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トラヴェエ王太子の責務と恋
□シスコンの兄
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政務棟の入口には兄のジュストが何だかそわそわしながら待ち構えていた。兄は遠目に私の姿を捉えるとずんずんと大股で近づいてくる。
「おはようリーナ。よく眠れたか?って……リーナ!なんかいつもと雰囲気が違うなぁ!!よく似合っているし、とても可愛いよ!!!あぁ、何だか王族みたいな格好だなぁ……でも可愛いなぁ。」
兄は物凄い速さで近付いてくると、やれ、ドレスの生地が違うとか、お化粧も上品だとか、髪型がどうのこうのとか、可愛い可愛い……とか、いつも以上にニコニコしながら囃し立ててくる。
う~ん……ウザイな…コレ……
自他共に認める重度のシスコンである兄のこういったウザ絡みはいつものことなのだが、何だか今日の絡みはいつもより激しめで、いつもよりもウザさだけでも3割増だった。
すん、として対応しているにも関わらず、めげる事なく絡んでくる兄が非常に…非常に癪に障った。
相変わらず可愛い可愛いと褒めちぎってくるので、私もお返しとばかりに思いっきり慇懃無礼に皮肉を込めて朝の挨拶をして差し上げた。
「あら、ジュストお兄様。ご機嫌よう。わざわざお迎え痛み入ります。ヒュー兄様の執務室なら、存じ上げておりますので自分で向かえますが?一体朝からなんのご用件でしょうか?」
綺麗な笑顔と優美な挨拶をしたにもかかわらず、何故か兄は腹を抱えて爆笑しだした。
「なんだ?なんだ?余計に畏まって。もう王族になるための準備か?気が早いなぁ…兄様としては、可愛いアイリーンにまだまだお嫁に行って欲しくないんだけどなぁ。」
兄は一頻り爆笑し終わると、最後には寂しそうにしょんぼりと項垂れた。
笑ったと思ったら悲しそうにする…情緒不安定にも程があるだろう。
呆れ気味に嘆息するとゲンナリしながら兄に応酬する。
「あのぅ……お嫁とか王族になるための準備とかって、兄様……一体なんの冗談かしら?」
私は兄にじっとりとした視線を送ると、兄は逆に鳩が豆鉄砲を食らったようにキョトンとしている。
何かおかしな事言ったかしら?と思っていると、今度は兄が呆れた様に盛大に溜息を吐いた。
「なんの冗談って……お前こそ何の冗談だよ。てか、お前、昨日はヒューの部屋に泊まったんだろ?」
「えぇ……まぁ、成り行き上そうなりましたけれど……」
「はぁ、やっぱりな。一晩王太子の部屋にいた…ということはそういうことだろう?」
「へ?」
「あの鉄壁の王太子がとうとう…って王城ではその話題でもちきりだぞ?まぁ、まだ相手がお前だとは広くは知られていないが。」
「えぇっと………何が何だかよくわからないんだけど……どういう事ですかね?」
「んー?お子ちゃまなお前にはまだ理解が出来なかったか。って事で、とりあえず執務室へ行くぞ。話はそれからだな。」
兄はそう言うと先程までの砕けた表情をスっと引き、優美な笑顔をつくる。
「それではお手をどうぞ、麗しの姫君。」
そう言うと、兄は畏まってエスコートの姿勢を取る。
その姿はどこからどう見ても高位貴族の令息だ。綺麗に内心を隠しきるのは、流石は次期宰相閣下の公爵家嫡男だな感心しつつも、中身があれじゃあなぁと残念な気持ちになり苦笑いを噛み殺した。
この後の事が若干不安になりながら、もうどうにでもなればいいとなかば諦め気味に私は兄の手をとった。
「おはようリーナ。よく眠れたか?って……リーナ!なんかいつもと雰囲気が違うなぁ!!よく似合っているし、とても可愛いよ!!!あぁ、何だか王族みたいな格好だなぁ……でも可愛いなぁ。」
兄は物凄い速さで近付いてくると、やれ、ドレスの生地が違うとか、お化粧も上品だとか、髪型がどうのこうのとか、可愛い可愛い……とか、いつも以上にニコニコしながら囃し立ててくる。
う~ん……ウザイな…コレ……
自他共に認める重度のシスコンである兄のこういったウザ絡みはいつものことなのだが、何だか今日の絡みはいつもより激しめで、いつもよりもウザさだけでも3割増だった。
すん、として対応しているにも関わらず、めげる事なく絡んでくる兄が非常に…非常に癪に障った。
相変わらず可愛い可愛いと褒めちぎってくるので、私もお返しとばかりに思いっきり慇懃無礼に皮肉を込めて朝の挨拶をして差し上げた。
「あら、ジュストお兄様。ご機嫌よう。わざわざお迎え痛み入ります。ヒュー兄様の執務室なら、存じ上げておりますので自分で向かえますが?一体朝からなんのご用件でしょうか?」
綺麗な笑顔と優美な挨拶をしたにもかかわらず、何故か兄は腹を抱えて爆笑しだした。
「なんだ?なんだ?余計に畏まって。もう王族になるための準備か?気が早いなぁ…兄様としては、可愛いアイリーンにまだまだお嫁に行って欲しくないんだけどなぁ。」
兄は一頻り爆笑し終わると、最後には寂しそうにしょんぼりと項垂れた。
笑ったと思ったら悲しそうにする…情緒不安定にも程があるだろう。
呆れ気味に嘆息するとゲンナリしながら兄に応酬する。
「あのぅ……お嫁とか王族になるための準備とかって、兄様……一体なんの冗談かしら?」
私は兄にじっとりとした視線を送ると、兄は逆に鳩が豆鉄砲を食らったようにキョトンとしている。
何かおかしな事言ったかしら?と思っていると、今度は兄が呆れた様に盛大に溜息を吐いた。
「なんの冗談って……お前こそ何の冗談だよ。てか、お前、昨日はヒューの部屋に泊まったんだろ?」
「えぇ……まぁ、成り行き上そうなりましたけれど……」
「はぁ、やっぱりな。一晩王太子の部屋にいた…ということはそういうことだろう?」
「へ?」
「あの鉄壁の王太子がとうとう…って王城ではその話題でもちきりだぞ?まぁ、まだ相手がお前だとは広くは知られていないが。」
「えぇっと………何が何だかよくわからないんだけど……どういう事ですかね?」
「んー?お子ちゃまなお前にはまだ理解が出来なかったか。って事で、とりあえず執務室へ行くぞ。話はそれからだな。」
兄はそう言うと先程までの砕けた表情をスっと引き、優美な笑顔をつくる。
「それではお手をどうぞ、麗しの姫君。」
そう言うと、兄は畏まってエスコートの姿勢を取る。
その姿はどこからどう見ても高位貴族の令息だ。綺麗に内心を隠しきるのは、流石は次期宰相閣下の公爵家嫡男だな感心しつつも、中身があれじゃあなぁと残念な気持ちになり苦笑いを噛み殺した。
この後の事が若干不安になりながら、もうどうにでもなればいいとなかば諦め気味に私は兄の手をとった。
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