
この状態で部屋にふたりっきりとなると、流石に先程の抱擁を意識してしまいかなり気まずい。
そしてヒュー兄様は先程から恍としきりに私の頭を撫でているのだが、その頭を撫でている手に熱が籠っているように感じ胸がドキドキと速く鼓動を打っている。
触れられた時の快感が蘇り恥ずかしさに身を捩るが、ただの令嬢である私が軍人のヒュー兄様に敵うわけが無い。
「そうだな、確かにもう子供ではないな。」
私の「子供ではない」という発言に、対してそう答えたヒュー兄様は笑っていなかった。
ハッと顔を上げると、ヒュー兄様の仄暗い銀色の瞳は私を見つめていて一瞬で私の心を捕捉する。
そして、その銀色の瞳には薄らと情欲の火が灯り始めているようで、私の本能的が危険だと警鐘を鳴らすので、私は即座に視線を逸らそうとするが、ヒュー兄様の熱い視線が絡みついて、私に瞳を逸らす事を許さないと訴えていた。
「…ヒュー、にぃ、さ……まっ……?」
ヒュー兄様の熱い視線に耐えきれず、震える唇でそう言葉を紡ぐと、ヒュー兄様は私に視線を置いたまま、空いている右手で私の髪をひと房掬い上げ、そこにゆっくりと口付けを落とした。
ただそれだけの動作なのに、私の身体はその先にある快感を期待して胸が高鳴った。
そんな浅ましい自分が恥ずかしくなり、途端に顔に熱が集まってくる。
このままではまずい。とにかく、この状態を何とかしないといけないと思った私は、ヒュー兄様に下ろして欲しいと懇願してみる事にした。
「あのぅ……ヒュー、兄様…?」
「ん?なぁに?」
ヒュー兄様は私を見つめ髪をクルクルと弄りながら優しく甘い声で言う。
はぅ…かっこいい……
いやいや、ここで流されてはいけない。私は意を決して言った。
「あ…あの………お、下ろして…ください…ませ……」
「んー、だぁめ。」
私の願いはヒュー兄様の艶然とした笑みと甘い声でやんわりと拒否されてしまい、私は羞恥に耐えきれず真っ赤になったまま俯いた。
ヒュー兄様は俯く私の顎を指で掬い上げ上を向かせると、仄暗い瞳で見つめてきた。
ヒュー兄様の情欲に濡れた瞳と視線がぶつかり、どうしようもなく身体の中心が熱くなってくるのを感じた。
そして心の奥深い所で、ヒュー兄様に触れて欲しい、そう思っている私に気が付いた私は、慌てて芽生え始めた欲望を打ち消すようにぶんぶんと頭を振った。
「ヒ、ヒュー兄様!しょ、食事にしましょ?ね?」
意識を逸らすように目の前の食事を指差して言った私にヒュー兄様は艶っぽくゆるりと微笑むと、私に視線を留め置いたままテーブルのワイングラスに手を伸ばした。
「そうだね、そろそろ食事にしようか。」
ヒュー兄様はそのままグラスを口に運びワインを一口、ゆっくり喉を鳴らしながら飲み込むと、艶然と笑みを浮かべ、手に持ったグラスを私の口元に運んでくる。
「リーナは子供ではないんだよね?じゃあワインくらい飲めるよね?」
「……っあ、いや、飲めな……」
言い終わる前に強引にグラスを傾けられ、口にワインが流れ込んできた。
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